久しぶりに標記のCDを聞いてみました。というか,まともに聞いたのは初めてかもしれません。これは姪の夫からもらったもの。姪家族が社宅住まいから自宅を新築することになり,身辺整理を兼ねて聴かないCDは捨ててしまおう…となったらしいんですが,そういえば叔父がビートルズファンだったよ,と姪が夫に伝えて我が家に何枚かビートルズのCDが届いたといういきさつがあります。

ビートルズを聴いたことがない,あるいは全く興味のない方にとっては,以下はどうでもいい話です。

実はビートルズの曲は,例えタイトルが同じであっても,様々なバージョンが存在します。例えばイギリスのパーロフォン盤と米キャピトル盤とでは結構テイク違いがあったりします。日本盤もしかり。そのテイク違いを集めるのもビートルズファンの楽しみであったのです(その昔,レアテイクだけを集めた"レアリティーズ"というアルバムが1980年に発売されたこともありました)が,1987年に全オリジナルアルバムがCD化されるにあたり,これらテイク違いは統一され,全世界で同じテイクが聴けるようにされました。

…と書くとまっとうな話なんですが,ささやかなビートルズファンとしてはこの措置はいただけなかった。LPで聴き慣れていた,自分の気に入っていたテイクの曲が別のテイクに変わってしまっていたのです。特にがっかりだったのは強いて挙げれば次の2曲の変更。

Please Please Me」…オリジナルアルバムはジョンが歌詞を間違えているバージョンだったのに,歌詞を間違えていないバージョンに差し替え。絶対に「歌詞間違え」バージョンの方が曲の勢いがある。
If I Fell(邦題:恋に落ちたら)」…これまたオリジナルとは違うテイクに差し替え。慣れ親しんだパーロフォン盤のテイクではなく米キャピトル盤のテイクのよう(私が持っている米キャピトル盤の「A Hard Day's Night」中のテイクと同じなので)。オリジナルの方が絶対ポールとジョンのハモりがいい。

とまぁ,他にもいろいろ不満はあったのですが,そんな中20世紀も終わる2000年に発売されたこの「ザ・ビートルズ1」は24ビット・デジタルリマスタリングが謳い文句で,音質の良さは言うまでもないのですが,自分にとっては,音質よりも曲のテイクが,かつて聴き慣れたバージョンのものが多かったというのがありがたかった。しかし,敢えて購入してまでは聴こうとは思わないな,というのが正直なところでした。で,しばらく(長らく)棚上げしていて,ふと思いついて聴いてみた,というわけです。
全27曲で,収録時間もCDの限界に迫る80分弱。ビートルズの魅力を俯瞰するにはお手頃ではあります。ちょくちょく通勤車内で聴いています。



その後,ビートルズの楽曲のデジタルリマスターは2004年の「Let It Be...NAKED」(なんじゃこりゃ!の,驚異の高音質。しかしその一方で,2コイチ・3コイチでできあがったバージョンが「NAKED」と呼べるのか?とも思いましたが),そして2009年の改訂デジタルリマスターへと続き,20数年ぶりにお気に入りの聴き慣れた「Please Please Me」や「If I Fell」が復活しました。ミックスも大幅な改訂はなく,オリジナルに忠実です。これは古くからのビートルズファンに違和感を持たせない配慮でしょうか。「ビートルズ1」には冷淡な反応の私でしたが,この改訂デジタルリマスターには驚喜して全部揃えてしまいました。

よく聴くと,「ビートルズ1」のテイクと改訂デジタルリマスターのテイクはミックスや音質が微妙に違います。その違いを見つけるのが楽しい。興味のない人にはどうでもいいじゃん(^^;)と言われそうなしょうもない違いを愉しみながら曲を聴けるのはビートルズくらいです。