【まとめ4】「幽獄Lv1+1」~「幽獄Lv1+9」 | 魔人の記

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<まとめ範囲>「幽獄Lv1+1」~「幽獄Lv1+9」まで

〔重要〕

・偽魔(ぎま)
 これまで現れた刺客たちは、「悪魔をモチーフにした力」を能力として使ってきたが、その「悪魔」さえも実は本物ではない、ということ。

→偽魔が生まれるまで
 ベリトによる説明が「幽獄Lv1+4」にてなされている。ここではもう少し具体的に記す。

 児童養護施設「なかよしホーム」において、園長の中村 善行(なかむら よしゆき)は資金繰りに行き詰まり、金策が尽きたことで精神を病んだ。

 そして黒魔術に手を出し、生贄として自分の施設にいる子どもたちを使った。

 生贄にされた子どもたちの中には、自分が殺されることを理解したにも関わらず、それでも園長である中村に拾ってもらった恩義を感じて、彼の役に立てるならとそれを受け入れる子どももいた。

 生贄になることを受け入れた数少ない子どもたちの中でさらに少数が、その体内に生まれながらにして異細胞を持っており、子どもの強い願いを受けて悪魔の性質を持ったものが「偽魔」である。

 園長である中村の行動はただの虐殺であるが、それが知らず知らずのうちに「異細胞を持つ子ども」を選別し、それに力を与えた上で自らが吸収するという結果を生んだ。

 中村の中に取り込まれた異細胞は、彼が持つ知識に影響を受けて悪魔の性質を強めることとなった。


・ソロモンの魔手
 偽魔たちはすべて、ソロモン72柱という72柱の悪魔たちの性質を持っている。

 だが征司の体内に取り込まれると、悪魔の性質よりも「魔手」としての性質が優先され、「第3の手」が増殖するような形になる。1柱につき、1本の魔手になる。

 アスタロトによれば(→「幽獄Lv1+5」)、この力は「すべてを侵し、すべてを変える力」であり、先の戦いで八神 ナオトを消し去った力も、魔手の能力と見ていい(偽魔たちの力には、『敵を消し去る』というものが存在しない)。

 ソロモンの魔手は間違いなく征司特有の能力ではあるが、まだ完全な制御ができるとは言い難い。
 偽魔とはいえ、元の悪魔の性質が色濃く反映されているためか、特に高位の悪魔であるアスタロトによって制限がかけられることがあるようだ。


・「幽獄」の終わり
 現実ではない世界に放り込まれた征司は、ついにその世界にいるすべての刺客を撃破することに成功した。

 世界から脱出した彼が見るものとは一体…?
 そして、直前に外から干渉してきた者とは?


★キャスト★

・真田 征司
 →ついに戦闘者として独り立ちを果たした感がある。

 子どもを虐殺しては食ってきたという異常者、中村 善行に対する怒りは相当なものだったが、それでも怒りで理性を吹き飛ばさずにいられるようになった。その前に嘔吐はしたが。

 だが、テンションが異様だったロノウェに対してはなぜか丁寧語で接したりと、おどおどした一面が完全に消えてしまったわけではないらしい。

 アスタロトに制御を乗っ取られることはあるが、それでも「ソロモンの魔手」の半分を取り戻すことに成功した。


・ヴァージャ(Ver.ja)
 →もはや姿を見ることがなくなった彼だが、「幽獄」脱出前のパスワードとして彼の名前がアルファベットで示された。

 茜が言うところによると(「幽獄Lv1+9」)、ソロモン72柱に属さない存在で73本目の魔手(→これまででいうところの『第3の手』か?)であり、さらに「虚構の極致」であるらしい。

 彼もまた、アスタロトによって体内で動きを制限されているシーンがある(「幽獄Lv1+8」


・中村 善行(なかむら よしゆき)
 →名前と行動が一切一致しない、第5の刺客。
 コードネームはアエオエッフ(A.E.O.E.H.F.)であり、ブネの能力を持つ。

 ブネの能力は、死体を移動させたり、召喚者が用意した墓地に配下の悪魔を集結させたりするというもの。

 つまり戦いの前に征司がひきずりこまれた場所は、彼が用意した「墓地」であったらしい。

 彼の、配下の悪魔を集結させるという力により、征司はグラシャ=ラボラスやロノウェと戦い、またベリトやアスタロトから知識を得ることとなった。


・松井 茜(まつい あかね)
 →週刊ディアマンテの記者であり、第6の刺客。
 コードネームはオウアフスス(O.U.A.F.S.S.)であり、フォラスの能力を持つ。

 八神 ナオトに洗脳されている状態だったが、彼が死んだことによってそれが解ける。

 もともと刺客として征司に接近したわけではなく、ナオトの死によって刺客の「スイッチ」が入った。

 フォラスの能力は多彩だったが、彼女はそのうち「透明化」と「財宝や失くしものを発見する能力」を使い、後者によって征司に知識を与え、前者によって彼に戦いを挑んだ。

 しかし戦いは彼女の本意ではなく、征司に自らの異細胞を渡すためのものだった。

 「渡せば彼女が死ぬ」とわかっている異細胞を、征司はその性格上絶対に受け取らないため、本気で戦うしかなかった。征司もそれに後から気づいている。

 ちなみに、茜のコードネームは本編に登場しなかった。


・アスタロト(の偽魔)
 →アスタロトはソロモン72柱の中で29番目に序列される悪魔であり、文献によっては「告発者と審問官の王」、もしくは第1階級の悪魔のひとり、さらには中村も言っていたようにルシファーやベルゼビュートと並ぶ地獄の支配者のひとりとされている(これはリアルな文献データである)。

