20年目の邂逅 その3
最初の項で紹介した ゾイドバトルストーリー 2 に話を戻そう。
ゾイドバトルストーリーはこの2巻より、特定兵士のストーリーを大きくピックアップしてゆくこととなる。勿論、戦争全体を俯瞰的な視点で眺めた語り口は健在ではあるが。
帝国軍少尉 トビー・ダンカン
共和国軍大佐 ヨハン・エリクソン
バトルストーリー 2は
この両名の使命と運命を通して語られた。
帝国軍の大陸外脱出シーンから物語は始まる。トビー・ダンカンは皇帝ゼネバスを護り、エイ型ゾイド シンカーを飛ばす。そのシンカーに照準を合わせたのは、ヨハン・エリクソンの搭乗する「Eのマークのついたウルトラザウルス」。砲撃の瞬間、ウルトラザウルスの前に躍り出たのは、トビーの兄、ダニー・ダンカン将軍の駆る虎型ゾイド、サーベルタイガーであった。
この脱出劇の最中、トビー・ダンカンは「Eのマークのついたウルトラザウルス」を兄の仇として認識、ゼネバス帝国の大陸凱旋後も執拗につけ狙う。最高級パイロット「トップハンター」として名をあげてゆくトビー・ダンカン。
皇帝ゼネバスはトビーを大戦の切り札となる超巨大ゾイドのパイロットに任命する。
そのゾイドこそが「デスザウラー」であった。特殊部隊「がい骨(スケルトン)」の面々と共闘し、向かう敵をを壊滅させつつ、共和国首都を目指すトビー、一方エリクソンは「Eのマークのついたウルトラザウルス」で首都防衛に着いていた。ついに両者の運命が交差する…。
デスザウラーの登場は学年誌でも数カ月前から予告されていた。
アオリ「デスザウラーを確保!」→巨大なパーツだけでした…。
アオリ「共和国軍、デスザウラー秘密基地を襲撃!」→巨大な足跡が残されていた…。
と、散々我々少年読者は焦らされたのである。
僕自身がデスザウラーを確認したのは忘れもしない、小学4年の秋、近所のスーパーの雑誌コーナー、「小学●年生」だった。
何故●年生なのかと言うと、僕自身、この号を買ってもらった記憶が無いのである。ということは、当時の僕の該当学年以外の学年誌であった可能性があるのだ。近所1キロ以内が生活圏のすべてであり、書店らしい書店の無かった当時、該当学年の学年誌は売り切れていた際には購入は不可能であった(最近、小6、小5の休刊が発表されたが、それぐらい当時は売れていたのだ。少なくとも僕の周囲はみんな買っていたと思う)。とにかく、デスザウラーとの初対面は、そのスーパーで祖母が買い物をしている数十分間の事であった。
ファーストインパクトはこのカットである。

印象としては、
「ウルトラザウルスにも勝る巨大さ」
「首周辺を覆うパイプ、コード、背中のゴチャゴチャ具合、カッコいい」←この印象が後々問題になってきます(笑)
「ツリ目じゃない…。でもそれが怖い」
そしてなにより
「大好きな 肉食恐竜 型だった!よかった!」
であった。
大いに興奮し、クリスマスまではまだ期間があったとはいえ、「今年のプレゼントは、デスザウラーで」と頼んだのを覚えている。
amazonなどなかった当時、デスザウラーの購入は大変に苦労したらしい。
どの店舗に行っても売り切れ、売り切れ、結局、当時母が交際していた恋人が、市内すべての玩具店を回り、最期の1店舗でみつけてくれたということだった。この苦労談は、後年も良く聞かされたので非常に印象に残っている。
はたして、デスザウラーはクリスマスに無事に我が家に来た。