先日,ある方から筆跡鑑定の相談があった。署名の鑑定である。

パソコンからデータを送ってもらい,5分程度眺めていたら「明らかに偽造の署名」であることが分かった。

念のため,なぜ当研究所に依頼をしたのかと問うと,●●鑑定に出したら明らかに「同一人の筆跡」と判断されたという。

以前からわかっていたが,この程度に似せて書かれた模倣筆跡は,ほとんどの鑑定人はこのように判断されているからである。

 

依頼人は,検索順位が高い方から依頼される。したがって,特にSEO対策,またメンテナンスも怠っている当研究所の検索順位は2頁目にあるので,真っ先に依頼されることはない。このことから,おそらく意向と真逆の鑑定結果が出たのだなと直感したわけである。

 

この超ベテランの鑑定人,驚くことに当職が5分で偽造と分かった署名の筆跡を誤っているのである。

 

3年くらい前までは,熟練を積めば誰もがこの程度の筆跡識別は容易に行えると感じていたのだが,最近ではちょっと違う感想を持っている。何せこの鑑定人は当職よりもずっと前から鑑定人として存在し続けており鑑定数も4000件を突破しているという。

「こんな簡単な筆跡鑑定,20年も鑑定していてなぜわからない」のか不思議であるのだ。筆跡鑑定は,鑑定実績ではなく才能なのか?

 

「お前,ナゼ誤っていると分かるのだ」だと言われそうだが,このことが今回言いたいことなのである。

 

その答えは,100%間違っていないという確信のあるものだからである(資料が整っている場合)。

 

多くの方から「そんな突拍子もないことを言うな」と怒られそうであるのだが,この突拍子もないことを年間40人くらいの弁護士の方に真顔で触れまわっているのも事実である。しかしながら,こんなことを言っても追い返されたことは一度もない。

 

裁判所は偽造筆跡を真筆と判断されることが非常に多く,私が5分でわかる偽造筆跡を2年近く裁判をやって,その挙句「同一人」と判断されることがあり悔しくて仕方ない。私が筆跡鑑定をすれば,わずかな時間で裁判所の判決よりもずっと正確に判断できるのである。

 

こんなことから,当職には特殊能力があるのではないかと思うようになった。どうか誰か私を実験台にしてください。喜んで実験に参加する。突拍子もないことをいうと,それが本当でも「嘘つき呼ばわり」されるからである。やりきれない気持ちでいっぱいなのである。