【本編】潮騒は風にさらわれて その8 | 魔人の記

【本編】潮騒は風にさらわれて その8

潮騒は風にさらわれて その8

”おい! おいっ、セェジ! 聞こえねえのか!”

ヴァージャは叫んでいる。
顔を青くしている征司を見つめながら叫んでいる。

彼の存在が消えたわけではなかった。
だが今、征司はヴァージャの存在を認識することができず、ヴァージャもまた征司の言葉を聞くことができない。

”アスタロト、一体どうなってんだこりゃあ!”

ヴァージャは振り返りながら、偽魔アスタロトに問う。
それは詰問に近い。

だがアスタロトは焦燥感にあふれる表情で、首を横に振るばかりだった。

”我らが主人と私たちをつなぐ『何か』が…切れてしまったようです”

”何か? 何かってなんだよ?”

”我らが主人と私たちをつなぐ、糸のようなもの…神経にも似た『感覚の糸』ともいうべきものが、ぷっつりと途切れてしまったのでしょう”

”しまったのでしょう、ってテメェ、やけに他人事じゃねーか”

”私にもわからないのです!”

アスタロトは声を荒げた。
その勢いに、ヴァージャは一瞬黙る。

彼が黙っている間に、アスタロトはさらに言葉を続けた。

”我らが主人の成長が、肉体の声たるあなたと精神をつなぎ、そして肉体にひそむ『魔人エンディクワラの細胞』である私たちまでもつなぐに至ったのです。それはとても太く、強い『糸』だったはず…”

”……”

”ですがそれは切れてしまったのです! 大切だと思い続けたものを、ある日突然すべて忘れてしまうかのように、私たちをつなぐものがぷつりと切れた…私には、そこまでしかわからないのですよ!”

”……チッ”

ヴァージャは舌打ちした。
アスタロトの説明に反論できるほど理性的な言葉を、今の彼は持っていなかった。

その目…征司の視覚からわかるものは、10人の男たちと鋭利な曲刀。
これに対して、自分たちはそれに対抗するだけの武器がない。

征司自身が持つ能力である「100グラムの力」、
ヴァージャとの結びつきで発揮される「肉体的戦闘能力」、

そして偽魔たちとの結びつきで発揮される「72本の手」と、「ソロモンの魔手」。
これらすべてを封印され、征司はただの人間になってしまっていた。

征司がいる位置は、井戸があることから集落の中心だと思われる。
井戸を中心に据えることで、ある程度どのテントからも同じ距離を歩いて水をくむ必要が出てくる。

つまり「集落の中央に井戸を据える」というのは、水が貴重な場所において平等を示すものでもある。
この集落の誰もが、水を手に入れるために同程度の苦労を背負うということなのだ。

”…馬に乗って逃げられりゃいいが…”

ヴァージャはそうつぶやくが、征司の背中方向の先には岩の壁がある。
行き着く先は岩山であり、ほぼ直立している高さ5メートルもの壁を跳んで上に乗る、ということはできない。

”無理です。横方向の距離ならまだしも、馬の高跳びは猫に劣ります…逃げるなら左右方向ですが”

”…くそ”

ヴァージャは歯噛みした。
征司が一瞬動けなかっただけで、10人の男たちは素早く横に動いて彼を追い詰める陣を形成した。

”なんだってんだ、ちくしょう…!”

あっという間に追い詰められてしまった光景を見て、ヴァージャは我慢しきれずに叫んだ。

”なんだってんだ! あれだけむごい戦いをどうにか乗り越えてきて、やっとセェジが強くなったと思ったら今度は仲間殺されて能力まで使えなくなっただと!? ふざけんじゃねえぞくそったれがァ!”

”……”

アスタロトはまぶたを閉じ、唇を強く噛む。
叫びはしないが、その怒りはヴァージャに勝るとも劣らないものだった。

まるで彼の怒りをも代弁しているかのように、ヴァージャの言葉は続く。

”なんなんだよ!? なんでセェジばっかり不利になるんだ! 恭一のクソ野郎は余裕シャクシャクでどっかの家に帰ってっただろうに、なんでセェジはこんな目にばっかあうんだ!”

”………”

”クソッ、クソがァ、納得できねえ! セェジは今までもずっとがんばってきただろうが! 何にも知らねえガキだったってのに、どうにかがんばってここまで来て…最高レベルまで育てたとこでいきなりレベル1に戻すみてーなもんだろ! そんなことがあっていいのかよ!”

”…く……!”

”そんなことがあっていいのはな、ゲームの中だけなんだよ! 現実にそんなことが起こっていいわけがねえ! そうじゃねえと、努力もクソもへったくれもあったもんじゃねえんだよ!”

