第2部登場人物と独自用語 | 魔人の記

第2部登場人物と独自用語

◯第2部(ring.32~ring.67)登場人物

 ・田井兄弟(たいきょうだい):一坂郡北部の兄弟アンチェインド。兄が譲(ゆずる)で弟が守(まもる)。マルチ商法で多額の損失を出し、一坂送りにされた。アンチェインドとして生き延びていたが、『チグサレ』に食われる。

 ・『チグサレ』:正文のこと。特に血鎖(ちぐさり)の蛇を従えている時に彼はこの名前を使う。アンチェインドを襲い、彼らの血肉と恨みのエネルギーを蛇たちに食わせるための形態ともいえる。非常に好戦的な性格になるが、それは演技である。

 ・小窪公園の巨木(こくぼこうえんのきょぼく):正文が幼い頃に住んでいたアパートから5分ほどの距離にある、小窪公園に生える巨木。彼が『人間としての死』を食い尽くす直前に降ってきた葉と同じ葉を持つ。


 ・御堂 雫(みどう しずく):元女優。28歳。若手の中では実力派と言われていたが、11股逆寝取りという大スキャンダルが発覚し引退に追い込まれる。下野 幸三にさらわれ、封鎖区画『グランタワー・ウーノ・ペンディオ』に囚われる。

 ・下野 幸三(しもの こうぞう):一坂郡西部のアンチェインドで、元催眠術師。御堂が一坂に送られてきたことを知ると、彼女をさらって封鎖区画に逃げ込んだ。キルメーカー運営と敵対し、追手のアンチェインドやエージェントを特別な催眠術で手下にする。

 ・グランタワー・ウーノ・ペンディオ:一坂郡西部に建てられた超高級タワーマンション。48階建て。ウーノは『1』、ペンディオは『坂』を意味する。あまりに広すぎるためキルメーカーの舞台には向かないとして、敷地全体が封鎖区画に指定されている。


 ・白く光る少年(しろくひかるしょうねん):『グランタワー・ウーノ・ペンディオ』の40階を過ぎた外壁から突如として現れた少年。重力を無視でき、地面ではなく外壁を足場として立つ。

 ・白猫(しろねこ):全身が白い体毛で覆われた猫。ねこぱんちで正文を叩き起こす。『グランタワー・ウーノ・ペンディオ』1階のコンシェルジュカウンター前にいる。どうやってエントランスの自動ドアを抜けたのかは不明。

 ・先に派遣されたアンチェインド(さきにはけんされたあんちぇいんど):キルメーカー運営から下野を始末するために送り込まれた殺し屋。下野の特別な催眠術にやられてしまったらしく、彼の手下として正文の前に立ちはだかる。


 ・甲03(こうぜろすりー):キルメーカー運営のエージェント。服装はCF21やα7と同様に上下黒のスーツ。アンチェインドと同じく下野打倒のために送り込まれたが、特別な催眠術にやられたらしく彼の手下になってしまう。1人称は『僕チャン』。

 ・血だまり(ちだまり):正文が26階フロア中央付近で遭遇した血液の集合体。直径30センチほどで温度は20度。

 ・緑色の指、手、腕(みどりいろのゆび、て、うで):正文が27階~29階で遭遇した何者かの一部。どれも無傷であり、別に本体があってそこから切り落とされたというわけではない。


 ・半魚人(はんぎょじん):正文が31階で遭遇した、人間と魚が混ざった獣人のような存在。32階以降にも似たような存在がいる。

 ・キメラ:正文が35階で、人間と象が混ざった存在に遭遇した際、思いついた名称。

 ・36階のキメラ(さんじゅうろっかいのきめら):人間と混ざった動物の種類が1種類ではなく、最低でも6種類のキメラ。頭部はチーター。


 ・『彼女(かのじょ)』:誰かの記憶に出てくる女性。『オレ』のことを『しん君(くん)』と呼ぶ。

 ・『オレ』:記憶の主である誰か。『しん君』と呼ぶことを許しているのは、『彼女』だけ。

 ・45階のリアライザ(よんじゅうごかいのりあらいざ):人間と豚、さらに牛と鶏がいびつに混ざり合ったリアライザ。他の個体とは違い、精霊魔法『火炎魔球(ジグ・ドーラ)』を使う。


※ほぼ初登場順。
登場以降どうなったかはここで述べない。本編をお楽しみに!


