「ダイモス」中井三郎氏復活!その2 完全版リスト2015(改定) | クラバート・ガレージ

「ダイモス」中井三郎氏復活!その2 完全版リスト2015(改定)

ダイモス中井三郎 作品リスト


●84ゴジラ ラテックス 50cm 85年 ダイモス

スーツ版で製作。



個人的に最も思い入れの深いモデルである。
今回の完全版制作にあたって中井氏のFB記事から写真をお借りした。



以前書いた「新宿副都心進撃シーンで見せる『頭頂部を起点とした美しい三角のライン』」が再現されていることがお分かりいただけると思う。

頭頂部を起点とし、美しい三角を描くのは中井ゴジラの特徴でもあり、それが最も顕著に判る写真である。

この84ゴジラの写真はまさにこの「新宿副都心進撃シーン」を再現しており、超巨大なジオラマベースも堪らない。



上顎部ライン、また下顎から胸に流れるラインの美しさが解る極めて貴重な1枚。
今回、写真を拝見し、改めてこの84ゴジの素晴らしさを再認識した。

この写真は、着色の色合いも映えてサイボットの巨大感すら彷彿とさせる。
トータルイメージとしての84ゴジラらしさ、否、「新ゴジ」としてのアイデンティティの表現ともとれるが、そのような「理論」は私による後付けに過ぎない。この造型から伺えるテンションを是非とも汲み取っていただきたい。

この巨大感こそが中井作品の真骨頂であり、キンゴジ2015にも最良の形で引き継がれている。

“新ゴジ”らしさ、構成力、時代性の3点が見事に噛み合っている立体物として、84ゴジラ2号モデルは、この作品と森山直哉氏による原ソフビHJEX用改造作品が最高峰である。

一時期この84を用いた動画がYOUTUBE上にアップされていたが、現在は見ることが出来ないのが非常に惜しい。








●カネゴン ラテックス 30cm 85年 ダイモス


 口のチャックが開閉できたという。




●ジャミラ 25cm ?年 ダイモス



中井氏がFB上で活動を開始されたお蔭で入手できた当時の貴重な写真。


●キングコング 50cm 85年?ダイモス
Bクラブ誌で特集 台座はステンレス製で台座を含めると70cm以上の巨大モデル。
中井氏自宅に現存する。






オブライエン版コングを再現したアーマチュアの美しさ、精巧さに注目。
「一品モノ」としての可動モデルの表現としては、ゴジラ等怪獣的アプローチの対極にあたる。

84ゴジラにも言えることではあるが、造形対象の骨組みを考察しつつ製作する中井氏の作品には、一貫して美しいラインが視える。


●ギルマン ラテックス 50cm 85年 ダイモス
 洋モンスター初造型作品

84との比較でもその巨大サイズが解る。
人型のラテックスモデルにも関わらず、この状態で自立している。



●ガイガン ラテックス 70~80cm 85年 ダイモス
京都「ムウ帝国」からの依頼により製作された。
井上氏のOHガイガンにも言えることではあるが、女性的な怪獣であるガイガンが、極めて男性的な無骨さで表現されている。製作者のキャラクターは確実に造形作品に反映される。






●サイクロプス ホームレイテックス ラテックス 50cm 86年 ダイモス
ホームレイテックス製のファーストモデルと、ラテックス製のモデルが存在する。
ホームレイテックス製のモデルは製作後数年で劣化したという。
一方でラテックス製のモデルは健在で、2010 年のダイモス個展でも美しい状態で展示された。
ホームレイテックスは、当時、東急ハンズのスタッフにも詳細が判らず、中井氏の製作は貴重なデータとなった。
ラテックスの質感はアーマチュアモデルによく合う。






[頭部3部作]


●ギルマンヘッド 複合素材 86年位? ダイモス


●シンジェノアヘッド  同上


●エイリアンヘッド 同上


 京都「ムー帝国」時代に製作。ギミックを仕込んだモデルが「宇宙船」誌上に発表され、評判を呼んだ。
TVにも出演の依頼があり、このTV番組も一時期YOUTUBEにアップされていた。現在は削除されているようで、残念である


●ガメラ ソフビキット 35cm 91年 パラダイス

巨大感はあるが、表現がソフビに合わない。
中井氏は「あのガメラも動くものとしてやりたかった」と2010年のインタビューでも語っていたが、このガメラはこのコメントに尽きると思う。
ポーズなどから、可動を前提として製作するラテックス造型の文法と、商品原型としての固定モデル製作の文法の差異を感じることが出来る。




