ドン引きしたこと



少し愚痴めいた話になることをお許しください。


先週末、自分以降に入った新人さんの歓迎会があった。
たまたまちょっと苦手だな、と感じてはいたハゲ課長の横に座らされ、(この時点で断るべきだった、トホホ。まあ、私も入社して1ヶ月少しだったので)
2杯目あたりで空のジョッキを目の前に腕を通すのが忍びなく、何気なく自分の左手に置いたのだが、決して人の目の前じゃなく、あくまで隙間に置いたつもりだったが「何しとんねん、ババア!」と罵倒されたのだ。


思わず目を点にしていると、
「あ、まだ免疫なかった?普通に言ってもおもんないから」とニヤニヤせせら笑いながら言われたわけだ。


ああ、なるほどと理解した。


この人は私に対して、
ババアと「言われ慣れてない」ほうが悪い、
こんなことを気にするほうが悪い、と言いたいのだろう、と。


ただ、周りはハゲ糞課長の言葉など聞いてもいない。
ただ二人の会話で笑いをとろうとババア呼ばわりしてくださったわけだ。


私はさすがに誰かの歓迎会で
不機嫌を振り回すほど子どもではない(と、思いたい)ので、
ずっとニコニコ酒を飲んでいた。



「ずっと笑ってるなあ」など言われながら。



私はババアだ。
そりゃもう50近いんだもの。
だが、8歳下の旦那にも
息子にもババア呼ばわりされたことはない。


私がショックを受けたのは
歳上の少なくとも剥げたきもいやつに、
自分のコンプレックスを゙解消したいのかマウントとりたいのか分からないが、
ババアと呼ばれてそれを面白がれないお前が悪いとする、
人を馬鹿にしといて、それをユーモアとしない、できないお前が悪い、とする
その価値観にドン引きした。



さすが見た目もキモいが中身もやべーやつだ。



まだそんな昭和な価値観で生きてるやつがいるのか。
しかも歳は一つ?2つ上くらいだ。


令和の今、
女の買い物長いよね、
女のおしゃべり長いよね、だけで
議員さんでも辞職を迫られる時代に、



「ババア」と呼ばれて、
まだ慣れてないの?免疫ないの?と
せせら笑うあの見下した感じ、
完全に人をバカにした笑いにドン引きした。


帰って旦那にそのことを話すと
「やばいな」「それは完全アウトやろ」と慰めてくれたものの、

「そんなに老けたんやろか」と、私が悲しげに言うと
「もう50やからなあ、」と笑い、そのあと
「歳のわりにかわいいほうやと思うよ」
少し間をおいて
「かわいい方や」と念押しで2回言われた。



これはのろけ話じゃなく
本当に救われた思いがした。
旦那がそう思ってくれてるならまあいいか、と。
世間からは汚いババア呼ばわりでも
旦那や家族が
「かわいいよ」
「価値あるよ」と言ってくれてるわけだから。



ただ自分でいくらババア自覚していても
歳上のキモいハゲたじじいにだけは言われたくないと思ってしまった自分という人間の愚かさ、
小ささをここで吐き出しておこうと思う。






そんな次の日、トボトボあるいていると
健気な鳴き声がした。
この時期はあちこちでつばめたちが忙しそうだ。


せっせ餌を運んできた親鳥が去ると
なあに?とでも言いたそうに口を一文字にした雛たち。


くじけたハートに
純なかわいさが沁みて泣けた。