戦艦大和ノ最期 [ 吉田満 ]
¥1,015
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これ。
歴史に触れる本を読みたいなぁと思った時期があって、勢いで買った。

文語体で書かれているので正直言って読みやすくはないし、
不勉強が祟って漢字とかわからないやつも多かった。

あまり戦争に関する映画とか、書物を読んできたこともないので、詳しくなかったのだけど、
戦争に向かう人々が何を考え、どう行動、議論してきたのかを少し垣間見る事ができた。
この本に書かれている内容は、普段そうそう触れない情報な気がするし、
どうしても戦争に関しては批判的な立場から語られる事が多い中で(批判的に語られること自体は多分間違ってないと思うけど)、
大和の搭乗員として実際に見たこと、聞いたこと、その時本人が感じていたことをそのまま書かれているので、
とても貴重な資料だと思う。
自分がすごく好き?というか印象深いのは戦艦に同乗した白州大尉という人の以下の言葉。
思う所が非常に多い。

「進歩ノナイ者ハ決シテ勝タナイ 負ケテ目覚メルコトガ最上ノ道ダ
日本ハ進歩トイウ事ヲ軽ンジ過ギタ 私的ナ潔癖ヤ徳義ニコダワッテ、本当ノ進歩ヲ忘レテイタ 敗レテ目覚メル、ソレ以外ニドウシテ日本ガ救ワレルカ 今目覚メズシテイツ救ワレルカ 俺タチハソノ先導ニナルノダ 日本ノ新生ニサキガケテ散ル マサニ本望ジャナイカ」



あとは、戦争の記録としての側面以外には、やっぱり死ぬことと生きることに関しての記述も多く、
親や兄弟、奥さんに対しての兵士の思いなどの記載もすごく心に残った。
この点に関しては、レ・ミゼラブルの映画を見た時にも似たように感じたけれど、
生きることに必死だった時代背景を知ると、愛だなんだと今では歯の浮くような言葉に感じられるものも、
かなりの重さを伴って伝わるように思う。
たとえばこれとか。
出撃前の森少尉って人の台詞。(結構長いのでカタカナに変換するのやめた)

「俺は死ぬからいい 死ぬ者は仕合わせだ 俺はいい だがあ奴はどうするのか あ奴はどうしたら仕合わせになってくれるのか
きっと俺よりもいい奴があらわれて、あ奴と結婚して、そしてもっと素晴しい仕合わせを与えてくれるだろう きっとそうに違いない
俺と結ばれたあ奴の仕合わせはもう終わった 俺はこれから死にに行く だからそれ以上の仕合わせを掴んで貰うのだ もっといい奴と結婚するんだ その仕合わせを心から受ける気持ちになって欲しいんだ
俺は真底悲しんでくれる者を残して死ぬ 俺は果報者だ だが残されたあ奴はどうなるのだ いい結婚をして仕合わせになる 俺はそれが、それだけが望みだ あ奴が本当に仕合わせになってくれた時、俺はあ奴の中に生きる、生きるんだ・・・
だが、この俺の願いをどうして伝えたらいいのだ 自分の口から繰返し言った 手紙でも何度となく書いてきた 俺を超えて、仕合わせを得てくれ、それだけが最後の望みだと・・・しかしそれをどうして確かめるのだ あ奴が必ずそうしてくれると、何が保証してくれるんだ
祈るのか どうしても祈らずにはいられない、この俺の気持は本当だ だがそれだけでいいのか 自分を投げ出して祈ればそれでいいのか どうかあ奴にまで聞こえてくれと、腹の底から叫ぶしかないのか」
荒き語勢いに涙なし 咳き込むばかりの切願なり むしろ怒りなり

こんなこと今考える事、ほとんどの人は無いと思うんだけど、やっぱすごい壮絶。
今自分が考えないにしても、こういうレベルの考えで生きてた人がいると知ることは大切かなぁと思う。


これを読んで感じることは人それぞれだと思うけれど、何かを考えるきっかけとしては
十分過ぎるインパクトがある本だと思うので、幸か不幸かこのブログを読んでしまって、
少しでも気になった人が居たら、ぜひ読んでほしいと思う。
あと、ぜひ最後の解説まで読むことをおすすめしたいと思う。
本文?だけだとチンプンカンプンになってしまう可能性が高いので。


一言で言うと、読んでよかったです。