内容紹介(「BOOK」データベースより)

壬生狼と呼ばれ、京洛の人々に恐れられた新選組。その鉄の組織を実質的に運営していた「鬼の副長」土方歳三とは、いかなる人物だったのか。天然理心流の道場・試衛館入門から、盟友の近藤勇との別離、そして箱館戦争で壮烈な戦死を遂げるまで、六人の実力派作家の作品が、その軌跡を明らかにしていく。これまで浸透してきた肖像をくつがえす、これぞ土方歳三アンソロジーの決定版!オリジナル文庫。

目次(「BOOK」データベースより)

よわむし歳三(門井慶喜)/降りしきる(北原亞以子)/古疵(火坂雅志)/逃げる新選組(早乙女貢)/歳三の瞼(羽山信樹)/五稜郭の夕日(中村彰彦)

 

 

この表紙を見て「ゴールデン・カムイ」を思い出す方は多いかと思われます。

原作とほぼそっくりなイラスト使っていいんだろうか。

「作者に怒られないのかな」と余計な心配をしていましたが読み終えて最後の方に

本家「ゴールデンカムイ」の作者、野田サトル氏の描き下ろしとのことです。

納得です。

 

ところでゴールデンカムイでもそうですし、他の小説でも

「鬼の新選組副長」と恐れられた土方歳三さん。

本短編集の一作目では剣士としてはさほどではなく、錚々たる剣術使いの隊士たちを束ねるために、ことさら隊規を厳粛に履行せざるを得なかった。

本人は武功を切実に望んでいたかのような内容です。

 

僕のこれまでのイメージでは小説でもそうですが、今では思い出せない小・中学生の頃、初めて読んだ新選組のマンガでの印象が強く記憶に残っています。

 

その漫画の中では近藤勇さんも土方歳三さんも道場剣術ではさほど強くはなかったけど実戦にはやたらと強かったという描写です。

 

あ!思い出した。

中学生の頃、僕は剣道部員ではなかったですが剣道部の人に無理強いして試合をさせてもらったとき、蹲踞から構えに入った瞬間にしゃがんで一歩踏み出し片手で相手の脛を打ちました。

漫画で描写されていた戦法です。

見事に決まりましたがめっちゃ怒られました。

(出禁されました)

 

 

 

いや、でも、これが実戦なんだよね。と思います。

二度と剣道部の方には相手されませんでしたけど

 

ということで道場試合でない場合は卑怯もクソもないわけですので

近藤勇さんも土方歳三さんも実戦ではめっちゃ強かったというイメージをこれからも持ち続けます。

 

しかし土方さん、美男(イケメン)ですね。

 

  

 

鳥羽・伏見の戦いで「刀の時代は終わった」と悟りつつも函館戦争までフルに走り続け己の美学(滅びの美学)を貫いたその生き様に憧れます。

 

 

余談ですが最近神社仏閣を巡るようになってから土方さんや過去の名将軍さんたちの「滅びの美学」には漢のロマンを感ぜざるを得ませんが、それにより率いられた兵隊さん達や道連れにされた相手の兵たちはいい迷惑ですね。

一番良いと思われるのは勝敗の流れが誰の目にも明らかなときは降伏し多くの敵味方の兵の命を助けるべきなんじゃないかと思うようになりました。

自分の中でもかなり葛藤する内容です。

個人的に徳川慶喜さんは好きではありませんが、本当はあの態度が一番良かったのかなとちょっとだけ思うようになりました。

己の美学を貫くにあたり周りの方に迷惑をかけない、道連れにしない方法が有ればいいですね。

兵の命を守るために降伏し自分は己の美学を守るために自決する。

これも一つの方法なのかも。

とはいえ、どんな状況下でも己の家族を守る、国を守るために最後まで交戦することも大事なんじゃないかとも思う。

結論が出せそうにもありません。