類似性の証明=筆者識別

と思っている鑑定人に問いたい。

類似性が高ければ、自信をもって同一人と言い切ることができますか?

 

特に、数値解析は最悪極まりないな鑑定法であり、

数値解析とは、クラスター分析を代表とする筆跡鑑定には最も不向きな類似鑑定法である。

 

なぜ、最悪なのか。

 

筆跡鑑定とは、『同一人の筆跡』か『別人の筆跡』かを判断することである。つまり、筆者識別である。

 

例えば、皆さんがサイコロを振って、偶数ならば『同一人の筆跡』、奇数ならば『別人の筆跡』とするならば、何度もこの作業を繰り返せば、ほぼ1:1となり、『当たるも八卦、当たらぬも八卦』という程度の1/2の確率となる。つまり、素人でさえも50%の確率で筆者識別ができるのである。

 

ところが、巧妙な模倣筆跡が10あれば彼らの鑑定結果は、10すべてが『同一人』となる。

 

私は、警察系OBの書いた鑑定書を数多く所有しているが、『別人』とした鑑定書は現在のところ一つもない。これが偶然であることを願うばかりである。この鑑定法は、ややもすると当てずっぽうの選択よりも、遥かに正当率が低くなるのだ。いや、巧妙な偽造筆跡はすべて真逆の鑑定結果となるのである。実に恐ろしいエセ鑑定法である。

 

つまり、偽造者にまんまと騙されるのである。情けない・・・。同業者として恥ずかしい限りである。

 

遺言書の鑑定は、偽造筆跡が真筆と認められれば、偽造者に多額の金が流れることになる。

 

偽造者は、そのために数千回も練習しても偽造筆跡を書く価値があるのだ。そう、巧妙に真似て書くためには努力を惜しまないのである。

 

数値解析で、必ず同一人となる模倣筆跡を書く方法を述べると、偽造が蔓延るので公開は控えるが、類似性が非常に高い偽造筆跡などは、練習を重ねれば簡単に行えるのである。金が掛かれば容易いのである。

 

筆跡が自然筆跡(作為のない筆跡)と断定できるものであれば、この鑑定法でも納得できる部分もあるのだが、偽造の可能性を否定できない筆跡鑑定では、数値解析などは完全に無力なのだ。模倣筆跡に対する検証もほぼ皆無であり(検証を行うと正答率が著しく悪くなるのでそもそもやらない)、よくもこんなデタラメな鑑定手法が法廷で筆者識別の判断に使われているのか不思議でならない。どう考えても理屈が通らない。

 

これについては、今後法廷において具体的検証を踏まえ、反論として立証していく所存である。こんな鑑定法を許していたら、筆跡鑑定の未来はないのだ。