ヴァージャは空を仰ぐ。
その向こうにいるかもしれない「誰か」に、彼はあらん限りの声で叫んだ。

”おいコラァ、聞いてんのかクソったれェ! こんな報われねえことがあってたまるかってんだよ! 少しはセェジを助けてやったらどうなんだ、クソ神があああああっ!”

…しかし神は応えない。
ヴァージャの言葉に、返答はない。

状況は何も良くなることはなく、ただ悪くなっていくばかりだった。
10人組のリーダーは、ニヤついた笑いを浮かべながら征司に言う。

「ぼちぼち時間切れだぜ…ボウヤ」

「く…!」

リーダーの男が一歩近づいたため、曲刀の切っ先が征司に一歩分近づく。
どうしたものか迷っているうちに、10人組は左右に広がって征司を逃げられなくしてしまった。

今から横に走り出しても、陣形が横に展開済みであるため征司に先回りすることができてしまう。
捕まりに行くようなものだというのは、もう征司にもわかっていた。

(能力は使えなくなっても…そういう予想はつくのか)

皮肉なものだと彼は思った。
能力は使えなくなったが、戦闘経験は残っている。

それが、自分がどう動けば相手がどう動くのかの指標を作っていた。
そしてその指標は、自分に勝ち目がないことを示す死標にもなってしまっている。

集中力は途切れ、時間がいたずらに過ぎる。
リーダーの男はニヤニヤ笑ったまま、征司にこんなことを言ってきた。

「どうした、逃げねーのか? まあ、怖くてブルっちまったのかもしれねーな。だったらしょーがねえ」

「……」

征司は今、そうではないと否定ができなかった。
能力さえあれば、普通の男たちなど物の数ではない。

だが今の征司にはその能力がないのだ。
何の能力もない丸腰の人間が、曲刀を持った人間を見て怖くないと思うのは、ただ感覚が壊れているに過ぎない。

その点、征司の感覚はまだ壊れていなかった。
顔に出さないつもりでいたが、足は動かなかった。

そんな彼に、リーダーの男は提案をしてきた。
それが以下である。

「俺らとしちゃーよ、別にオマエ殺しても金になるわけじゃねーから、逃がしてやってもいいと思ってるんだ。だが水泥棒を許すわけにはいかねえ…ってことで取引といこうぜ」

「…?」

「そこの馬だ」

男は、切っ先を征司の右後方にいる馬へ向けた。
征司は一度そちらを見て、男の方へ向き直る。

「馬…?」

「おおっと、しゃべれんのか。てっきり口がきけねーのかと思ったぜ」

リーダーの男は笑う。
「そうだ馬だ」と続け、さらに彼にこう言った。

「見たところ、なかなかいい馬みてーだな? 売り飛ばせばいい値段になるだろうし、オマエの言う事しか聞かねえじゃじゃ馬ってんなら、バラして食うのもアリだ。とにかく馬は俺らにとって有用だ」

「な…」

(なんだと、こいつらまさか…)

「オマエは逃がしてやる。だが馬は置いていけ」

リーダーの男はそう言った。
言った後でまた口元を歪めた。

「近頃稼ぎもあんましよくなくてな。ぼちぼちたらふく肉を食いてえって思ってたとこなんだよ」

「いい肉づきだぜえ、ありゃあよォ」

「ほら、さっさと置いてけよ。殺すぞ?」

「ぐへっ、ぐへっへっへっ」

リーダーの言葉に続いて、他の男たちが笑う。
誰もが獣のような目で馬の方を見ていた。

「死にかけの連中ばっか食ってたからよ、こっちまで病気になりそうで参ってたんだぜ。そこに馬を持ったオマエさんの登場だ…こりゃカミサマのオミチビキってヤツだよな?」

「クソガキ、見逃してやるから早くどっか行け」

「オマエみてーなのはもう食い飽きてんだ」

「馬を食わせろ」

「ほら、早く」

(な…!)

征司は思わず後ずさる。
男たちの目が獣じみているのは、ただ腹を減らしているだけではないようだ。

人として犯してはいけない禁忌を、もう何度も犯しているらしい。
それでも問答無用で征司を襲わないのは、殺してしまえば食わなければならないためだろう。

(オレを殺そうと思えば殺せるのに殺さないのは…オレを『食いたくないから』か…! あいつらにとっては馬の方がごちそうってことは…)

少し顔を右側へ向け、目でちらりと馬を見る。
何やら興奮しているのか、前脚でしきりに地面をかいている。

どうやら男たちの獣じみた雰囲気に当てられているようだ。
だが馬が持つ臆病さは微塵もなく、逆に戦うつもりのように征司には見えた。

(冗談じゃない、戦うつもりなのか…! いくら馬の蹴りが強くたって、10人もいたんじゃ無理だ! 乗って逃げようとしても刺されるだけだろうし…くそ…!)

