「フェイクがうまいQB」

はディフェンスにとって非常に厄介です。

 

RBにハンドオフしたと思ったのに、

まだボールを持っていてパスを投げたり

します。

テレビのカメラもたまにだまされますね。

 

アメリカンフットボールは

「パワーとスピード」

が魅力ですが、

 

「相手の裏をかくだましあい」

ももうひとつの魅力です。

 

試合の中で、

 

「力と力のぶつかり合い」

「スピードの競い合い」

を展開しながら、

 

「肩すかし」

のように相手の裏をかいたプレーを

展開するのも

アメリカンフットボールの楽しみです。

 

QBが行う

「肩すかし=フェイク」

 

はディフェンスをあざむきながら

ディフェンスの動きをコントロールし、

ボールを前に進めていく上で非常に

大切な技術です。

 

今回は

「フェイク」

について書いてみたいと思います。

 

 

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現役時代、僕は

「フェイク」

は上手かったほうだと思います。

 

まだボールを持っているのに

審判に笛を吹かれたことも何度か

あります(笑)

 

「何のためにフェイクするか」

というと、

「ディフェンスを操作するため」

です。

 

パスが投げやすい状態を整えるために、

レシーバーがフリーになりやすいように、

RBが走りやすくするために、

 

QBはフェイクします。

 

QBだって、

「誰かのために」

プレーしてます(笑)

 

QBが行うフェイクを

 

・ランプレーにおけるフェイク

・パスプレーにおけるフェイク

 

に分けて紹介してみたいと思います。

  

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ランプレーにおけるフェイク

 

この代表格は

「ハンドオフフェイク」

ですね。

QBがRBにハンドオフすると見せかけて

ボールを渡さないやつです。

 

以前のブログ

「QBのお仕事 オプションプレー」

で紹介した

トリプルオプションの最初の動き

「ダイブフェイク」

がそうですね。こんな感じです。

 

「Georgia Tech Anatomy of The triple Option」

 

開始54秒くらいのところにありますね。

 

QBは手に持ったボールを

「ディフェンダーに見えるように」

RBのお腹に当ててライドしています。

それにつられてディフェンダーがRBを

タックルしようと前に出てきたので

ボールを抜いてキープしてますね。

 

このフェイクは実は

「結果としてフェイクになってしまった」

だけですね。

もし、ディフェンダーがRBに突っ込んで

こなければ、QBはそのままボールをRBに

渡していたわけですから。

 

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通常フェイクは

「ボールを渡すふりをする」

と捉えられていますが、

QBとしては

「ハンドオフした後」

にやるフェイクもあります。

 

例えば、

右展開のランプレーのハンドオフやトスを

した後、左に走っていったりしますね。

QBの動きに敏感なディフェンダーは

その動きにつられてプレーサイドと

反対の方向に走っていくことになり、

手薄になったディフェンスの合間を

RBが走りやすくなります。

 

RBにハンドオフした後、ドロップバックして

パスを投げるふりをしたりします。

こうすることで、LBやDBなどパスを

カバーする意識の高いディフェンダーが

前に出てくるのを防ぐことが出来ることが

あり、スクリメージラインを抜けた後の

RBがダウンフィールド

(スクリメージラインのディフェンス側)

を走りやすくする手助けになることも

あります。

 

以前経験した試合では、

試合前の対戦相手の


戦略分析=スカウティング


のデータで

「LBがQBの動きに過剰反応する」

チームがあったときは、

右ダイブのハンドオフの後、

QBが左に走るだけで第2線に大穴が開き、

ロングゲイン連発だったことがあります。

 

別の試合では

「LBがガードの動きに過剰反応する」

チームがあり、そのときは右ダイブのときに

右ガードを左に走らせて楽々ロングゲイン

のときもありました。

ちなみに、このプレーのように

ラインとRBが違う方向に動くプレーを

「ミスディレクション(Miss Direction)」

と言います。直訳で

「方向違い」ですね。

 

僕はゲーム中にオフェンシブラインの動きを

操作してミスディレクションのプレーに

変更するのがけっこう好きでした。

 

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「ハンドオフフェイクした後」

にさらにフェイクするプレーもあります。

 

ダイブのハンドオフフェイクした後、

まだボールを持っているのに

スクリメージラインを超えたRBを見て、

 

「どれくらい進んだかなぁ」

と、とぼけるような仕草を見せることも

あります。

 

フェイクに引っかかって前に出てきた

ディフェンダーの裏側にパスを投げたり、

そのままQBがボールを持って逃げたり。

 

このときは最初のハンドオフフェイクで

「いかにLBをRBにひきつけられるか」

がポイントです。

RBをタックルしようと前に出てきたLBの

裏側に走りこむレシーバーにパスを

投げたりしやすくなります。

 

QBは

「演技力が問われるポジション」

です(笑)

 

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パスプレーにおけるフェイク

 

