時代の空気感
>これからも過度なプレッシャーは感じず「好き」な感情で造って行って下さい。
丁度似たことを考えていたので、語らせていただきますが、結局「好き」という感情が一番の原動力かもしれません。となると、幼少時にどれだけ「好き」なものに触れたか、「好き」なものができたか、そういう点に非常に影響される。そう思いますね。
「造形怪物~」著者である西尾様が「怪獣ガレージは作者の生年が非常に重要だ」と仰っていました。
これを解釈するのなら、
多感な時期にどれだけ怪獣に触れているか、という点
その時代の空気を体感しているか、という点
この2点ではないでしょうか。この2点が、多分なんらかの形で反映される。
前者は、東宝が周囲にあった世代、ウルトラが周囲にあった世代、2期ウルトラが周囲にあった世代、と考えることもでき、ちょうどガレージのラインナップの変化もこれに同調しているように思います。
そしてもう一つ、「空気」。
これが僕らの世代だと非常に難しい。
この空気というのは、それこそ周囲の空の色、地域社会における文化性、砂利を踏んだ感触、雑誌やテレビに使われる“色合い”こういったものを体感できているか、否かということになります。
それらすべてが自分の周囲を取り巻く“空気”だと思います。
僕らの世代で、凄く極端に例えるならば
スーパーX
と
スーパーX2
この間には5年の開きがあります。
同じ曲線で構成された機械ですが、そのニュアンスの変化っていうのは、その時代を直に体験していないとわからない変化だと思います。
スーパーX2の頃合いというのは、世の家電、玩具、雑誌の書体、すべてにおいて曲線が先端的でした。
スーパーX2にはその曲線が入っているように感じます。
これはもう、絶対にスーパーXとは根本的に違う曲線なんですよ。
デザイナー云々じゃなく。いわば時代が生んだ曲線といってもいい。
こういう微妙なニュアンスの変化ってその時代の空気を肌で触れているかに左右されると思います。
そして、そうなると昭和期特撮の“時代”については、近隣の稲の匂いや、微かに残る時代の残り香から追ってゆくしかない、そう思います。
話をもとに戻します。
モスゴジの製作日記みたいなもんの最後尾に、凄く個人的な話を付けたのは、僕なりに当時「モスゴジ」観て感じた空気感を示そうと思ったからなんです。
友人達とのドライブに感謝してるのは、あいつらと行った山中のドライブでの雰囲気もまた、その空気感に似たものを得られたからでして。だからモスゴジの完成は、やっぱり友人達あってのものです※。
こういう“時代の空気感”、これは僕は同じガレージファンの先輩方には絶対に叶わないものだと思います
原型師の皆様や、先輩ガレージファンの皆様は円谷監督や本多監督、湯浅監督が生んでくださった怪獣文化に囲まれて育ってこられたと思いますから。
しかし、少なくとも、稲の匂いの中で育ち、モスゴジに似た風景を近隣に見出し、映画館での昭和ゴジラ体験はなかったものの、リアルホビーやポピーの特大、バンダイのthe特撮~のようなショックはありました。
井上さんや速水さんが生んでくださったゴジラに囲まれ、触れさせていただきながら育ったと言えるかもしれません。
そして、その思い出があるからこそ、あそこまで「好き」なのかもしれません。
色々と考えさせられる一文でした。ありがとうございました。
猫族
※故に今後キット化するなら、インスト、パッケージは共同作業でやります。