単純に、征司には何もできなかった。
丸腰な上、ヴァージャの協力がなければ男たちから走って逃げることもできない。

もし馬と共闘したところで、一体自分たちに何ができるだろうか。
征司は考えれば考えるほど、自分に手がないことを思い知らされずにはいられなかった。

そして、こんな考えが頭をよぎる。

(こいつらは…馬の方がごちそうで、オレのことはどうでもいいって思ってる。馬を差し出せば、もしかしてオレは助かるのか…?)

そう思った瞬間、頬を小さな汗が流れ落ちた。
それは熱さを感じない、冷たい汗だった。

そしてこの直後、リーダーの男が勝ち誇ったかのように叫ぶ。

「さあ、ぼちぼち逃げる準備しろよボウヤ! 俺たちはもう腹が減って我慢できねーんでな!」

叫びとともに、10人の男たち全員が曲刀を抜いて少し前傾姿勢になった。
この時征司は、彼らがもうすぐ走り出すことを予感したのだった。


「…あっ?」

思わず彼女は声をあげた。
足を突っ込んだスニーカーのひもが、突然切れてしまっていた。

彼女は買い物の帰りだった。
ビニール袋には、玉ねぎなどの野菜と牛肉、そしてビーフシチューのルウが入っている。

「なに…?」

彼女はひもが切れたことに驚きながらも、そのスニーカーを履いたまま歩き続けた。
ひもはすべて切れたわけではなく、中央部が1ヶ所だけ切れていた。

小さなマンションへ入り、自分の部屋へと戻っていく。
ドアを開けて中に入り、スニーカーを脱いでから冷蔵庫前に荷物を置く。

と、それまで目立った動きをしなかった彼女が、慌ててスニーカーの前に戻ってきた。
誰もいない部屋の中で、彼女は張り詰めた表情でそれを見ていた。

「なによ、この…不吉な感じ…」

切れた箇所を見る。
彼女…弥生は、服が汚れるのも構わずにスニーカーを胸に抱きしめた。

「何も…ないわよね? いつか帰ってくるのよね…そうに決まってるわよね?」

スニーカーを抱きしめたまま、弥生は震える声でつぶやく。
少しうずくまる体勢になり、長く伸びた髪が彼女の表情を隠す。

「ビーフシチュー、うまくなったのよ…自分でそう言えるくらいになったのよ。私にここまでさせたんだから、帰ってくるのよ。絶対…そうじゃなきゃ許さないんだから……!」

必死にスニーカーを抱きしめる弥生の体は震えている。
他には誰もいない小さな部屋で、彼女はただずっとひもが切れたスニーカーを抱きしめ続けていた。


(バカな…何を考えてる!)

征司はかぶりを振った。
そして自分の中に生まれた卑しい考えを消そうとする。

(馬をあいつらに渡して自分だけが助かろうなんて、そんなことできるわけないだろ…!)

「さあ、もう時間だぜ! 馬は俺たちがもらうッ!」

征司の心の整理がつかないうちに、リーダーの男はそう言った。
それと同時に男たちは、よだれを垂らしながら馬に向かって走り出す。

「逃げろッ!」

征司はそう言った。
思わずそう口走っていた。

馬に向かってそう言っていた。
だが馬は、興奮した様子で首を横に振りながら唇を震わせている。

「ぶるるん」

「逃げろって言ってるだろバカ! お前の足なら逃げ切れる! 早く行け!」

「ぶるん」

馬は征司の言葉を聞かず、素早く前に動いた。
そして征司の服をくわえて引っ張る。

しかし征司はそれを振り払い、馬に向かって右手を振り上げた。
それに驚いた馬が退き、数歩下がる。

その動きに合わせるように、征司は馬にこう言った。

「そのまま逃げろ! お前だけでも逃げ…」


ドスッ
ザクザクザクッ


「…ろ……?」

征司の言葉から、力が抜けた。
直後、その口からは言葉ではなく血が漏れ出す。

「…?」

意味がわからず、彼は前を向いた。
そこには、ニヤリと笑う男たちがいる。

リーダーの男は、一際嫌らしく笑いながら征司にこう言った。

「まさか、馬の盾になるユームがいるなんてなァ? 見上げた根性じゃねえか」

「…う、ぐ……?」

「だがそれじゃ生きてはいけねえ。さよならだ」


ドスゥッ


(あっ…なんか、失敗したか…? オレ)

心に浮かんだのは、そんな言葉だった。
それはどこかとても、軽い言葉だった。

征司の腹部にはリーダー含む4人の刃が突き刺さり、駄目押しでもう一度腹を刺された。
しかしもはや征司は激痛すら感じない。

(馬…は?)

どうにかその方向を見ようとする。
だがもう体に力が入らず、動かない。

バランスをとれない。
刃を抜かれた体は、荒れた地面に倒れる。

(……あれ?)

