Mr.ノースのブログへようこそ。日本初、18歳選挙の日が迫ってまいりました。その日に向けて私の勤める学校では、様々な働きかけをしてきましたが、他の高校さんはどうなのでしょうね。また、お子さんがちょうど18歳だという親御さんはご家庭でどのようなお話をされているのでしょうか。ということで今週と来週は、18歳選挙について私が思うところを書こうと思います。

「日本で18歳の高校生が選挙に行けるようになった第一号が私達だったんだよ。歴史の教科書に載っている年号を見てもらえればわかると思うけど。」と、今の高校3年生の中には、将来、高3になった自分の息子や娘にそんな話をする人もいることでしょう。それを聞いた子どもは早速教科書を広げてみるかもしれません。そして、「本当だ!その年以降、投票率もぐんと上がり、若者の意見も政治に反映されるようになったって書いてあるよ。若者の豊かな発想と情熱が社会を変えたって。今の平和で安全な世界があるのは、その当時の若者達のおかげとさえ書いてあるよ。」と親に尊敬の眼差しを向けるかもしれません。あるいは「本当だ。2016年18歳選挙始まるって書いてある。んっ、でも、最初の年、事前に各候補者が掲げた政策を吟味せず、有名だからとかキャラクターが面白いからという理由だけで投票する若者が続出。結果、教育システムは崩壊、財政は破綻。政治に対する期待も失われ、その後、18歳選挙開始以前よりも投票率が落ち、今に至る、だって!それでこの国は借金大国になってしまったんだね。」と軽蔑の目を向けるかもしれません。

ここまで極端でないにしても、18歳選挙を目前に控え、社会は、大人達は、今の若者に対して大いなる期待を抱きつつも不安も消せないでいるというのは確かなようです。連日、新聞やテレビで18歳選挙についての若者のインタビューコメントが紹介されていますが、それは大人達が「18歳もよく考えているなあ。」と安心したがっているからだと思います。読売、朝日に日経新聞、どの子のコメントも、大人達が思わず「今の高校生はすごい!意識が高い!」と思うようなものでした。それを読んだ人、聞いた人は誰でも、同じように安心したと思います。

けれど、私は不安を消せないでいます。なぜなら新聞社がインタビューをお願いする18歳の子達は、最初から意識が高いとわかっている人達ばかりだからです。この子に聞けば期待通りか、それ以上の答えが返って来るだろうと予想していると思うんです。テレビ局も東大生を集めて質問したりしていますよね。そうなると、街頭インタビューも、しっかりとした考えを述べた子のシーンばかりを使っているのではと疑いたくなります。と言うのも「選挙?知らない。いつやるの?」とか「そんなの面倒くさいから行かない。」「政治に全く興味なし。」と答える子が皆無だからです。そんなに素晴らしすぎることってあるのでしょうか。20歳以上の人達の意識が低く、投票率の低さが問題になっている国で、高校生ばかりがもすごく意識が高いとは、私にはどうしても考えにくいですよね。

そこで、私は高3生に2つのことを伝えています。一つは、とにかく投票所に行くということ、もう一つは、投票の際には候補者のこれまでの生き方とこれからやりたいと言う政策をよく知った上で投票するということです。

投票率が低い選挙では組織票を得ることができる立候補者が当選します。それでは真の意味で民意が反映されません。せっかく投票したのに自分が良いと思った人は全然当選しないとなると、投票しに行く気が失われます。そうなるとますます投票率が下がり、組織票がさらに強くなります。

18歳選挙が始まったことにより投票率が下がったなんていうことは絶対に起こらないことを願っています。その数字を見て、「こんな低い投票率では、どうせあの人が選ばれるに決まっている。わざわざ行っても時間の無駄だ。」こんなことを思う人達を増やすことになりかねないからです。

「誰が選ばれても政治は変わらないから投票しない。」と言っている大人をたまに見みますが、その人は単なる勉強不足です。新聞やテレビのニュースを普通に見ているだけで、リーダーが変わると政治も経済も教育も変わることは中学生でもわかります。子どもは大人のマイナス発言に敏感ですから、「どうせ投票しても世の中変わらない。」と聞くと、「そうなんだ!何だよっ!」と選挙に対して否定的になってしまう恐れがあります。なので、もし若い人が「誰になっても同じなんでしょ。」と言っているのを聞いた時には、はっきりと「そんなことはないよ。調べてごらん。」と言ってあげて下さい。

投票率が上がり、自分の一票が選挙の結果を変えることが実感できれば、投票率はさらに上がっていきます。日本中の有権者が皆で投票した結果選ばれた人なら、間違いなく皆の代表に相応しいということになりますよね。

