Mr.ノースのブログへようこそ。「発展途上国」という言葉ができてから、かなりの年月が経ちます。その間に色々なことが起こり、国際情勢もかなり変わりました。それにより、今、改めて「発展途上国とは何か 」を考え直す必要が出てきました。

日本では「先進国」と訳されていますが、文法通りに訳すと「developed. countries 」は「発展完了国」となります。今、先進国と呼ばれている国を見て、「これが完成形です」とは言えないですよね。改善していかなければならないことが、まだまだたくさんたくさんあります。なので私は、どの国も「developing countries 発展途上国」だと思っています。

では、我々は何に向かって発展して行けばいいのでしょうか。開発のゴールはどこにあるのでしょうか。そこで、思い出していただきたいのが、これまで発展途上国と呼ばれてきた国に欠けている2つです。

1つは格差などによって基本的人権が守られない人がいるということです。

今、日本には食べるのがやっとでギリギリで生きている人達がたくさんいます。特に子どもや若者の貧困が深刻な問題となっています。栄養失調になってしまうほどです。飢餓で苦しんでいるアフリカの村の話ではなく、GDP世界3位の日本の話です。これが格差です。考えてみれば、我々が発展途上国と呼んでいる国でアンフェアトレードで苦しんでいる人たちと、ブラック企業と言われる職場で割りの合わない賃金でに毎日働き詰めの日本人には何の違いもありませんよね。

アメリカも仕事がなくて親から独立できない若者が増えていることが最近ニュースになっていました。低収入の労働者層の中には、安いファーストフードばかりを食べ、太っているのに栄養失調という人達もいます。アフリカの栄養失調児のようにお腹がポコッと出ているそうです。

どうでしょうか。これでも「うちは先進国だ!」と言っていられるでしょうか。今や発展途上国と先進国を明確に分けるものはありません。色々考え工夫して、どの国も貧困や飢餓のない社会の実現を目指して発展していかなければならないですよね。

発展途上国に欠けているもの、2つめは安全性でした。これについては次週書きますね。

つづく
Mr.ノースのブログへようこそ。
先週に引き続き、「発展途上国とは何か 」、今、私が思っていることを書きたいと思います。

あれほど経済的に豊かになったのにもかかわらず、自分の国を「発展途上国」と中国のガイドさんが言うのを聞いて、私は発展途上国とは一体何だろうかと考えました。その結果、出てきた1つの答えが、国民の安全が保障されていない、また格差により基本的人権が保障されていない人がいる国でした。ただ、そうなると、これまで先進国と呼ばれていた国、アメリカや日本もそうですが、多くの国が発展途上国ということになります。

発展途上国、あるいは開発途上国という言葉が生まれたのは、1962年、世界中が開発による経済発展に躍起になっていた時期でした。先進国から「後進国 backward countries」とか「低開発国 under-devrloped countries」と呼ばれていた国が集まって会議を開いた時に、「backward 後ろの方向」とか「under 下」といった表現は、「劣っている」というイメージが強いので、英語では「developing countries (発展が進行中の国々という意味です)」と呼んでほしいと世界に訴えたのです。それからその呼び名が定着しました。日本では、その訳語として「発展進行国」ではなく、「発表途上国」や「開発途上国」を当てました。まあ、正しい訳だと思います。

では、「発展途上国」という言葉よりも先にあった「先進国」は英語で何と言うかと言うと、これは「developed. countries 発展・開発が完了した国、言うなれば発展完了国」や「advanced countries 前進が完了した国」となります。日本の場合、後者の方をとり「先進国」としたのでしょう。ただし先進国という日本語は先を行っているけれど、まだまだ進行中というイメージがありますよね。これは英語の発展完了とは異なります。朝鮮戦争後の日本は経済的にどんどん発展してはいましたが、誰も発展完了とは思っていなかったのでしょう。なので先進国という訳語を当てたのだと思います。

そんな日本に対して、1950年代、60年代に自分の国を発展完了国と言っちゃたくらいですから、当時の欧米諸国が、いかに自信満々だったかがわかりますよね。

その時から半世紀経ち、世界は大きく変わりました。核兵器競争、原子力発電所、インターネット革命、地球温暖化、イスラム国などなど。結果、地球上のどこにも安全な場所はなくなってしまいました。先進国にも新たな開発の形が求められるようになり、国連では「どの国もsustainable development (持続可能な発展・開発)を目指して努力しなければならない。」と言われるようになりました。つまり、「これまでの形で開発を続ければ、我々の住む所は、どんどん危険な場所になってしまうので、新しい形の発展・開発を考え出さなければならない!」ということです。