 ただし、この物語に現れたのはその偽魔であるので、性質としては似たものを持つが、元は中村によって殺された少女が持っていた異細胞である。

 刺客のコードネームの法則から外れているため、アスタロトとしての能力は持つものの人間にそれを発揮させることができない。

 しかし他の偽魔たちを従わせることができるらしく、それによって征司の魔手発動を阻んでいる。

 他にも、映像化と称して「征司の体内で起こっていること」を、血と肉と骨がうごめくリアルな映像ではなく、虚構の空間を作り出してその中に自分たちの姿を投影する、ということもできる。

 これにより、体内で起こっていることが誰にでもわかるようになる。

 そんな空間の中でヴァージャを磔にするなど、完全なる主人である征司が魔手を発動させたことを喜んでおきながら、なぜか彼に反逆的な行動をとっている。


★Y.N.からのメール★

・なし
 →もはや物語の中で、「Y.N.」という名前を聞かなくなって久しくなってきている。


★戦績★

・第1戦○勝利
 場所:地下鉄貝塚駅
 売店の中年女性、さらには電車でやってきた100体以上のリアライザ(人間の体に獣のパーツがくっつけられたもの。もしくはその逆)を、ものともせずに倒す。


・第2戦○勝利
 場所:謎の空間(アクロスF地下2階から引きずり込まれた場所)
 第5の刺客、中村が集結させた悪魔(偽魔)の1柱、グラシャ=ラボラスと戦う。とっさの判断で、「手」ではなく「腕」で締め上げることによって勝利する。


・第3戦○勝利
 場所:謎の空間
 同じく中村の偽魔、ロノウェとの戦い。最初はロノウェのテンションに戸惑う征司だったが、ロノウェの武器である巨大なフライ返しの形状から突破口を思いつき、「第3の手」によって殴り飛ばす。


・第4戦◎勝利
 場所:謎の空間
 ついに中村本人との戦いだが、征司の魔手によってあっという間に勝負はついた。中村はアスタロトに見捨てられた後、征司に干渉された体内のブネによって首をはねられる。

→ただしこの戦いにはある重大な「欠落」が見られる。
 詳細は後述。


・第5戦○勝利
 場所:アクロスF近くの横断歩道
 茜の声に導かれ、横断歩道を渡ろうとした時に突然赤い肉片と赤い手が出現。襲われる。
 この戦いで征司は魔手を封じられ、「第3の手」のみで戦う。

→第5戦は、敵が完全には明らかになっていない。

 征司に取り込まれた中村の因子が反乱を起こしたともとれるが、征司は「偽魔たちが自分を試した」と考えており、彼の一喝を受けて赤い手たちは「バレテタ カ」としゃべった。

 この戦いによって、征司は自らが取り込んだものから受ける影響がどれほどのものか知ることとなるが、敵がはっきりしていないことには気づいていない。


・第6戦◎勝利
 場所:ライブハウス・ハートビート
 この世界最後の刺客、茜との戦い。
 透明化という、単純ながらも強力な能力によって征司は追い詰められるが、彼女によって出血させられたことを逆に利用し、見事に逆転を果たした。


★欠落★

 「幽獄Lv1+4」において、児童養護施設の園長であった中村によって、ブネ以外、5柱分の偽魔が抜き出されたとベリトは語った。

 これに対して、

 「幽獄Lv1+5」において、征司は中村の体内にいるブネに働きかけたことで、ブネが担当する「手」によって中村の首がはねられた。

 その際征司は、アスタロトに「~(中略)憎しみのままに暴れるってことを、オレがすべきじゃない…それはあいつに殺された子どもたちがやるべきことなんじゃないか、ってそう思ったんだよ」と語った。

 これはつまり、ロノウェやアスタロトと同じようにブネも元は子どもが持っていた異細胞であり、中村の能力を司る存在として支配されているのを征司が「魔手の力」によって自由にしたら、ブネは自分の判断で中村の首をはねた、ということになる。

 だが、ブネはもともと「子どもたちが持っていた異細胞」ではない。
 抜き出された偽魔は、ブネ「以外」だったのだ。

 ここには重大な「認識の欠落」がある。

 ベリトの話を征司があまりよく聞いていなかったとも考えられるが、今の征司が戦う理由は「答えを知ること」であり、その答えの一部を口にしているベリトの言葉を、いい加減に聞いたりするだろうかという疑問が生まれる。

 さらに、次のアスタロトの言葉。

──「ほう…? 少し私には理解しにくい話ですが、興味深いですね」──

 これは、この欠落を認識しているかどうかで、大きく意味が変わる。
 そしてその後の行動も、全く別の意味を持ってくる。


以上が今回のまとめとなる。
そして物語は次章へ続く…

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