次に、誰に投票するか、その決め方も伝えています。間違っても顔が好きとか有名だからとかいう理由で選ばせないようにしなければなりません。

初めに、若者達には、その人が今までやってきたことを知ることが必要です。その人の生き方がわかれば、その人がどういうところにこだわって立候補したのかが見えてくるからです。次に、当選後にその人がやろうとしていることをしっかりとチェックするようアドバイスをしましょう。

当選者が公約に掲げたことを実現しようと動き始めた途端、都民や国民が「聞いてないよ!」と怒り出すといったことは、これまでに何度もありました。これから選挙に行くという若者達には、その候補者の政策が実現されたら自分達の生活にどのような変化が起こるかをちゃんとイメージしてもらいたいんです。

以上、当たり前と言ったら当たり前のことなのですが、こういったことをしっかりと若者達に伝えることが私達大人の務めだと思っています。

つづく
Mr.ノースのブログへようこそ。何週にも渡って、これからの発展途上国と先進国について書いてきましたが、いよいよ今日がまとめになります。

20世紀、経済大国となった国々は、自分達を先進国あるいはdeveloped countries(直訳は発展完了国)と呼び、工業開発をガンガンに進めました。他の国々は自分達のことをdeveloping countries (日本では発展途上国や開発途上国と訳される)と呼んで欲しいと言い、先進国に習って開発を進めました。

一にお金、二にお金、三、四がなくて五にお金。

その結果、生態系は破壊され、オゾン層には穴が開き、気候は変動し、今までに聞いたことのない病気が流行ったりました。外国の子どもが食べるお菓子の原材料を作るために、学校へも行けず働き詰めの生活を強いられる子ども達も出てきました。そればかりではありません。お金の競争は、数々の戦争も引き起こしました。

あの国よりも先に先に進め!開発競争に負けるな!そのためには仲間を増やせ!仲間になりそうな者には、金を渡せ、武器を渡せ、兵隊を出せ!

それが巡り巡って、今、いつ飛んでくるかわからないミサイルや、いつどこで起きるかわからないテロに怯えなければならない世界になってしまいました。

21世紀になって、発展や開発に対して、これまでにない要素が加えられるようになりました。それがsustainable(持続可能な)です。20世紀の発展、開発が、限りある天然資源を後先考えず使いまくり、自然界のバランスを完全に無視して直線的に進められたのに対して、これからは、消費と再生を繰り返す形の発展・開発のあり方を考えていかねばなりません。

その方向で一足早く開発をはじめたのがニュージーランドやドイツです。再生可能エネルギーが発展していけは、世界は、いずれ来る石油乾枯の日を恐れたり、各廃棄物の保存についても心配しなくてすむようになります。

そういった国々では、小学生の頃から再生エネルギーや生物多様性についてしっかりと学んでいます。日本も頑張って持続的発展教育を充実させていく必要があります。非持続的先進国には未来がないからです。

小学校や中学校の教科書には、徐々に持続的発展に関することが取り上げられ始めましたが、まだまだ足りないです。自分たちの力で未来を切り開いていける子達がもっと育つように、私達大人はもっともっと意識を高めていきましょう。そうすれば、いつか日本が持続可能な発展についても先進国と呼ばれる日が来ると思います。
Mr.ノースのブログへようこそ。発展途上国とはどんな国か、先進国とはどんな国を言うのか、これまでの常識が変わりつつあります。子ども達が大人になってグローバル社会に出た時、自信を持って生きて行けるように、私達大人は、21世紀の先進国がどんなものであるのか、しっかりとイメージしておく必要があります。

ただただ経済発展にこだわり、開発を進めていた60年代や70年代においては「先進国」と言えば、工業化、大量生産化が進んでいた国のことを言っていました。しかし「世界中の全ての人々が永続的に安心して暮らせる社会の実現」がゴールとなった今のグローバル社会においては、何を持って先進と呼ぶかは多様化しています。

例えば、エコ先進国や環境先進国と呼ばれている国があります。ドイツやスウェーデンがそうです。再生可能エネルギー先進国と呼ばれている国もあります。ニュージーランドがその一つで、電力供給の7割をすでに水力や地熱でまかなっています。さらに、ニュージーランド政府は2025年までに9割を再生可能エネルギーにするという目標を掲げています。自然保護先進国という言葉もあります。ブータンやコスタリカがそうです。

女性活躍先進国、あるいは女性の社会進出先進国という言葉も最近よく聞かれます。フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、フランスなどのヨーロッパの国々です。フィリピン、シンガポール、台湾などのアジアの国々も頑張っていますが、残念ながら我が日本は後進国中の後進国です。

どうでしょう。20世紀には後進国、発展途上国としか呼ばれていなかった国も、ある部分では先進国と呼ばれるようになったことがわかります。これが今の世界です。

今、日本は、経済発展以外で先進国と呼ばれることがあるとしたら、核兵器廃絶と人型ロボットくらいでしょうか。他にもあるかもしれませんがパッと思いつきません。グローバル社会の問題解決については、色々な分野で遅れているということなのでしょう。

