スローイングにおいて

「ヒップエクスプロージョン」

は非常に大切な役割を果たしているのですが、意外とその認識と意識が希薄なような気がします。


ヒップエクスプロージョンの理解が進むと下半身と上半身の連動がスムーズになりスローイングのパワーも上がると思います。


今回は

QBのスローイング「ヒップエクスプロージョンと地面反発ともうひとつの力について」

書いてみたいと思います。


もうひとつの…………


前回から好きですね、この言い回し😁


スローイングでヒップエクスプロージョンと言われてもちょっとピンとこないかもしれませんがちょっとここを掘り下げながらヒップエクスプロージョンを利用することでいかに効率よく楽に投げられるようになるかを探ってみたいと思います。



-----


「スローイングでヒップエクスプロージョン?」

という感じではないかと思います😁


ヒップエクスプロージョンのイメージとしてはDLがダミーやスレッドに当たりながら腰をぐっと前に突き出すようにしてやってるやつですよね。


正直なところ僕もスローイングでヒップエクスプロージョンについて書くなんて思ってなかったのですが、


前回のブログで

「体軸回転の初動で右腰ピクッをやると投げやすい」

と書きながらなんで右腰ピクッを入れると投げやすいのかを考え始めたところから

「あぁ、ヒップエクスプロージョンかぁ」

と思いあたり、じゃあ書いてみようとなったわけです。


まあ、DLがやってるのと比べると本当に小さな動きなので

「ヒップエクスプロージョン・ミニ」

というかエクスプロージョン前の

「ヒップエクステンション(腰周りの伸び)」

くらいの感じだと思います。


ピクッと動きますので小爆発的要素がありますし、やはり

「ヒップエクスプロージョン・ミニ」

ですかね😁


---


僕個人的には、

右腰ピクッをやるとスローイングの初動がすごくスムーズになるんですよ。


ウォームアップで軽く投げるときでさえも軽く右腰ピクッを入れてあげると腕がスーッと楽に振れる感じがあります。


ちなみに右腰ピクッは体軸回転初動で右腰をほんのちょっとだけ、感覚的には

「2cmくらいピクッと持ち上げるような動作」

のことです。ピクッと言っても全く激しい動きではなく、周りで見ている人にはわからないかも、というくらいの小さな動きです。


半身の姿勢から右腰ピクッをやると地面をしっかり蹴れている感覚がありますしそれに合わせて自然と腰が回り始めます。


右腰ピクッをやると胸の前にあるボールと腕が特になにもしなくてもスーッと楽に上に上がって行く感じで、肘を先行する動きも楽に出来てそのまま楽にリリースできます。


右腰ピクッだけでいろんなことがうまく連動する感じがあります。


前回のブログで紹介した遠心力を利用したリリースの動きも実は回転運動の遠心力だけではなかなか腕がスムーズに上がっていきませんが、

「右腰ピクッ」

を加えてあげるとリリースに向かって割と楽に腕が振れるような感じがあります。


地面をしっかり蹴れて体が軽くまわって腕が楽に上がって肘が先行して……といいことづくめですが、

「地面反発がうまく使えている」

ということになるんでしょうかね?


たしかに小さな動きなのに地面をしっかり蹴れていて地面から持ち上げられるような感覚があります。


これは間違いないです。


---


【右腰ピクッと地面反発】


地面反発と言えば、

僕がブログのなかでよく使う図にこんなのがあります。



右足で地面を蹴った力の反動=地面反発が体に返ってきて
「体の右側伝いに腕まで上がっていく」
というのを示した図です。

「地面反発でボールを投げる」
という感じがよく出ていてこの図はけっこう好きです。

---

【右腰ピクッ ≒ 股関節を使う】

右腰ピクッを入れると足裏に瞬間的に力がかかって地面をしっかり蹴っている感覚が間違いなくあります。

で、地面反発がしっかり返ってきます。
後ろ足の蹴りで腰が回り始めるのがはっきりわかります。

地面反発は静止している状態で突然地面から突き上げが来るわけではなくアスリート側から地面に働きかけるからその反発が返ってくるのですが、

その働きかけが
「右腰ピクッ」
なんだと思います。


足裏で地面を蹴るという意味では右足首ピクッでも出来そうですが、右足首ピクッをやっても腰が回っていく感じは意外と弱く、また、腰が回り始めるタイミングも右足首ピクッをやってからかなり時間がかかっている気がします。


右膝ピクッをやってみると足首ピクッよりはましですが、それでも右腰ピクッほど腰が強く回っていく感じがありませんしタイミング的にもちょっともたつきがある感じがします。


右足首ピクッよりも右膝ピクッよりも、

右腰ピクッをやるほうが地面をパンッと素早く強く蹴れている気がしますし腰も力強くまわります!


