どうして、こんな発想になるのだろう。鑑定書を特急で作成するには2倍の料金になるだと!?
それでも筆跡鑑定人なのか?
私の研究所では、いつも5件位のご依頼人が順番待ちをしていただいている。
金を2倍くれるなら、順番待ちをしている方々を差し置いて先に作りまっせという発想は、どこから生まれてくるのであろうか。
行列ができるラーメン店で、2倍の料金を払えば並んでいるお客さんよりも先に案内しまっせと言っているのと同じだ。開店前から並んでいるお客さんは、さらに待つことになる。
鑑定書の場合は、お待ちいただいている納期の決まっているご依頼人の方々に対する鑑定書作成時間を削らなければならない。説得力のある鑑定書を待ち望んでいる他の依頼人にとって迷惑極まりない。やっつけ仕事で作成されたらたまったものではない。
こんなラーメン店があったらあなたは行列に並びますか?
私は、ある程度の時間的余裕がなければ、良い鑑定書は作れないという考えだ。
当たり前だが、依頼案件によって鑑定書の内容やポイントは大きく違うものであり、じっくりと観察し頭の中で熟成しなければ説得力のある鑑定書など書けないからだ。
朝方に目が覚め良いアイデアが閃くことが多い。これが鑑定書を作成する上で最も大切な熟成された証だ。こうした閃きは、ひとつやふたつではない。このアイデアが裁判で良い方向に導いてくれるのだ。だから、やっつけ仕事ではよい鑑定書は書けないことを知っている。
料金を2倍とる鑑定人は、機械作業の様にマニュアルに沿って作成しているだけだから、その速度を速めればばよいことになる。
つまり,鑑定人の作業時間を増やしたり,(マニュアルに沿った鑑定書の作成は鑑定人でなくともいいので)貰った2倍の料金の一部をバイト料として人を投入し人海戦術で行うというものであろう。
私は,筆跡鑑定書を私以外のものに書かせることは絶対しない。人に任せて書けるような単純なものではないからだ。
要するに、最善の鑑定書を作成するというプライドもなく、単なる金儲け主義の鑑定人としか私の目には映らない。
こんな輩は一人や二人ではない。ろくに鑑定すらも出来ない、人の弱みに付け込み金を多く取ることだけの悪知恵だけはよく働く,腐った業界であることが如実に現れている。
因みに,裁判になってすぐに筆跡鑑定書が必要になることは当職の経験上ない。裁判が始まり,ほとんどのケースでは3か月以降であるように思う。事前に準備しておけば早急に必要となることはなく,ましてや2倍の料金を払う必要もない。早めに,鑑定人に相談されたい。