つづく
Mr.ノースのブログへようこそ。発展途上国とは何かについて話てきましたが、自分たちのことを先進国 an advanced countryとか発展完了国 a developed countryと呼んでいる国も、実は皆、発展途上国 developing countriesであると認識し直す必要があるというのが私の結論です。

自由競争が原動力となっている我々の社会では格差がうまれてしまうのは仕方ありません。しかし、貧しい家に生まれた子たちが栄養失調になったり、十分な教育を受けることができない事態があったら国として解決していかなければなりません。また、国民の健康や安全が脅かされる事態があるなら、これを解決に導くのも国の責任です。今、この二つの問題をすでに解決できている国は皆無です。それが、世界中の全ての国が発展途上国であると私が言いたい理由です。

次に、私達はどこに向かって発展、開発を進めていくかということですが、その答えは明らかです。ゴールは「世界中の全ての人々が永続的に安心して暮らせる社会の実現」です。

そのために解決しなければならない問題は山積みです。具体的に言うと、戦争や紛争が起こらない、そして自由競争を基本としつつも弱者の基本的人権を守ることができる社会システムの開発、、親の収入に関わらず、全ての子ども達が学校に行けて、自分の努力次第でなりたいものになれる教育システムの開発、人間も含めた新しいエコシステム(人間もその他の生き物も皆幸せに生きていける生態系)の開発を進めていかなければなりません。

こういった開発に積極的に取り組んでいる国こそ「先進国」と呼んで良いかもしれませんね。これでいくと自国の利益ばかりにとらわれて、自然破壊を行っている国は先進国ではないということになります。

これからの「先進国」は、60年代、70年代の自分の国さえ開発が進めば良いというものではなく、世界中の国々と協力して発展、開発を進めていく国でなくてはいけません。新しい生態系や戦争のない世界を作ることがゴールなのですから、当然ですよね。

つづく

Mr.ノースのブログへようこそ。今年は先進国首脳会議が日本で行われました。私が子どもの頃から日本は先進国の仲間に入っていましたが、最近は先進国と発展途上国との区別がつきにくくなりました。そこで私は、発展途上国とは何か、1度立ち止まって考えみることにしました。

「先進国」は、英語では「developed countries 」、文法通りちゃんと訳すと「発展完了国」となります。この言葉ができた時は、そう思ったのかもしれませんが、今、「自分の国はこれ以上開発するべき所はない。」なんて言える国はないですよね。開発面で先を進んでいる国はあっても完成にたどり着いた国はありません。日本はもちろんアメリカも全ての国が「developing countries 発展途上国」です。

では、何を持って開発完了と言えるのでしょうか。それを明確にするため、前回は、これまでに発展途上国と呼ばれてきた国に欠けているものについて考えてみました。その一つ目が、格差によって基本的人権が損なわれているという点でした。今回は、発展途上国に欠けているもの、その2つ目について書きます。

前に経済大国になる前の中国の話をこのブログに書きました。シートベルトのない座席が平気である飛行機、トイレの排水をしている川で野菜や果物を洗っている観光地、子どもも老人も全員詐欺の村。中国に限らず2、30年前に発展途上国と呼ばれていた国には共通してかけていたものがありました。それは「安全」です。中国経済大国となりましたが、いくら発展しても、これが確保できない限りは発展完了とは言えません。もちろん日本についても同じです。

一言に「安全」と言っても色々あります。

まず、治安です。詐欺や強盗の心配はないか。安心して子どもを育てられるか。暴動や戦争とは無縁か。テロ対策は万全か。一昔前の日本は大丈夫でしたが、今はどれも心配ですよね。安全大国、日本でさえそうなのですから、アメリカやヨーロッパは言わずもがなです。

次に食品です。市場で手に入いるものは安全か。自分の子どもや孫に与えて大丈夫なものなのか。この点、中国のことが色々とニュースになりましたが、欧米や日本の食品は本当に安全なのでしょうか。有機栽培などの開発を含め、まだまだ発展途上だと思います。

そして自然災害です。対策は万全か。どの建物も手抜きなく作られたものなのか。台風や地震による水害対策は国レベルで行われているか。火山の噴火や大地震を予想する研究は進んでいるのか。日本は思いっきり発展途上ですよね。

最後は放射能です。原子力発電所の安全は行き届いているのか。核廃棄物は永久的に安全に処理できているのか。どんな災害が起こっても安全を確保できるのか。いかなるテロ 行為に対しても、しっかりとと対策がとられているのか。日本は全然ダメですよね。

上の4つの点において、「我が国は、安全確保は完璧にできている。」と言い切ることができる国は一つもないですよね。それでよく「自分達はdeveloped countries 開発完了国、発展完了国だ!」なんて言ってるなと思ってしまうんです。恥ずかしくないのかなって。

つづく