●ディフォルメ ガメラ・ギャオス 91年 
飲み会の帰りに電話BOXに忘れ紛失したモデル。写真は現存していた。
ギャオスの反りかえりに注目。
一方、ガメラの顔はバルガメに似る。前方向に向かう姿勢、口の表現もバルガメを彷彿とさせる。




●成虫モスラ 翼長150cm 海洋堂アートプラ大賞 出品 
受賞作 「現在は海洋堂宮脇氏が持ってるんちゃうか」とのこと。
翼、足、、口が稼働、眼は発光、鳴き声が出る。
 成虫モスラは後年、所属する野球チームの劇用に再度同サイズで造り直され、大阪城のイベント等に出品。その後行方不明となっていた。
今回発掘された写真はそのモデルだろうか。



成虫モスラは毛の立体表現が難しい。「毛の部分はあくまで毛で作る」という中井氏のスタンスが最大限効果的に発揮されている作品。
なお、粘土造型においては浅井氏のモデルのみがこの質感を再現している。

以前のキングコングに比べ、毛部分の貼りこみも手慣れた感が伺える。


●キングギドラ 80cmオーバーサイズ 91年 海洋堂アートプラ大賞参加モデル


HJ誌で大々的に取り上げられ、メディア露出が非常に多かった作品。

しかしながら、このモデルはそれまでの作品群とは方向性が異なる。これはギドラ自体のキャラクターもあることながら、ワイヤーにより首と羽が各々独立制御可能という「機構」をみてもわかるように、モスラ以上に、「巨大展示物」の方向性に寄っているためだと考える。
また、ギミックを仕込む必要性があった為、かなりの造型的な制約もあったと聞く。




●キングギドラ 60cm 9?年 パラダイス(未発売)
●メカキングギドラ 60cm 9?年 パラダイス(未発売) 


HJ誌に価格掲載までされていながら未発売に終わった2品である。

初代ギドラは、91年のワイヤー可動版ギドラとの表現の違いが非常に興味深い。
商品化されていた場合、80年代のギドラ像であるボークスOHに続き、90年代を象徴するギドラ造形物となっていたと考える。

メカキングギドラは、2015年現在に至るまでも立体物としてベストモデルであり、発売されなかったことが非常に悔やまれる。




●キングギドラ 80cm(ラジコンゴジラに合わせたサイズ) 9?年 某社ラジコン原型




パラダイスギドラとこのギドラに造型表現としての差異はほとんど見られないが、共に90年代の怪獣造型におけるキングギドラ像の代表である。

80年代の怪獣造型表現の流れをくみながらも、さらにブラッシュアップされたポージングなどから、怪獣立体物の「時代性」が汲み取れる。

また、当時のラジコン会社社長とのやり取りの中で、本来めくれあがっていた鱗表現を、抜きを考慮した「商業的表現」に抑える必要があったという。
なお、ラジコンモデルの試作品、つまるところ金型までは作られていたが、中井氏が首の可動の表現性を譲らなかった為、どうしても価格が高騰してしまい発売中止となった経緯を持つ。

浅井氏のギドラは「ガレージキット」としての表現の極みにある。
一方で、「商業立体物」としての極みはバンダイポピーの巨大ギドラ以上にこのギドラである。
バンダイポピーの限定版特大ゴジラと是非並べてみたい。

この写真においては、腰のラインと尻尾基部に繋がる厚み、黒目の表情がとても美しい。




●機龍 レジンキット 40cm 2004年 ジーンズ工房

機龍自体を私があまり知らない為、造型的なコメントは控えるが、パラダイスメカギドラなどをみてもわかるように、中井氏はメカモデルの表現も行う。
メカギドラ、このメカゴジラと共通するのは、ラインの丸みである。
メカギドラの腹部表現等に非常に適していると考える。




●ナメゴン 10cm 2010年 大戸島サミットにて披露




平成頭部3部作

●ギャオス
●ギドラ 
●キンゴジ

ダイモス30周年を記念して新作発表に向け、数体の頭部がまず製作された。
この後、先日WFで発表されたキンゴジに繋がる。
ギドラはラジコンのものとほぼ同サイズとなる。未完成の為、写真掲載は見送った。


以上、2015年完全版
ダイモス中井三郎ヒストリーでした!


つづく