一番有名でわかりやすいのが、

「ポンプフェイク」

ですね。

 

ドロップバックしてポケットにとどまった

QBが

「ヒョイッ」

とパスを投げるふりをするシーンを

よく見ます。

 

QBとしてポンプフェイクするのは

「ディフェンダーの足を止めるため」

です。

 

QBにとって、

「足を止めたいディフェンダー」

には2種類あり、

 

ひとつは

「ラッシャー」

もうひとつは

「レシーバーをカバーしている

ディフェンダー」

です。

 

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「ラッシャーの足を止める」

 

パスラッシュは通常ディフェンシブライン

4人で行いますが、時には

「ブリッツ」

と言って、LBやセイフティがラッシュ

してくることもあります。

 

「QBにパスを投げさせないようにする」

ために、オフェンシブラインの

パスプロテクションをかいくぐり、

猛然とQBに突進してきます。

 

パスラッシャーの究極プレーは

「QBサック」

ですね!

パスを投げる前のQBにタックルして

プレーを止めてしまうことです。

パスラッシャーのビッグプレーです。

 

サックできないまでも、QBをポケットから

追い出してプレーを崩したりすることも

大切です。

 

ポケットから追い出せないまでも、

QBが投げたボールを

「ブロック」

して、レシーバーに通さないようにするのも

大切な動きですね。

ここでインターセプトできることもあり、

これはQBサック以上のビッグプレーです!

 

必死になってQBに突進してくる

パスラッシャーの足を止める方法が

「ポンプフェイク」

です。

 

QBがポンプフェイクすると、

パスラッシャーはパスをブロックしよう

として突進の足を止め、飛び上がって

パスをカットしようとします。

 

ポンプフェイクのたびに1人のラッシャーが

2度3度飛び上がることもよくあります。

 

QBはそれを見て楽しんでいることも

あります(笑)

 

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「レシーバーをカバーしている

ディフェンダーの足を止める」

 

QBがスローイング動作に入ると

ディフェンスは

「誰に投げるか、どこに投げるか」

を特定しなければなりません。

そのために、一瞬動きが鈍ります。

 

特にゾーンディフェンスの場合、

ディフェンダーは自分の担当範囲に

侵入してきたレシーバーが

「パスのターゲットかどうか」

を見極めるために、

レシーバーとQBの両方を見ています。

 

「ポンプフェイク=投げるふり」

することで、

一瞬動きが鈍るディフェンダーの性質を

利用して、ディフェンダーをレシーバー

から引き離しパスを通しやすくします。

 

ポンプフェイクに関する動画をひとつ紹介

します。

Seattle SeahawksのRussell Wilsonが新人の

ころ、地元テレビ局に取り上げられたもの

です。

ディフェンダー、跳んでます(笑)

 

「Russell Wilson - Master Of The Pump Fake」

 

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もうひとつ、QBがパスプレーの時にやる

フェイクに

「アイフェイク」

があります。

 

基本的にQBは

「投げたいレシーバーを見る」

ので、ディフェンダーはQBの視線を

追いかけます。

 

通常は視線とヘルメットが向いている方向が

一緒なので、

「ヘルメット(頭)の向き」

を見ますね。ある意味

「ヘッドフェイク」

ともいえると思います。

 

ディフェンダーにとっては、

QBが頭を右に振れば右への警戒心が、

QBが頭を左に振れば左への警戒心が、

上がります。

 

「フィールドの左右」

を大きくヘッドフェイクすることも

ありますし、

「ゾーンの境界線の左右」

を小さくヘッドフェイクすることもあります。

 

ヘッドフェイクした後は通常は頭や視線を

再び投げたいレシーバーの方に戻します。

また、ヘッドフェイクはしても

「目線は投げたいレシーバーに置いたまま」

のときもあります。

 

ヘッドフェイク・アイフェイクの究極は

「No Look Pass」

です。目線と違うところに投げるパスです。

 

最近これが巧いなぁと思うのは、

Kansas City ChiefsのPatrick Mahomes

ですね。彼は

「右を見ながら左に投げる」

のが巧いですね。

僕は

「左を見ながらそのちょっと右に投げる」

くらいは出来ますが、あんなThrow Backは

出来ません。

これも動画を紹介しますね。

 

「No Look Passes In Football Compilation」

 

動画開始30秒くらいのところからの

プレー、見事ですね!!

