O.R.O.E.O.S. その12
「ごちゃごちゃしちまうから、先に結論を言っちまうぜ」
夜。
征司の部屋。
真っ暗な部屋の中に、大きな鏡がある。
それは姿見にしては幅が大きく、高さも2メートルほどある。
それが2枚。鏡面が向かい合う形で置かれている。
周囲にそれぞれ赤黒い光、青黒い光を放っていた。
その前にヴァージャが立っている。
背後から鏡の光を受けつつ、彼は征司にこう告げた。
「俺たちがいるこの世界は、現実じゃねえんだ」
「…」
「もう一度言うぜ、『この世界は、現実じゃねえ』んだ」
「…現実じゃ、ない…」
どこかぼんやりとヴァージャを見つめながら、征司はその言葉を口にする。
彼は放課後、茜を適当にやり過ごして家に帰ってきていた。
昨日は城戸が茜を絞殺したというのに、今日になってみれば茜は何事もなかったように復活し、城戸は城戸でさわやかに「プロテストを受けることにした」などという始末。
征司には全く意味がわからなかった。
今やっと、ヴァージャにその解答を教えてもらったところだった。
しかし、そう言われてすぐに納得できるものでもない。
「現実じゃない、って…じゃあ、なんなんだよ?」
「言ってみれば、夢に近いもんだろうな。だが、夢でもねえ」
「…言ってる意味がわかんないぞ…」
征司はそう言いつつ、ヴァージャの背後にある鏡を指差す。
「大体、その鏡はなんなんだよ? やけに大きいし、なんだか物騒だし…」
「鏡については後で教えてやる。その前にだ」
ヴァージャは、征司に向かって一歩近づく。
まだ意味がわかっていない征司に、彼は真剣な顔で言う。
「お前のイメージを聞かせろ。『すっごい奥』といえばどういう場所だ?」
「え? お前何を言って…」
「いいから教えろ。『すっごい奥』だ」
「…奥…? そうだな…」
意味がわからないながらも、意味がないとは思わなかったのだろう。
征司はそれなりに真面目に考える。
ふと、彼の中に以前会ったロバたちの姿が思い出された。
会った場所をヴァージャに告げる。
「前に会ったロバたちがいた場所…洞窟の行き止まり、みたいな場所が『奥』かな…」
「よし、じゃあそのイメージを思い浮かべたまま、鏡の間に立て」
「え? なんでだよ?」
「いいから…できるだけ『秘密』にしておきたいんだよ」
「…?」
「頼む、早くしてくれ」
「わ、わかった…」
ヴァージャらしからぬ物言いに、征司も従うことにする。
赤黒い光を放つ鏡と、青黒い光を放つ鏡の間に立った。
すると、鏡の中に征司の姿がたくさん見えてくる。
いわゆる「合わせ鏡」であり、その中には自分の死ぬ姿が見えているなどの都市伝説があったりもする。
つまりは、あまり気味のいいものではない。
征司は少し急かす意味で、ヴァージャに「これでいいか?」と尋ねた。
するとヴァージャは静かにうなずく。
それと同時に、2枚の鏡が光を強めた。
「う…!?」
赤黒い光と青黒い光。
その両方に包まれると、征司は意識を失う。
次の瞬間、彼が気づいた場所は…
洞窟の奥まった場所だった。
「お待ちしておりました」
誰かの声が聞こえる。
声がした方向を見ると、そこには真っ白い狼がいる。
鋭い眼光が気品さえ感じさせるその狼は、唖然としている征司に続けて言う。
「皆が待っております…どうぞこちらへ」
「あ、はい…」
やけに丁寧に言われたため、征司も思わず丁寧語で返してしまう。
後をついていくと、ロバたちの時と同じように6つの小さな光が1つの大きな光を取り囲んでいるのが見えた。
そしてそこは洞窟の行き止まり。
征司がついさっき、ヴァージャに「奥」のイメージを問われ、想像した場所である。
「ヴァージャ…これは…?」
6つの光に囲まれた1つの大きな光。
その上に鎮座しているのが、体の大部分を失ったヴァージャだった。
ロバたちの時は、頭部と上半身左側しかなかったのだが、今は上半身右側が存在している。
上半身が復元されているおかげで、体を真っ直ぐ起こして固定することができるようになっていた。
そのヴァージャは、落ち着いた口調で征司に言う。
「まず…先に鏡の前に立たせたのは、できるだけ早くここにお前を来させたかったからだ」
「…ここに?」
「ああ。ここはお前がイメージする『奥深く』だ。秘密を話すにはいい場所だろう…無駄な抵抗かもしれねーけどな」