また、僕の場合かかとで地面をしっかり蹴ってあげると右腰ピクッを強く感じられます。


右腰ピクッを入れてスローイングしたほうがより大きな地面反発を得られるのは間違いないです。


---


実際の動きとしては右腰ピクッからスタートするので理論上はそこから少し遅れて地面反発が返ってきそうですが、
右腰ピクッの動きと地面反発が返ってくるタイミングは僕の感覚的にはほぼ同時です。右腰ピクッを入れた瞬間に右腰に地面反発が返ってくる感じです。


右腰ピクッからの力の流れと地面反発の力の流れを合わせて表すと下のようになります。


右腰ピクッで発生した力(下向きの黄色い矢印)が脚を通って地面に伝わりこれが元になって地面反発(赤い矢印)が起こります。

腰まわりの大きな骨・大きな筋肉群を使って大きな力で地面を蹴っているから反力は大きくなりますね。

地面反発を感じやすい理由はこれだと思います。

---


右腰ピクッの下向きの力と地面反発が返ってくる流れに順番をつけるとこんな感じになると思います。あくまで僕の感覚ですが。



右腰ピクッから発生する内力を白丸の数字

それ以外の力=外力=地面反発を黒丸の数字

で表しています。


右腰ピクッ①とほぼ同時に地面反発❶が返ってきます。①と❶の時差は全くと言っていいほど感じられません。瞬間的に返ってきた地面反発❶の力で腰が回り始めます。

そのまま右の体側を伝って肩甲骨くらいまで上がって来る感じで(地面反発❷)胸郭がまわります。

そこからさらに肩を通って腕に向かって力が進みます(地面反発❸)

僕が書いた矢印を都合よく説明する感じになってますが地面反発力はだいたいこんな感じで伝わっているように思います。

以前からこの図は好きでよく引用しますが、
「地面反発でボールを投げる」
がよくわかると思います。


---


【右腰ピクッの上向きの力】


右腰ピクッで下向きの力が発生すると同時に上向きの力も発生しています。



「右腰ピクッをやると地面反発を強く感じる」
というところから右腰ピクッの下向きの力の話を先に書きましたが、

右腰ピクッはヒップヒンジを開く動きですので
股関節から下向きだけでなく上向きの力も同時に発生します。

---

ヒンジとは「蝶番(ちょうつがい)」のことです。あの閉じたり開いたりする金具です。


ですからヒップヒンジとは腰回りの蝶番、
つまり
「腰回りが閉じたり開いたりする」
ということで、

言い換えると左右の股関節を軸に
「骨盤と大腿骨が閉じたり開いたりする動き」がヒップヒンジの動きということになります。

ヒップヒンジを境に、

大腿骨を通じて下向きの力が
骨盤を通じて上向きの力が

働きます。

---

「上向きの力???」
と少なからず疑問に思うかもですね。

ヒップヒンジ・ヒップエクスプロージョンというと下半身の強烈なパワーを連想しますしそれはその通りなのですが同時に上半身にも作用します。この理屈が理解できて感覚が掴めると動きは大きく変わります!


ヒップヒンジ(股関節)は上半身と下半身のちょうど中間にありますのでここからの動きは
「上半身と下半身を同時に操作できる」
というメリットがあります。

体の上下の中心にあるので曲げ伸ばしによって
「下半身にも上半身にも力を伝えやすい」
ということになります。

さきほど上で

「地面から持ち上げられるような感覚がある」

と書きましたが、

これは地面反発が体を持ち上げるというのもありますがそれよりも先にこの右腰ピクッの上向きの力が上半身に伝わって起こっている感覚がなんだと思います。


軽くなった上半身は動かしやすいですよね。


この上半身への上向きの力、

スローイングにかなり使えますよ!!