こうなると先進国が自分たちのことをdeveloped countries. (開発完了国)なんて呼んで威張っている場合ではありません。自分たちも、安全な世界をつくるための開発をしていかなければならないからです。

そこで私が思うのは、経済発展を遂げた後もなお「中国はまだまだ発展途上国です。これからもっともっと変わらなければいけません。」と言って、自分の国の若者たちに期待を寄せていたあのガイドさんのように、日本もアメリカも、今や全世界の人々が、自分の国も発展途上国であることを自覚し、良い未来に向けて努力する必要があるということなのです。


つづく


Mr.ノースのブログへようこそ。今週は、20年以上に渡って中国の発展を見てきて、そして北京のガイドさんが私の生徒達に向けてしてくれたお話を聞いて、「発展途上国とは何か 」、今、私が思うところを書こうと思います。

北京のガイドさんは言いました。「中国は発展途上国です。国際社会の中でやっと歩き出したばかりです。」と。これを聞いて私はハッとしました。

『中国は、いずれアメリカを凌ぐと言われているほどに経済的発展を遂げたというのに、まだ発展途上国だと言う。発展途上国とは経済力の強さだけの問題じゃないんだ!では、発展途上国って何だろうか。』

私はよくわからなくなり、そこで、まず、紛れもなく発展途上国だった時代の中国に行った時に「これは問題だなぁ。」と感じたことを振り返ってみました。

初めて乗った中国の飛行機でモクモクと突然機内にたちこめたと白い煙やシートベルトがない席。トイレの水を流している川で野菜や果物を洗っている人々。観光地にはスリや詐欺師の集団。学校に行っていない子ども達。一流ホテルの前に広がる貧民街。

これらから浮かび上がって来るのは、安全性と格差の問題ですね。なるほど、この二つの問題は、今、発展途上国と呼ばれているアフリカや東南アジアなどの国々とも共通しています。

次に急速な経済発展を遂げた今の中国の問題を挙げてみました。

ひどい大気及び水質汚染。食料の安全性の問題。交通マナーのひどさ。移動や発言、職業選択の自由が制限されている地域や人達がいること。ウイグル地区の問題。賄賂の横行。著作権など国際社会の法律違反。

こちらもまた、安全が保障されていないことと、格差により基本的人権が保障されていない人がいるという所でまとまります。

『ということは、その二つが欠けている国が発展途上国ということになるな。』

一瞬、すっきりしたと思ったのですが、すぐに『あれっ⁉︎』と思ったんです。『これって、アメリカも、そして日本にもあてはまるじゃないか。』

銃社会で犯罪大国のアメリカ、原発だらけの地震列島日本は、安全という言葉から程遠いですよね。それにアメリカも日本も格差がひどく、貧民層の存在が問題になっています。

こうなると、世界中のどの国も発展途上国ということになるのでは。よくよく考えてみて、その結論に行き着いたのです。

つづく

Mr.ノースのブログへようこそ。今週はも北京一のガイドさんが、昨年の修学旅行最後の夜に、私の生徒達に向けてしてくれたお話の続きです。

「中国が抱える悩みは、何においても人口が13億人もいることにあります。この13億人を飢え死にさせないよう、とにかく食べさせなければならないんです。

皆さんには、この旅行中、色々な中国料理を召し上がっていただきました。中国料理が何故発展したか、その答えとなる言葉があります。"中国では、足があるものは椅子以外何でも食べる。飛んでいるものは飛行機以外何でも食べる。"です。中国人は、生き物は何でも食べます。そして、牛でも鶏でも余す所なく全部食べます(ここで、私が初めて中国に行った時、空港で出された鳥丼に鶏冠付きの頭が入っていたことを思い出しました)。少しでも食べられると思ったら、工夫して料理にしてきたんです。そうしなければ、飢え死にしてしまうからです。