「ヴァージャ…お前は一体、何を知ったっていうんだ? お前と一緒の体にいるオレが、なんでそれを知らないんだ?」
「その説明は今からする。まず…ロバたちのこと、憶えてるだろ」
「ああ、もちろん」
征司の脳裏に、ロバがヴァージャを悪し様に言っていたのが思い出される。
どうやら彼らは、「もともとは征司の体」らしい。
「こいつらも、ロバたちと同じだ…もともとはお前の体なんだよ。セェジ」
「それは…なんとなくわかるけど」
「で、今回のことは、ロバたちをお前の体に組み込んで、こいつらと会ったからこそわかったことだ…つまり、今まではわからなくて当然のことだったんだ」
「…?」
「その顔はわかってねーな…いいか? ルサグスフの野郎からお前の『第3の手』が『心臓じゃない何か』を抜き出して吸収した。それでお前はロバたちに会った」
「…ああ」
「それをお前の体に組み込むのが俺の役目…そして俺は役目を果たした。あいつらをお前の体に組み込んだんだ」
「…それで?」
「組み込むことでお前の体は少し変わった。その影響を受けて俺も変わった。次に、城戸からも同じように『何か』を吸収した…それで今、お前はこいつらに会ってる」
「うん」
「俺が、『この世界が現実じゃない』とわかったのは、その影響からなんだ。あのロバたちを組み込み、こいつらと会ったことが影響して、俺はようやくそのことを理解することができた」
「つまり…」
征司の目が、6つの小さな光へと移る。
そこには白い狼の他にラクダや、紫色のモヤ、狩人姿の少年などがいる。
「オレの『手』がルサグスフや城戸から吸収した『何か』が…オレの体を変えてるってことなのか?」
「ああ、そうだ。変化というのか…間違いなく影響を受けてる。そしてそれこそが、Y.N.の目的なんだよ」
「…また話が飛んだな」
「飛んでねーよ。『この世界』は、そのために用意されたもんなんだからな…!」
「そのために…?」
「つまりだな…」
ここからヴァージャの説明が開始された。
まとめると以下のようになる。
Y.N.側が言う「刺客」とは名ばかりで、征司に『もともと征司の中にあったもの』を抜き取らせるのが目的であるということ。
そのために征司を『この世界』へ放り込み、その様子をY.N.側が『外』からモニターしているということ。
征司の行動に影響されて、『この世界』が目的に沿わない方向へ動き出した場合、それをリセットして強制的に元に戻す措置が取られること。
その措置のひとつが、城戸に殺されたはずの茜の蘇生であり、ルサグスフの手先に背中を刺された征司自身の蘇生であったこと。
ヴァージャがわざわざ征司をここに来させたのは、『この世界が現実ではない』ことを気づかれたことを、Y.N.側に知られたくないと思ったため。
しかしそれも難なくモニターされているかもしれない。
モニターされているかどうかを知る術は、こちらにはない。
「…だからさっき、『無駄な抵抗かもしれない』って言ったのか」
「ああ。少しは理解してくれてるみてーだな」
「いや、理解するように努力はしてるけど…いきなり『この世界が現実じゃない』って言われてもな…オレの感覚だと、間違いなくこの場所だけが現実じゃない、って感じなんだが」
「まあ、それが普通なんだろうぜ。俺だって今までは全然わからなかったんだ」
「それが、彼らのおかげでわかるようになった…ってことか」
征司はヴァージャから狼へと視線を移す。
光の上にちょこんと座っている姿はかわいらしくもあったが、目を見ると狼らしい鋭さを感じた。
征司は、ちょっと狼に尋ねてみる。
「オレにもいつか…ヴァージャみたいにわかるようになるのかな」
「…申し訳ありません。それは、我らにはわかりかねます」
「そうか…あと、もしかしてとは思うけど、君らもヴァージャのことを…」
「お気を悪くされたくなければ、彼のことを我らに訊かない方がよろしいでしょう」
「あ、そっか…やっぱり」
ロバたちと同じように、狼たちもヴァージャのことを嫌っているらしい。
その理由を尋ねてみても、同じようにわからないのだという。
「なんなんだろうな…過去に何かあったのかな」
「…さーてな。そこらへんはこいつらにも俺にもわからねえ。とにかくだ、セェジ」
「この世界は…現実じゃない、だろ?」