なぜ何もできないのかがわからない。
だがふと、視界上部で何か動くものを見つけた。

それは男たちから逃げる馬の姿だった。
まさか征司が馬をかばうとは思わなかったのか、やがて馬の姿だけが見えなくなった。

(ああ…馬は逃げたのか。そうか…よかった)

そして視界は暗転する。
真っ暗な中で、征司はただひとりだった。

闇の中から人影が現れてくるようなことはもう、なかった。
ただただ彼は、体から力が抜けていくのを感じ、やたらと寒くなっていくのを感じた。

(…なんだ、これ……『重い』…な)

眠気はなかった。
ただ、体に重りをつけられたように、大地に引き寄せられるような重みを感じていた。

(なにか…やらかしたみたいだけど、馬は…助かったんだよな。きっと)

征司はそればかりを考えていた。
今の状況が何を示しているかなど、全く考えていなかった。

だが、わからないわけではない。
今の状況を、理解できないというのではない。

(さいご、に…馬だけでも助けられて…よかった)

征司の口元は、微笑んでいる。
どこか、何かをやりきったような気持ちになっている。

(馬を、さしだせ…ば……たすかるかも、なんて…思ったから、バチがあたった……かな)

体を包み込む重みは、さらに強さを増す。
それは、循環が止まり始めていることを示している。

体をめぐる血液の循環。
まわりまわるエネルギーこそが生命体と物体の違いであるならば、それが止まり始めていることがどういうことを意味するのか。

それは、生命体が物体へと変化することを意味している。
その感覚を、征司は今味わっている。

(バチ…なのかな? オレに、してみれ、ば…これは逆に、ご…ほう……び…………?)

ロダフスたちを目の前で殺され、死の誘惑にとらわれた征司にとって、死は褒美であったのかもしれない。
だが褒美というには、征司にはやり残したことが大きすぎた。

(アイツ、を……殺せない、まま……で………)

恭一の顔が思い浮かぶ。
新たにロダフスたちを殺し、征司はさらに強い憎悪を抱いていた。

だが今、循環が止まろうとしている今は、その憎悪がなぜか消えていた。
長い長い戦いの目的であったにも関わらず、今はもうどうでもよくなってしまっている。

どちらかというと、その後に見えたものが征司の関心を引いた。

(……?)

誰かが座り込み、泣いている姿が見える。
胸の前で何かを抱きしめて、体を震わせている。

(ないて…る?)

征司はふとそう思った。
すると、その誰かの肩がぴくりと震えた。

泣きはらした顔をゆっくりと上げ、「彼女」は何かを探し始める。
そしてこう言った。

”…あなたなの?”

(え……?)

”うそ、信じられない…! でも…”

彼女の顔は、上を見ている。
征司は上から彼女を見下ろしている。

その視線が、今。
ぴたりと合った。

”『見つけた』わ…!”

(あんた…なんで、泣いて…?)

彼女が弥生であることに、征司はようやく気づく。
一方、彼女は涙をふき、彼に向かってこう言った。

”あなたは絶対に、私のもとへ帰ってくるのよ。無事に帰ってくるの。それが義務なのよ”

(……え…?)

”だけど、あなただけじゃもう無理だというのなら、私が…”

弥生の目が、一際鋭くなる。
そして彼女は、力強く言い放った。

”私が『見つけて』あげる!”

(うっ!?)

それまで、ただ倒れていただけの征司の体に衝撃が走る。
それは彼の体をただ震わせるだけでなく、彼自身にあるものを「見せた」。

(こ、これは…!?)

”…アスタロト、早くどうにかしやがれ! セェジが、セェジがっ…ちくしょおおおおッ!”

”今やっています! 治療はしていますが…くっ、我らが主人の命令がなければ、本来の力を発揮することはできませんッ!”

(ヴァージャ…アスタロト……?)

聞こえなくなっていたはずの、彼らの声。
そして視界から消えていたはずの姿。

それらが、今になって見えるようになっている。

(…はっ!?)

ふと気づき、弥生の方を見下ろす。
だがそこには闇があるばかりで、彼女の姿はもうない。

(今のは…なんだったんだ? なんであの人とオレは…)

何が起こったのかはわからない。
だが、気がつくと彼はヴァージャとアスタロトが見えるようになっており、体から重みも消えている。

そしてさらに。

(これは…!)

小さな、とても小さなもの。
闇に溶けてしまいそうな漆黒の刃と柄。

征司の視界には、右前方にヴァージャがおり、左前方にアスタロトを含む偽魔たちが見えている。
それと自分がいることで、三角系の陣形ができた状態になっている。

その陣の中心に、それはあった。
すべてを失い、命さえも失くしかけた彼の前に、それは姿を現したのだ。

(『黒い』…『ナイフ』……!)

悲劇と痛みの果てに現れた「黒いナイフ」。
それは静かに、闇の中に浮かび上がっていた。


>その9へ続く