中国四千年の歴史と言われますが、その中で飢饉で人が死ななくなったのは、ついこの間のことです。中国はたくさんの国に統治されてきましたが、人々が飢え死にしないで済んだ国は、これまでにありませんでした。

資本主義の国からすれば、中国は自由が少ないと単純に思うかもしれません。でも、13億人を食べさせることに成功したのは中国共産党だけなんです。食べられないで死んでしまうのと比べれば、多少の不自由は我慢できます。

今の中国では飢饉が起きなくなったばかりでなく、採れた野菜や加工品を海外に輸出する余裕もできました。ただし、それに伴い、食料品の質について国際的に問題にされるようになりました。農薬の使用量が多いとかです。

でも、それは外国の人達を騙そうとしてやったことではないことをご理解下さい。何しろ中国人は、それを前から食べてきたのですから。確かに農薬は体に悪い。でも、それを使わなければ13億人分の食料を確保することができなかったのです。農薬が体に悪いことは知っていても死ぬよりはマシですから、中国人は農薬をたくさん使う方を選んできたのです。

でも、世界からの批判を受け、中国もこれまでのままではいけないと世界基準を学び始めました。もう飢える心配もなくなったので、今後は安全面にも真剣に目を向けていくと思います。

皆さんにわかっていてもらいたいのは、中国は国際社会の中で、まだまだ赤ちゃんだということです。確かに経済的には強くなりましたが、中国人のほとんどは、まだまだ世界基準の常識を知りません。日本に買い物に行ってマナーが悪いと顰蹙を買った人の多くは、つい最近まで国外に出たことがない人達です。その人達は何度か日本を訪れるにつれて、国際的なマナーを学びつつあります。なので、どうか時間をください。何も知らない赤ちゃんも、色々学んで大人になっていきます。今の中国は、その段階なのです。

実際、中国は明らかに変わりつつあります。オリンピックを通して、列を作って待つことや上半身裸で通りに出ないことが国際社会の常識だということを北京の人達は知りました。他の地域の人達は、まだ列をつくらないし、平気で上半身裸で歩いています。しかし、一度北京を訪れてマナーを学んだ人達が、自分の地域に帰ってそのことを話すようになり、北京以外の所でも国際社会のマナーを知る人が現れ始めました。

交通マナー、著作権など、中国人が日本から学ばなければならないことは、まだまだたくさんあります。しかし、年間を通して非常に多くの中国人が日本を訪れるようになった今、中国人は買い物だけでなく、国際社会で生きるに必要なことを何かしら学んで帰国していると思います。

今は皆さんに嫌な思いをさせてしまうこともあるかもしれませんが、やっと自由に歩き始めた子どもを見るように、どうか見守ってあげて下さい。」

Mr.ノースのブログへようこそ。今回も中国についての記事です。中国の修学旅行最終日、ホテルへ向かうバスの中でガイドさんが生徒達にしてくれた話を書きます。この方は、日本の総理大臣を案内しこともある超ベテランの北京一のガイドさんなんです。長年、日本と中国の橋渡しをされてこられただけあって、その言葉はとても心に残るものでした。

「皆さん、中国に来てくれてありがとうございました。領土問題のために日本と中国の関係が良くなくなって、中国の修学旅行を止めてしまった学校がたくさんある中、皆さんの学校は変わらずに今年も来てくださいました。

どうですか。街を歩いていて怖い思いをしましたか。何か危険を感じましたか。周りの人たちから嫌な目で見られましたか。そんなことは全くなかったでしょ。中国人が日本人を憎んでいる、日本人が街を歩くのは危ないというのは誤解です。

確かに尖閣半島についてのデモは行われ、日本大使館に石を投げた人達がいました。しかし、それは中国の中の本当にごく一部の人達がやったことです。デモに参加した人達も一部の人達にしかすぎません。だって、中国には13億人以上住んでいるんですよ。全人口からするとデモに参加した人達の割合は取るに足らないくらい小さい数字です。デモがあった日、ほとんどの人達はいつも通り普通に生活していました。ニュースで、一部の人たちの行動を見て、中国人が皆、日本に対して同じ気持ちを持っていると思わないで下さい。」

生徒達は、彼の言葉を真剣に聞いていました。そのガイドさんのお話は、さらに続きました。

「中国が抱える悩みは、なんにおいても人口が13億人もいることにあります。」

つづく