朝鮮問題の専門家、西岡力氏が三月二二日にインターネットの「言論テレビ」で、北朝鮮の平壌を出発した保衛部の幹部五人、部長三人と課長二人が姿を消したと報じた。保衛部はナチスの秘密国家警察、ゲシュタポと似た組織で政治警察部隊のことだ。「幹部の集団逃走は保衛部解体につながる程の衝撃でしょう。五人は家族を置き去りにして逃げている。家族は間違いなく収容所送りでしょうから、余程切迫した状況だったはずです」

三月一日に北朝鮮臨時政府を作ったと「自由朝鮮」と名乗る勢力が宣言した。彼らは二月二二日にスペイン・マドリッドの北朝鮮大使館を襲い、コンピュータを持ち去った。米紙「ワシントン・ポスト」が一部始終を詳しく報道した。自由朝鮮は暗殺された正男氏の長男のハンソル氏をマカオから脱出させて保護している勢力だが、マカオ脱出は中国当局の協力なしには不可能だったとされている。

西岡氏の感想「もしも自由朝鮮の犯行だとすると、彼らはかなりの組織力を持っている。襲撃事件を起こした、それを米国紙に書かせた、マカオからハンソル氏を救出した。脱北者だけではできないでしょう。米中共に正恩氏の核保有を望んでいないことを考えると、一連の事件に何らかの工作がされた可能性はあると思います」

何があってもおかしくない緊迫した状況が生まれている。日米主導の制裁が功を奏している。

「緊迫した状況が生まれている北朝鮮情勢 日米主導の制裁をこのまま続けるべきだ」櫻井よしこ