20年目の邂逅 その7
これより、リュカイナ氏製作、デスザウラー トビー・ダンカン機のレビューに移りたいと思う。
まずはこの画像をご覧いただきたい。そう、作例のデスザウラーは「首のうねり」が追加されているのである。
これにより、「正面が弱い」ゾイドであるデスザウラーの欠点を克服していることが判る。同時に、首元から縦横に伸びるコード類は、首周辺部の寂しさを埋めるものであったと推測される。
しかし、87年当時の作例のデスザウラーは後頭部切断のみである。それは同時に商品からそれほどの手を加えていないのに関わらず、ここまでの表情の変化をつけることに成功していることとなる。
リュカイナ氏の作例では、首をブロックごとに切り分け、大きな動きが可能となるように改造されている。この首のうねりこそが、この改造こそが、デスザウラー トビー・ダンカン機の再現に最も効果的に表れていると言えよう。
首部分に縦横に駆け巡るコード類。絶妙の位置にセッティングされている。また、質感の統一が、コード類の空間を含めた上半身のボリュームアップにつながっている。
そして下半身。この足首部分の追加改造には脱帽である。これだけの追加改造を行っているのにも関わらず、まったくもって全身のバランスが破綻していない。抜群の空間構成能力とセンスを兼ね備えていないと出来ない芸当である。上記、旧バトルストーリーの正面角度からの写真のイメージすら思い起こさせる。
つまり、これだけ大規模なプロポーション変更のなかに、「バトルストーリーの作例のボディラインが垣間見える」ということである。飛躍しすぎず、地味すぎず、完璧に原点をブラッシュアップしていることが伺えるだろう。
また、全身に及ぶ丁重なディティール処理(リベット打ちに注目!)、塗装での「締め」、すべての基本工作が「完璧に」行われていることが判る。また、下半身の改造に注目しがちであるが、上半身のプロポーションも大幅に変更されていることがわかっていただけるだろうか。
このデスザウラー トビー・ダンカン機の作例は、改造ZOIDS史に残る一大傑作であると断言する。そもそも、そこまでの「衝撃」を感じなければ、怪獣GKブログである拙ブログの流れを大幅に中断して身の程知らずにも「レビュー」などは行わない。
原点を崩さず、ブラッシュアップするという「表現手段」、そしてその手段を圧倒的な工作技術とセンスで「具現化」させたリュカイナ氏の「作例」は、20年ぶりの「衝撃」であり。「邂逅」であったのだ。
このような偉大な作品を造り上げ、そして僕自身の眼の届く範囲に発表してくださったリュカイナ氏に心からの感謝と尊敬を払って、この項の締めとさせていただきたい。