西尾×浅井 造形怪物怪獣対談-2
西「この10年、客層っていうのは変化あるんですか」
浅「うちは、そんなにないですね。うちのキット購入してくれてる中ではこいつ(猫族)が一番若かったと思います。次が丹羽やったかな。」
西「購買層も高年齢化ですよね。30代までは買うけど、40代は厳しい人もいると思うし…。世代的に帰りマンとかのラインナップも増えてきましたね。」
猫「(手元にあった『宇宙船』誌を見て)怪獣王子とかどうですか?」
西「高山良策ですね。すごく好きですよ。獣竜とか、角竜とか…。昆虫指令とか鳥人指令だとかもエラくいいですよね。キャプテンウルトラなんかも本当に良くって。」
浅「キャプテンウルトラ、良いですよね。ガレージキットっていうのは、当時の思いを立体化してこそでしょう、俺はね。まぁそんな俺も後発組なんやけども。平成以降の映画はわからんですね。」
西「私も、思い入れがないですね。」
猫「この本の執筆にも深く関わっておられる、ウエノ(ヌメロ)さんはどのような方ですか?」
西「本当に、凄く的確な批評をする方で、凄い人だと思いますよ。全般的に、辛口です。浅井さんのも最初は、ボロカスでした(笑)。僕も当時自分で造ったのを持って行って、本当に何度も駄目だしされて。」
-執筆のきっかけ
西「90年代の終わりに、ガレージもそろそろ纏めの時期かと思って、これ書いたんです。ただ、その直後に、商業メーカー主導で10年近く一方通行だったこの業界が、ちょっと変化したんですよ。インターネットの普及によって。初期の、それこそ『宇宙船』誌のように、『自分で造ったものを見せる』人達がまた現れた。それで(そこからしばらくの間は)双方向に戻ったんです。ちょうど、そのタイミングで浅井さんが出てきて、ネットを導入したメーカーの先駆けになりました。」
猫「なるほど。奇しくもネットの構造が、黎明期の状況を再現したんですね。僕は、そこまでは全然気付いていませんでした。」
浅「なるほどなぁ。パオパオさんとこの掲示板で皆、盛りあがってたもんな。フルスクラッチで投稿とかもあったし。」
猫「ネット上でのガレージの初動に、本当に大きな役割を果たして下さった掲示板ですよね。井上さんの訪問記とか衝撃でした。その後、各自ブログ等に分散していくわけですけど、あそこがないと、今の状況は絶対にないわけですし。」
西「本当に、そうですよね。」
浅「東宝だけでも、ああいったデータベースみたいなものが在るのも凄いですよ。過去の作品のポーズとか、ちょっと見たいと思ったときにぱっとでてくるでしょう。それは本当にありがたい。」
西「ええ、だからやっぱり業界史的にも浅井造型を書くにも、そのあたりは要りますよね。」