古代アンデス文明展 @国立科学博物館 | Thinking every day, every night

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夢想家"上智まさはる"が人生のさまざまについてうわごとのように語る

2ヶ月ぶりに国立科学博物館に行ってきました。

以下の特別展および企画展が開催されていました。

 

 ・特別展「古代アンデス文明展」

 ・企画展「南方熊楠 ー100年早かった智の人ー」

 ・企画展「地衣類-藻類と共生した菌類たち-」

 

今回はそのうち、古代アンデス文明展について報告します。

 

・名称  :特別展「古代アンデス文明展」

・会場  :国立科学博物館(東京 上野公園) 
・会期  :2017年10月21日(土)~2018年2月18日(日) 
・開館時間:午前9時~午後5時(入場は閉館30分前まで)

      ただし、金曜日、土曜日は午後8時まで

・休館日 :毎週月曜日(ただし、1/8(月)、2/12(月)は開館) 

・料金  :一般・大学生 1600円 小・中・高校生 600円

      未就学児 無料

      障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料 

 

 

 

 

■何となく縁遠い文明アンデス文明
 
アンデスといえば地球の真裏にあたる南米の高地。
地理的にはものすごく遠くにある一方で、その中心といえるペルーと日本との関係でいえば、入植の歴史やJICA、青年海外協力隊事業などで意外と深いつながりがあります。
 
とはいえ、やはり、アンデス文明って分かったようで分かってなくて、少し縁遠いなあという感覚は否めません。
なので、こうやって改めてまとまった知識に触れられる機会はとてもありがたいですね。
 
アンデス文明といっても実はひとつではないし、極端に言えば、人類の歴史と同じくらいの長期にわたる文明なんですよね。
ちょうど「日本文明」と言って(実際にはそんな名称は聞きませんが)縄文文化、弥生文化から奈良、鎌倉、現代に至るまで地域も時代も多岐にわたるのと同じ。
 
地域としては、南米大陸の西側際に南北に細く連なるアンデス山脈に沿った高地あるいは海岸の都市に起こった文明の総称ですね。
 
キーワードとしては、インカ帝国、マチュピチュ、ナスカ、クスコなどが一般人にはおなじみですが、これらのキーワードが私を含め一般人の頭のなかで正しい意味づけで結びつけられていないのが現状ですよね。
 
メキシコあたりの中米の文明(マヤ文明やアステカ文明など)との違いもつかないままに渾然とした理解にとどまっているので、なおさらモヤモヤ感が否めません。
 
 
■よくある誤解
 
多くの人が抱いている誤解のひとつは、これらの文明が、文字が生まれるくらい昔の古代文明くらいに思っていること。
ちょうどエジプト文明やイスラム文明のように。
 
もちろん、そのくらい昔から文明は続いていますが、インカ帝国や中米のアステカ文明は15世紀〜16世紀の話です。
日本でいうとちょうど室町時代〜江戸時代初期のころにあたります。
 
アンデス文明をあえて歴史の流れの中で分類すると、大きく5つくらいに分けることができそうです。(勝手に分類しています。。。)
 
・紀元前3000年〜1500年ごろの北部高地のカラル遺跡として残される古代文化。
・紀元前1300年〜500年ごろの北部から中央部高地チャビンや海岸部クビスニケの文化。
・紀元前200年〜西暦800年ごろの南部海岸部ナスカ、北部海岸モチェの文化。
・西暦500年〜1100年ごろの南部高地ティワナク、中部から南部海岸部ワリの文化。
・西暦800年〜1400年ごろまでの北部海岸部シカン、北部高地チムーおよび中南部の地方国家群の文化。
・1400年台半ば〜1500年台後半、これらを引き継ぐ統一国家インカ帝国の文化。
 
 
■展示物の紹介
 
◆チャビン、クビスニケの時代(紀元前1300年〜500年ごろ)
 
◎クビスニケ文化《自身の首を切る人物の象型鐙型土器》 前1200〜前800年、高さ29.0cm、ペルー文化省・国立チャビン博物館
 
クビスニケ文化、左から
《ネズミ型象形鐙型土器》 前800〜前500年、高さ20cm、リマ美術館
《刺青またはフェイスペイントをした小像》 前1200〜前800年、高さ19.5cm、リマ美術館
《蛇・ネコ科動物土器》 前1200〜前800年、高さ23cm、ラルコ博物館
 
 
 
◆ナスカ、モチェの時代(紀元前200年〜西暦800年ごろ)
 
左から
◎サリナール文化《座った男性をかたどった2色鐙型注口土器》 高さ20.2cm、ラルコ博物館
ガイソナ文化《ガイソナの双胴壺》 高さ21.5cm、ラルコ博物館
 