「ポケットを駆け上がってフィールドを

見たら投げたいレシーバーをLBがカバー

してたから...........」

と言ってましたが、それにしても凄い

ですね。これは

「フィールドの左右」

を大きくヘッドフェイクするプレーですね。

 

この動画の1分26秒くらいのところに

もうひとつ

「ゾーンの上下の境界線」

を小さくヘッドフェイクするプレーが

あります。これはヘッドフェイクと言うより

「体の向きでフェイク」

と言う感じですね。

 

QBが右フラットゾーンのほうを向いて

投げようとしていますが、

実は投げたのはゾーンの奥にいる

レシーバーですね。

手前のLBは完全につられています。

CBも一瞬足が止まります。

 

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「Play Action Pass」

と呼ばれる

「ランプレーに見せかけたパスプレー」

では必ずハンドオフフェイクしますね。

 

「NFL101 Play Action Pass」

 

この動画で、QBがRBのお腹に向かって

ボールを持った手を伸ばしていますが、

ボールは渡さずにパスの体勢に入りますね。

 

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ハンドオフフェイクには、

「ボールを見せるフェイク」

「ボールを隠すフェイク」

とあります。

 

上で紹介した動画も

「ボールを見せるフェイク」

ですね。

 

「ボールを見せるフェイク」

は、ハンドオフ前にディフェンスに

「渡すよ、渡すよ」

と見せておいて、前におびき寄せるフェイク

 

「ボールを隠すフェイク」

は、ハンドオフフェイクのの後に

ディフェンスに

「渡したよ、RBが持ってるよ」

とあわてさせて動きが止まる、

前に出てくるように仕向けるフェイクですね。

 

「ボールを隠すフェイク」

の動画を紹介します。

NFLの至宝、名QBのJoe Montanaの

「Handoff Fake」

です。

4分20秒くらいのところで、

ドロップバックしながら左腕をスッと伸ばす

動作、このときボールは右手で持って体の

後ろに隠していますね。

 

 「Joe Montana - The Come Back Kid」

 

僕も

「ボールを隠すフェイク」

が得意でした。

 

「ディフェンダーに見えるように」

RBのお腹に当ててライドし、ライドの途中で

「片手でボールを持って体の後ろに隠す」

フェイクです。

 

ライドの時点ではボールを見せ、その後

「ボールを持っていない手」

を見せることでディフェンダーに

「ハンドオフした!!」

と思わせる技です(笑)

これでアンパイア(審判の1人)も

何度か騙しました(笑)

 

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フェイクがうまく出来るようになると

QBとして、自分の動きでディフェンスを

コントロールできるようになります。

 

RBが走りやすいように、

レシーバーがフリーになりやすいように、

オフェンシブラインがパスプロしやすいように。

 

QBもハンドオフのあとは

「見てるだけの人」

ではなく、プレーが終わるまで

「他のプレーヤーのためにできること」

をしっかりやれば、ゲームは組み立てやすく

なります。

 

今回は、この辺で。

ありがとうございました。

 

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ジョーイシカワ(Joe Ishikawa)

プロフィール

 

大学時代からQB。

カナダでも草フットボールを楽しむ。

 

カナダ生活15年を

世界的スキーリゾートのウィスラーで

スキーインストラクターとして過ごす。

カナダスキー教師協会 Level 3 国際資格取得

カナダスキー競技コーチ協会 Level 2取得

カナダスキー教師協会検定員

 

同時にフレンチレストランの厨房にて

シェフを勤める。

 

その傍ら、

「ハリウッド・ノース」と呼ばれる

カナダの都市バンクーバーで俳優活動開始。

 

帰国後、英語力・料理経験を生かし、

英語発音指導、料理指導、糖尿病食開発。

上級ヨガインストラクター資格取得

(タイ国公認資格)

(ルーシーダットン=タイ式ヨガ)

 

日本で俳優・タレント活動開始。

母校のアメリカンフットボール部のQBコーチ

 

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私が出演させて頂きしました

 

映画「形のない骨」

(2018年7月公開 by エレファントハウス)

 

のDVD、好評発売中&レンタル中です!

 

田中英二役で出ております。

(メインキャスト紹介欄参照)

 

映画 「形のない骨」

 

監督は

「CM界の『女性美の魔術師』」

と呼ばれている小島淳二氏。

 

ドリカムのMVなんかもやっている方です。

 

小島監督のその他の作品、

こちらのサイトからご覧いただけます。

 

http://www.teeveeg.com/

 

よろしくお願い致します!

 

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他にも、こんな作品に出ています。

 

NHK福岡制作

「福岡美人がゆく!」

主演の奈緒さんの上司役で出ています。

 予告編オープニングに奈緒さんと一緒に

出てます!

NHK福岡制作「福岡美人がゆく!」予告編

 

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「A kind person」

Adfest2018 アジア太平洋広告祭

新人監督賞 銅メダル受賞作品

 

これには

 

「自殺志願のサラリーマン」役で出てます!

 

これらもよろしくお願い致します。

 

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次回は、

 

「ディフェンスのディスガイズ」

について書いてみたいと思います。

 

QBが

「フェイク」

でディフェンスをだますように、

 

ディフェンスも

「ディスガイズ」

でQBをだまします。

 

「QBのフェイク」

に加え、

「ディフェンスのディスガイズ」

がわかるようになると、

 

「だましあいのスポーツ」

であるアメリカンフットボールがより

楽しめるようになりますよ!!