井上尚弥、全米が認めた最強MVP 86年の歴史で日本人初受賞「光栄。24年もさらに精進」
ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者の井上尚弥(30=大橋)が全米ボクシング記者協会(BWAA)の記者投票で決まる23年の年間最優秀選手賞(MVP=正式名称シュガー・レイ・ロビンソン賞)に輝いた。19日、同協会のジョセフ・サントリキート会長から井上本人、所属ジムの大橋秀行会長(58)が連絡を受けた。1938年から始まった同賞の日本人受賞は初めて。昨年の2試合はいずれも日本開催だったが、米国をはじめとした世界のメディアから高い評価を受けた。 ◇ ◇ ◇ 19日午後2時、横浜市内の所属ジムに待機した井上のもとに、BWAAのサントリキート会長から電話連絡が入った。98年の歴史を誇るBWAA伝統の方式で、23年の年間最優秀選手賞の受賞通知を受けた。創刊100年の歴史と権威を誇る米老舗専門誌ザ・リング編集長をはじめ、米主要メディアのボクシング記者らBWAA会員(正会員94人、補助会員ら)の投票で選出。井上は「昨年、日本での2試合でしたが、こうして世界中の記者の方々からの評価をいただけて光栄に思います」と喜んだ。 昨年7月、当時無敗でWBC、WBO世界同級王者のスティーブン・フルトン(米国)を8回TKOで撃破。同12月にはWBAスーパー、IBF世界同級王者マーロン・タパレス(フィリピン)を10回KOで下し、史上2人目の2階級での4団体統一に成功したことが評価された。「やはり米国人のフルトン選手を下したことが大きかったのかなと思います」と率直な感想を口にした。 同7月には先にテレンス・クロフォード(米国)が史上初の2階級での4団体統一を達成。MVP候補には井上、クロフォード、WBA世界ライト級王者ジャーボンテイ・デービス、WBC世界スーパーミドル級暫定王者デビッド・ベナビデス、WBC世界スーパーライト級王者デビン・ヘイニー(すべて米国)が入ったが、全米中心の記者に支持されたのは井上だった。 BWAAはMLB大谷翔平投手(現ドジャース)を2度ア・リーグMVPに選出している全米野球記者協会(BBWAA)のボクシング版組織。大谷は米国でプレーし、数多くのタイトルを獲得してきたが、23年の井上の2試合はいずれも日本開催。配信や中継などを通じて井上のファイトが全米を中心とした世界の専門家たちに認められたことに大きな価値がある。 1926年2月にBWAAが創設されたとサントリキート会長から説明された井上は「同協会が98年の歴史があると知り、あらためて受賞の重さと大きさを感じました。24年もさらに精進していきたい」と決意を新たにした。【藤中栄二】
◆シュガー・レイ・ロビンソン賞 米老舗専門誌ザ・リング編集長ら米主要メディア記者たちで構成されるBWAA会員の投票で決まる年間最優秀選手賞。レジェンドの元世界2階級制覇王者ロビンソンの名がつく。1938年から表彰が始まり、初代受賞者は元世界ヘビー級王者ジャック・デンプシー(米国)。3回の最多受賞はムハマド・アリ、ジョー・フレイジャー、フロイド・メイウェザー、シュガー・レイ・レナード(すべて米国)、マニー・パッキャオ(フィリピン)の5人。2回受賞にはマイク・タイソン(米国)ら。 ◆全米ボクシング記者協会(BWAA) 1926年2月、米ニューヨーク・マンハッタンで設立。米ボクシングの報道期間、刊行誌(電子版含む)、映像で最高の専門的および倫理的基準を育成し、スポーツをカバーする人々のためのより良い労働条件を促進することを目的とした組織。プロのメディア組織で、ブロガーやファンは会員として認められていない。定期的に特定の報道機関に記事が掲載されているプロのジャーナリストで構成。年間表彰は38年から開始。公式サイトでは「かなりの数の申請者が入会を認められていない」とし、全米野球記者協会(BBWAA)など他のプロライター組織と「同じ基準の必要性を反映している」とする。 ○…BWAAのサントリキート会長は井上に最大級の賛辞を贈った。電話連絡の際、井上に向け「正式に23年のファイター・オブ・ザ・イヤーとなるシュガー・レイ・ロビンソン賞を受賞しましたと報告します。BWAAは98年の歴史があります。日本人初受賞で、歴史をつくりましたね。(世界ボクシング界で)名の知れた選手たち、ムハマド・アリ、ジョー・フレイジャー、マニー・パッキャオ、フロイド・メイウェザー、そして井上尚弥です。みんなと肩を並べたことになりますね」と絶賛した これまで年間MVPを受賞したレジェンドたちの名を挙げた上で、同会長は「井上選手はこの2~3年、すごい実績を残してきたので、この賞を受け取ってもらうのは当然のことです。そして、この賞を獲得したほとんどの人が、ほぼ(世界ボクシング)殿堂入りしている。既に井上選手の殿堂入りもほぼ確定していると言っていいですよ」とまで口にした。 また同会長は、昨年7月に井上が下した元WBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(米国)と交流があると明かした。先週末にフルトンと会った時のエピソードを披露。同会長は「フルトン選手から『井上にMVPを出さなければアホだ』と言われましたよ」と笑いながら井上に報告。そして「6月に(米国で)表彰式を開催するので、ぜひ井上選手には来てほしい」と伝えていた。 ○…大橋ジムの大橋会長が、井上のBWAA年間最優秀選手賞を驚きの表情で受け止めた。井上とともに横浜市内のジムで待機し、BWAAからの正式な受賞連絡を受けると「1938年の初代受賞者はジャック・デンプシー選手です。伝説中の伝説のボクサーから始まったBWAAの年間最優秀選手賞で井上尚弥が日本人初受賞したことは、本当にすごいとしか言いようがありません」と感慨深く口にした。年末年始にかけ、井上は米老舗専門誌ザ・リングをはじめ、米国など海外だけで23年の年間最優秀選手賞の受賞は“7冠”に到達。特にBWAAの年間MVPは最高峰となる。今年の井上は4団体統一王者としての防衛戦として、5月に東京ドーム初進出が有力。元世界2階級制覇王者「悪童」ルイス・ネリ(メキシコ)の挑戦を受けることが濃厚だ。大橋会長は「まだまだこれからが始まりです。みなさん、期待してください」と予告していた。 ◆井上尚弥の23年MVP7冠 米スポーツ専門局ESPNの男子年間最優秀選手賞、米3大ネットワークとなるCBSのボクシング年間最優秀選手賞、創刊100年以上の歴史と権威のあるザ・リングの年間最優秀選手賞、ボクシング主要専門メディアとなるワールド・ボクシング・ニュース、ボクシング・シーン・コムも年間最優秀選手賞に選出。メディア以外でも、米プロモート大手トップランク社によるファン投票で決まる23年の年間最優秀選手賞にも選ばれている。
ジムで受賞の連絡の電話を待つって、大臣か甲子園の出場決定のシーンを思い浮かべましたが^_^
戦う度に歴史を刻みますね。日本の世界チャンピオンが多かったですが、ホントの日本が誇る世界チャンピオンですね。
大谷の真似になりますが、ボクシングしようぜって全国の希望する高校、大学に、ボクシンググローブでも送って欲しいですね。
あとファイトマネー公開してボクシングで稼いでやる。という少年がでてくるあしがかりを作ってあげて欲しいもんです。
井上選手おめでとう㊗️ございました。