 
◎モチェ文化《リャマの背に乗る男をかたどった土器》 高さ14.8cm 長さ19.9cm、ラルコ博物館
 
 
モチェ文化、左から
《裸の男性の背中にネコ科動物がおぶさった鐙型注口土器》 高さ23.8cm、ラルコ博物館
《人間型のシカの坐像をかたどった鐙型注口土器》 高さ20.0cm、ラルコ博物館
《死んだ男性と生きている女性の性行為を描写した鐙型注口土器》 高さ16.4cm、ラルコ博物館
《シカを背負う死者をかたどった鐙型注口土器》 21.2cm、ラルコ博物館
 
 
 
◆ティワナク、ワリの時代(西暦500年〜1100年ごろ)
 
ティワナク文化、左から
《ネコ科動物をかたどった多彩色香炉》 高さ25.3cm、国立考古学博物館/ボリビア
《ネコ科動物をかたどった儀式用香炉》 高さ35.7cm、国立考古学博物館/ボリビア
《リャマをかたどった土製香炉》 高さ38.8cm、先コロンブス期貴金属博物館/ボリビア
《ネコ科動物をかたどった多彩色土製香炉》 高さ32.5cm、先コロンブス期貴金属博物館/ボリビア
《ネコ科動物をかたどった多彩色土製香炉》 高さ25.8cm、先コロンブス期貴金属博物館/ボリビア
 
 
◎ティワナク文化《ティワナク様式の多彩色ケロ》 高さ16.5cm、国立考古学博物館/ボリビア
 
 
◎ティワナク文化《パリティ島で出土した台部が人頭の儀式用鉢》 高さ16.5cm、国立考古学博物館/ボリビア
 
 
ワリ文化、左から
《多彩色の水筒型壺》 高さ21.8cm 直径14.6cm、ペルー文化省・国立考古学人類学歴史学博物館
《多彩色の水筒型壺》 高さ22.3cm 直径16.4cm、ペルー文化省・国立考古学人類学歴史学博物館
 
 
◎ワリ文化《「杖を持つ神」が描かれた多彩色鉢》 高さ83.5cm 直径86.0cm、ペルー文化省・国立考古学人類学歴史学博物館
 
 
◆シカン、チムーの時代(西暦800年〜1400年ごろ)
 
チャンカイ文化、左から
《2色の装飾と魚の付いた円筒瓶》 高さ38.5cm 直径14.0cm、天野プレコロンビアン織物博物館
《コップを持った男性の坐像をかたどった2色(白黒)の手捏ね土器》 高さ32.0cm、天野プレコロンビアン織物博物館
※チャンカイは中部リマ近郊。チムー南端で独自の文化を発展させ、高度な技術の織物や精巧な手捏ね土器が有名とのこと。
 
 
◎中期シカン文化、人間型の土製小像3体、ペルー文化省・国立シカン博物館

 
◎チムー文化《木製の葬送行列のミニチュア模型》 高さ53.0cm 幅21.0cm、ペルー文化省・モチェ神殿博物館
 
 
◎チムー文化《木製柱状人物像》 左から高さ134cm、高さ133cm、ペルー文化省・チャンチャン遺跡博物館
 
 
◆インカ帝国の時代(1400年台半ば〜1500年台後半)
 
◎インカ・コロニアル文化《植民地期の多彩色ケロ》 左から20.5cm、17.8cm、ラルコ博物館
 
 
◆身体から見たアンデス文明
 
ここまでは歴史の流れと文化の視点で見てきましたが、最後に「身体から見たアンデス文明」ということで、身体的な風習のいくつかが紹介されました。
 
ひとつは頭骨を紐で縛って変形させる風習(中国の纏足の頭蓋骨版)。
◎チリバヤ文化《変形頭蓋》3点、ペルー文化省、ミイラ研究所・チリバヤ博物館
 
もうひとつはミイラ。
アンデス山脈で雨を降らせた後の乾燥した風が砂漠やそれに近い気候を作り上げ、死体がミイラ化しやすい環境なのだそうです。そういうところでは自然発生的にミイラの風習があるみたいですね。
 
◎ワリ文化《ミイラ》 高さ72cm、ペルー文化省・国立考古学人類学歴史学博物館
 
 
◎チリバヤ文化《男児のミイラとその副葬品》 ペルー文化省・ミイラ研究所・チリバヤ博物館
 
 
◆図録等、グッズ購入
 
グッズコーナーには、おきまりの図録や絵葉書、クリアファイルなどの他に、アンデス独特のあの幾何学模様の絵柄のコースターや織物、タペストリーなどの民芸品も多数展示されていて、購買欲をそそられました。
 
通常の硬い表紙の図録とは別に、
子供も学習できるよう、フルカラーの「古代アンデス文明を楽しもう」なる小冊子も販売していました。
この小冊子は要点がうまくまとめられていてなかなか優れものでした。
 
またナスカの地上絵マップなるものもあったので、この際だからと、それら一式3点セット?を購入しました。
 
図録
 
小冊子「古代アンデス文明を楽しもう」
 
「ナスカの地上絵マップ」
 
そのほか、オカリナと置物を購入。
 
コスチュームキューピーも購入。
 
 
以上です。