実は右腰ピクッが真価を発揮するのは
「ヒップヒンジからの上向きの力を使うこと」
です。

これがタイトルに書いた
「もうひとつの力」
です。


---


【右腰ピクッと腕の関係】


右腰ピクッを入れることで僕が一番効果を感じるのが

「腕の動きが軽くなること」

ですね。


すぐ上でも書きましたが右腰ピクッをやると

「地面から持ち上げられるような感覚」

があり胸の前にあるボールと腕がスーッと楽に上に上がっていき、肘を先行する動きも楽に出てそのまま楽にリリースできる感じがあります。


これは地面反発が返ってくるから腕が軽くなるというよりやはり右腰ピクッで発生する上向きの力が大きく関係していると思います。


右腰ピクッを入れてから腕がどう動くかを図にしてみました。


繰り返しになりますが、

右腰ピクッは体軸回転初動で右腰をほんのちょっとだけ、感覚的には

「2cmくらいピクッと持ち上げるような動作」

で、けして大きな動きではありませんが効果は大きいです。


---


【①右腰ピクッとボールの挙上】


右腰ピクッ①を入れると胸の前のボールがスーッと肩から頭くらいまで楽に上がっていきます。

右腰ピクッの上向きの力が腕とボールに上向きの力を与えることで

「フワッと軽くなる」

のだと思います。


腕自体、体の7%くらいの重さがありますのでなにも働きかけず筋力で持ち上げようとするとそれなりの力が必要ですが右腰ピクッを入れるとさほど力はいりません。


胸にあるボールを一度下に降ろしてそこから円を描くように下から上に回すような動作もありますが右腰ピクッを利用してダイレクトに肩の上に挙げるほうがテイクバックはコンパクトになりクイックなスローイングがやりやすくなりますね。


また、無駄な動きがなくなるのでコントロールも定めやすくなります。


---


【②ボールの挙上と肘の先行】


ボールはそのままの流れで肩から頭の高さくらいまで上がりながらそれに合わせて肘が前に出てきます。



これが右腰ピクッ②の動きで
「90−90ポジション」
が自然と出来上がります。


このまま継続的に動いて肘が先行してボールが後ろに残されるような感じになります。

---

【③肘の先行と腕のしなり】


このまま継続的に肘を先行させるとボールが後ろにおいていかれるような感じになり、

「肘とボールの前後の入れ替え」
が起こります。ここでリリースに向けての力が腕に蓄えられます。

腕がムチのようにしなって
「肘がボールを引っ張る腕の使い方」
になります。


僕は肘とボールの先端は同じ方向を向きボールの軸を整えやすいので綺麗なスパイラルで投げようと思ったとき好都合な姿勢です。

肘が先行して腕がしなったムチのようになりそのしなり戻しでしっかり伸びたところでボールがリリースされます。


力が最大化されたところでボールがリリースされるためボールは勢いよくレシーバーに向かって飛んでいきます。

ちなみに僕は肘とボールの前後の入れ替えをするとき
「ボールを肩の上に置きにいくような動き」
をちょっとだけ意識的に加えます。

以前書いたブログで
「柔道の背負投のときの腕の使い方」
と書いたことがありますが似ている気がします。

この動きを加えると肘がしっかり前に出て腕のしなりを作りやすくなります。

以前から
「この動き、面白いなぁ」
を思ってみているアーロン・ロジャースのスローイング時の腕の使い方はそんな感じがあると思います。


---

【下半身と上半身の力の流れの組み合わせ】

下半身を伝って上がってくる地面反発の力の流れと上半身の力の流れを同時に考えてみるとちょっと面白いことがわかりますよ!

