まだ知らないTHE | プロボクサー田之岡 条オフィシャルブログ「僕色リング」

プロボクサー田之岡 条オフィシャルブログ「僕色リング」

プロボクサーの田之岡 条です。生きることはトレーニング。テンション上げていきましょう!


どうもこんにちは。


タイ旅行中のひとコマ。



タノジョーです。



昨日までパタヤとバンコクに行ってた。復帰戦もおわって休養中のバカンスで。バカンスで行ってなんで写真のような状況になってんだって話なんだけど。




Googleマップでホテルの近くに小さなムエタイジムを見つけた。ホテルはジム付きで、朝にワークアウトは終えていたけどこれはまた別腹だろうということで体験しに向かう。今おもうけどどんだけ筋肉バカなんだよ。休養じゃねえのかよ。プールサイドで絵に描いたような南国のカクテルとか飲んどけよ。

でもどうしてもタイの国技と文化に触れたい気持ちが勝った。フライトで血行が悪くなってたし、何よりトレーニングしてから食べる現地のごはんはおいしいんだ。疲れたらタイ古式マッサージにいけばいいし。




やばい。ビンビンくる。これこれ。THE だよ。中で少年が寝ていたので申し訳ないけど声をかけて「Can I try OK?」と聞くと奥から青年が出てきた。



彼の名前はタンク。現役の選手らしい。おれのような輩はよく来るみたいで、ビジター制があって1回600バーツ(約2,500円)だった。それでこんな貴重なアクティビティができるなら安いよ。軽い自己紹介がおわると彼がロープを渡してきた。「5minute」微笑みながらそう言うとスマホのストップウォッチを起動して座るタンク。まさかパタヤに来てロープスキッピングをやらされるとは思わなかったぞ。日本でもあんまやらないのに。いきなりキックミットを持ってくれて、飽きたら帰る、みたいななのを想像してたんだよ。生半可な気持ちできたことをちょっと後悔した。




裸足にロープが当たるとこれが痛てえ。ただでさえ暑さになれてなくて汗ダラダラだったのに、軽く海に入ってきたかのようにズブ濡れになった。



いよいよミット。国際式ボクシングをやってることは最初に伝えたのでキックのレクチャーから。



丁寧におしえてくれた。「お前下手だなあw」と蹴るたびに笑われる。さすがに全弾笑われるとちょっとムカついてきた。宮澤雄大に予習させてもらってからいけばよかったよ。



2ラウンドくらいやるとコツを掴んだのかちょっと良くなってきた。得意のパンチも織り交ぜると我ながらキックボクサーに見えなくもない。フロントの女性も形になってきたと感じたのかインスタストーリーズに載せる動画を撮り始める。タンク教えんのくそうまいな。キックの才能皆無のおれを形にしちゃうんだからスゴイ。





楽しくなってきて打ち込みまくる。腹から声を出しながら。これは普段からやってる。おれにムエタイの才能があったらここくらいだ。かけ声だけはナックムエ(ムエタイ戦士の意)に負けてない。そんなときに気づいた。いったいこれ何ラウンドやるんだ?




結局計6ラウンド。全ラウンドフルマックスで打ち込んだ。はっきり言って試合がおわってからフィットネスレベルに満たないくらいの強度でしか動いてないおれにこれだぞ。死ぬかと思ったよ。でも楽しかった。




やっと終われる。安堵感で「コップンカップ」とお礼を言った。教えてくれてありがとう、よりも勘弁してくれてありがとうに近かった。てめーで来といてな。するとサンドバッグの横に呼ばれた。お前のミドル下手すぎるから教えると。



ミットよりはるかに硬く重いし、蹴るのにパワーが必要。それをひたすら蹴らされる。超いてえ。しかも今度はなぜかブレイクタイムがない(!)もはや後半は若干キレながら蹴ってた。スネの感覚がなくなったころ「OK,Brake.」と解放宣言がされた。




水を飲んでいると今度はニーの練習だと。



この調子でジム内を何周もさせられる。バッグを蹴るよりパワーはいらないけど、ずっと蹴り続けてると今度はケツの横がパンパンになってきた。休養中におれは何やってんだ。またおれだからなんとか頑張ってるけど未経験で体験に来てこんなことやらされたら文字通り裸足で逃げ出してるぞ。


「Brake.」というので水を飲んでいるとプッシュアップをやれと言われる。ブレイクの意味わかってんのかよ。これすらキツイ。そうして最後の最後。シットアップをしながら腹をミットでシバかれて終わり。確実に今回のファイトキャンプ中より追い込まれた。



結果的に、頭がからっぽになってよかったのかな。ミットをやってるとき本当に楽しかった。おれがローをカットできなかったり疲れてるおれを足ひっかけて転ばしてきたり。楽しそうに笑うんだよふたりで。お互いに片言の英語なんだけどさ。格闘技ってのはこういうときいいよ。ここがテニスコートでおれがカバディの選手だったらこうはいってないよな(もっと普通な競技あるだろう)



左の少年はこのあと試合だったらしい。Fight dayのクソ忙しい日に冷やかしできた日本人をみっちり追い込んでくれて感謝しかないよ。ロープや基礎の反復練習をやったりするのも初心に帰れてよかった。次きたときの左ミドルは笑わせねえぞ。




終わってこのネイキッド状態で帰れるのもいいよな。水を溺れそうなくらい飲んだ。フットマッサージにいったけどマッサージとかそういう問題じゃないと思った。負傷だよ。痛がるおれに微笑みながら痛点を指圧するマッサージ師の女性。微笑みの国と呼ばれてるだけあって、すごく良い顔するよな。でもこの瞬間だけはドSにしか見えない。さっきのタンクを思い出した。




で、それを引きずって翌日に行ったワット・パクナーム。



身体中バキバキに痛かったけど浴衣でいったぞ。スネがパンパンに腫れてるからこの点はラクだったな。休養でいって軽く怪我して帰ってくるってどういうことだよ。でも、今はこの身体の痛みだけがパタヤにいたことを四六時中思い出させる。最高のおみやげだ。




来週もネタ切れだったら旅行記を書くかも。てなワケで今週も、テンション上げていきましょう!