□独自用語

 ・パラディソ・コウ(1):下野 幸三が催眠術師として活動していた頃の芸名。

 ・特別な催眠術(とくべつなさいみんじゅつ):下野が目覚めたという特別な能力。その詳細は不明だが、特殊能力を持つキルメーカー運営のエージェントすらも手下にできるという。

 ・ぼやけた光景(ぼやけたこうけい):正文が幼いころに遊んだ少年が出てくる光景。少年以外のすべてがぼやけており、場所の情報などはわからない。この中で少年は泣いており、正文に謝罪する。


 ・『蛇降ろし(へびおろし)』:蛇の力を自分の体に降ろして、自在に使えるようにすること。これにより正文は左目から視覚を捨て、代わりに蛇並みの嗅覚と熱感知(触覚の一部)の能力を得た。

 ・擬似的な視界(ぎじてきなしかい):左目が作り出す視界のようなもの。『蛇降ろし』で視覚を捨てたため、厳密には視界ではない。だが目という器官で感じたものを脳でどう処理するかという時に、この疑似的な視界に変換して感知する。疑似視界。

 ・死に戻りポイント(しにもどりぽいんと):人間としての『死』を食い尽くしたことにより、正文は普通に死ねなくなった。そんな彼が、敵に殺された後で蘇るところ。正文によると、白猫がいる場所がそうらしい。


 ・『ワープ』:瞬間移動。離れた場所から一瞬にして相手の背後に立つ、といったことを可能にする。この能力を使ったのは先に派遣されたアンチェインドだが、彼の能力というわけではないようだ。

 ・簡易眼帯(かんいがんたい):正文お手製の眼帯。コースターとふきん2枚で構成されている。右目をつむるだけではふとした時にまぶたを開いてしまうため、それを防ぐために作り出した。催眠術に対抗するための防具といえる。

 ・『フィスト』:甲03の特別な能力。自身の拳を通常ではありえないほどに巨大化させる。


 ・スタッフが詰める場所(すたっふがつめるばしょ):本来、『グランタワー・ウーノ・ペンディオ』には居住者に代わって家事をやってくれるスタッフがいる。そんな彼らが着替えや業務に使う場所。スタッフルーム。

 ・タブレットの動画(たぶれっとのどうが):11階以降の無人エリアに設置されたタブレットから流れる動画。その内容は、御堂が過去に演じた人物を彼女にもう一度演じさせ、その役柄ごと下野が犯すというもの。御堂に『パパ』と呼ばせるものもある。

 ・破壊された家具(はかいされたかぐ):何者かによって破壊された家具の残骸。通路をふさぐ障害物の役割を担う。


 ・『フィスト』(真価):拳を巨大化させるだけでなく、小さくすることもできる。実はこの『小さくする方』が重要で、殴った瞬間に拳を小さくすることで威力の伝わり方を制御できる。例として、壁に密着した標的のみを破壊し壁は傷つけない、といったことが可能。

 ・黒いシミ、黒い球体(くろいしみ、くろいきゅうたい):不安と恐怖に駆られた正文が、それでも必死な思いで進んだ後にできた何か。まずシミが生まれ、そこから球体が生まれる。特に球体は鉄でできている。

 ・『鉄球(てっきゅう)』:正文の新たな能力。壁や床に黒いシミを作り、そのシミから鉄球を召喚する。この鉄球は『鉄の性質を持った球状のエネルギー体』であり、本物の鉄を球体に加工したものではない。思いが重いほど威力と数が増す。


 ・『ナイン・ライヴズ』:『猫には9つの命がある』という外国のことわざを略したもの。

 ・高層階(こうそうかい):法律では6階以上を高層建築物としているが、『グランタワー・ウーノ・ペンディオ』においては40階以上を指す。

 ・記憶の流入(きおくのりゅうにゅう):正文が相手に鎖を巻きつけると、相手の記憶が正文に流れ込む。これは正文の意志では止められず、一度発生するとほぼ全ての感覚を持っていかれるため、彼は完全に無防備になる。鎖が触れただけでは発生しない。


 ・『リアライザ』:正文がキメラと呼んでいた存在の正式名称。その誕生にはキルメーカー運営が関わっているらしい。

 ・『火炎魔球(ジグ・ドーラ)』:異世界の力とされる精霊魔法の一種。炎を球状にして敵に放つ。

 ・鎖の眼帯(くさりのがんたい):簡易眼帯を紛失した正文が、自身の視覚を封じて特別な催眠術に対抗するため作り出したもの。何本かの鎖を帯のように束ね、頭部にナナメがけして右目を覆う。鎖は彼の能力なので、皮膚や髪を巻き込むといった事故は発生しない。


 ・サングラス:下野の特別な催眠術に対抗するため、キルメーカー運営が作り出したというサングラス。ある人物が装用する。

 ・パラディソ・コウ(2):催眠術師時代の衣装は、メキシコの伝統的な帽子ソンブレロやネイティブアメリカンの民族衣装を中心に、独自の改造が施されている。他にも魔術師が使うような杖を用いるなど、テーマに一貫性があるとはいいがたい。

 ・ソンブレロの飾り:下野がソンブレロに取りつけた何らかの飾り。人間を模したものなのか動物を模したものなのかすらも判然としない。


・目次へ