下半身の力の流れはこの図を参考にしてください。


上半身の動きは
【①右腰ピクッとボールの挙上】
【②ボールの挙上と肘の先行】
【③肘の先行と腕のしなり】
を参考にしてください。

---

【①右腰ピクッとボールの挙上と❶の流れ】

右腰ピクッの下向きの力①によって地面反発❶が腰に返ってきて腰の回転が始まります。

このとき同時に右腰ピクッの上向きの力①が働いてボールが肩の高さくらいまで上がりますが

上半身はまだ半身のまま下半身だけが回るので
「腰のひねりが強調される動き」
になります。


---

【②ボールの挙上と肘の先行と❷体側の力の流れ】

上向きの②の力で継続的にボールは上に上がります。

このタイミングで地面反発の力❷が体側から腰のひねり戻しが始まります。胸郭が軽く前に回り始め同時に肘が前に出てきます。


ボールが上に上がるのと肘が前に出てくることで自然な流れの中で90−90ポジションが出来ます。


この時点で上半身はすぐにでも投げ出せるような準備ができています。



上半身が90−90ポジションになるとき地面反発❷の力は腰から体側を通って肩甲骨くらいまで上がってきます。脇腹が引き締まる感じもありますね。

このころから体全体が同じ方向にまわり始め、
「上半身の力と下半身の力が連動し始める」
感じが高まります。

すぐにでも投げ出せるような準備ができた上半身と地面反発❷の力が合わさって腕を振り始める準備ができている感じです。

---

【③肘の先行と腕のしなりと❸腕への力の流れ】



肩甲骨まで上がってきて地面反発❷はそのまま右の肘の先行を強めます。

これに加えて胸郭の回転によっても肘の先行がさらに強まるので
「ボールが後ろにおいていかれるような感じ」
が強まります。

腕がしなった状態になり、
下半身の力と上半身の力の両方が腕先に向かって集約され、
「あとはリリースするだけ」
の、力をしっかり蓄えた状態です。

上半身の力の流れと地面反発の力の流れが合力となり、この頃には腰はターゲットに正対するくらい回転してほぼ回転が終了します。
下半身の回転を急激に減速・停止することでその勢いが上に上がり上半身の回転が加速※します。

あとは溜め込んだ力をそのまま無駄なく放出するようにリリースするだけです。

※このブログの一番最後に参考動画を添付しますので見てみてください。



---

体軸回転を急ぎすぎて腕の動きが遅れ

「スローイングのばらばら感」

が上がることがよくあると思いますが、


右腰ピクッを入れると腕の挙上が楽に行えるので体軸の回転と腕の振りを連動させやすくなり腕の遅れが起こりにくくなるように思います。


横向きの回転運動は大切ですが、実はそのちょっと前に

「上向きの力で補助して上げること」

が大切なのかもですね。


ここはなかなか気づきにくいです。


並進運動と回転運動をつなぐように

「上向きの動き=鉛直(えんちょく)運動」

も大切ということですね。


右腰ピクッの上向きの力は地面反発が返ってくる前に上半身を動かしているので、

地面反発の大きな力が腕先・指先に届く前に

「腕がすでに投げる準備を向けて動き出した状態になっている」

ということです。


右腰ピクッを使えばボールを胸の前で構えた状態から地面反発の力を待つ以前に腕を動かし始めることができます。


右腰ピクッはほんの2cmくらいの小さな動きですが大きな違いを生みそうですね!



-----


最後のおまけ動画です。

「力が下から上に上がってくる」

がわかりやすい興味深い動画です。


「Transfer of Energy」


円盤投げの動作を模したものですが、

地面反発が上に上がっていくときの動作変化がわかりやすいです。



左足が金具に当たって止まった瞬間力が一気に腰に向かって上がります。腰の映像がブレてますね。それだけ速く回転しているということです。


腰の回転が止まるとその勢いが一気に上半身に伝わっています。振り回された腕の映像がブレてますね。ものすごい勢いで腕が動いている証拠です。


回転は止めることで上へ上へと伝わりながら加速度を増していきます。


「踏み出した左足を地面についた瞬間力が一気に腰に向かって上がり.......」

「腰の回転が止まるとその勢いが一気に上半身に伝わって.......」

と言い換えると、スローイングと一緒ですね!


この理屈はQBのスローイングに活かせますよ!


---


ひとつ注意していただきたいのは、

このフィギュアの動画が表しているのは、


足元から上に向かって流れる

「地面反発の力の流れ」

です。


僕がよく使う地面反発の図の赤い矢印と同じく足元から上に上がっていく力ですが、だからといって実際の動きを地面に近い足元から作るかというとちょっと違います。


上で書きましたが、

足首ピクッ・膝ピクッで動いても上半身が動き出すまでに時間がかかりますが右腰ピクッで動くと上半身は即座に動き始めます。


人間が動くときは

「体の中心にある腰が起点」

となって動きを始めたほうがパワーとスピードを最大化しやすい、ということです。



腰からの下向きの力と上向きの力の両方を利用できるようになると動きのキレ・パワー・スピード共に大きく変わってくると思います。


試してみて下さいね。


今回はこのへんで。

ありがとうございました。


-----


次回は

QBのスローイング「ランニングスロー」

です。


数回飛ばしましたが、ようやく書けますね😁


QBはドロップバックしてじっとした状態から投げるばかりでなく、ロールアウトしながら投げたりスクランブルして投げたりと

「走りながら投げる状況」

が多くあります。


これについて書いてみたいと思います。