「そういうことだ。だが、だからってズルができるわけでもねーらしい。Y.N.側さえ意図しない方向に行く不安定さはあるようだが、基本的には現実とほぼ同じだ」
「じゃあ、別に現実と同じなんじゃ…」
「おいおいそりゃねーぜセェジ。『現実じゃねえ』ってんなら、お前はルサグスフを『ホントは殺してねえ』んだし、その奥さんが自殺しようとお前には関係ねえってことなんだぜ」
「あ…!」
「いろいろありすぎて飛んじまってるみてーだがよ、そういう心労が減るのはプラスなんじゃねーのか」
「そうだな、確かにそうだ…それに城戸も、結局は松井さんを殺さずにすんだわけだし…!」
「そういうことだ。ただな…だとすると、余計に不思議なことも見えてくる」
「不思議なこと?」
「あの孤児院だよ」
ヴァージャが言っているのは、児童養護施設「なかよしホーム」のことである。
中は黒魔術さながらに不気味なリフォームがなされ、子どもの白骨死体もあった。
さらに人面熊のリアライザ2体が、畑まで耕して住処としていた。
『この世界』が現実ではないなら、当然あの場所も現実ではないということになる。
さらに、自分と城戸だけにはその存在が見えて、茜には見えなかった。
そのからくりは「現実じゃないから」の一言ですむが、それは彼女に見せなかった理由にはならない。
「つまり…?」
「現実じゃないにも関わらず、あの女に見せるわけにはいかなかった、ってことだよ」
「それがわからない。現実じゃないなら、後で消せばいいじゃないか…城戸が松井さんを殺してしまった時のように」
「さっき言ったろ? この世界には不安定な要素がある…もしあの女にまで見せてたら、間違いなく『Y.N.側が望まない結末』がやってくるってわかってたんだ。それを先回りして止めたんだろうぜ」
「…そこがよくわからないんだけどなあ」
「確かに、『望まない結末』がくればもう1回まっさらにすりゃいいが、そうなるってわかってるものを放っておく手はねーだろってことだよ。まっさらにするにもいろいろめんどくせーんじゃねーのか?」
「だから、松井さんには孤児院の存在を知らせなかった…ってことか?」
「ああ。それでいて、お前には見せておきたかったんだ」
「…うーん…なんで?」
「見せときたかった理由は、俺にも残念ながらわかんねえ。だが、Y.N.側はこの世界を、100%コントロールできるわけじゃねえ、ってことだ。そこがカギになるかもしれねえ」
「カギって、脱出のカギ…か?」
「そうかもしれないし、お前にこいつらを組み込ませる謎のカギ、かもしれねえ。今回わかったのは、『この世界が現実じゃねえ』ってことだけなんだ…それでも大きな発見だとは思うけどよ」
「…そっか。まあ…理解できるように努力してみる」
「ああ、頼むぜ。で、あとは…こいつらの話、聞いてやってくれ」
そう言って、ヴァージャは体を倒した。
頭部と上半身だけの体が、大きな光の上でころんと転がる。
「あ、うん…」
そんな彼の姿を見つつ、征司は返事をした。
その後で、ヴァージャより手前側の光に鎮座する狼を見る。
「えっと…それじゃ、話聞かせてくれるかな」
「かしこまりました」
狼はうやうやしく頭を下げる。
それと同時に、他の5体が立ち上がり、足のない者は地面から少し浮き上がった。
狼はその場で遠吠えをする。
いきなりの行動に征司は驚いて後ずさるが、すぐに元の立ち位置に戻る。
やがて狼は顔を下ろし、人語を用いて強く声を張った。
「我ら、ついに主の元へ集い来たらん! その名を高らかに叫ぼうぞ! 我は11のO!」
「同じく11のR!」
「O!」
「E!」
「O!」
「S!」
「6つ揃いて!」
「O.R.O.E.O.S.!」
「まとめて読めば!」
「オロエオス!」
「ようやく帰れて!」
「いとうれしきことかなー!」
「イエス! イエスッ!」
「やっとだねー! 帰ってこれたよー!」
「ぽぽっ、ぽろぽぽぽぽっ」
6つの光の上で、狼たちははしゃいでいる。
それは本当に、慣れ親しんだ家に帰ることができる喜びに満ちているように見えた。
「11のO」と最初に名乗ったのは狼だった。
物静かでありながら鋭さをはらんだ眼光から、とても気品あるたたずまいである。
「11のR」と名乗ったのは狩人の姿をした少年だった。
緑の帽子と黄緑の服を着て、弓矢を背負っている。
「O」、恐らく2番目の「11のO」はラクダ。
長いまつげと半開きの目がどこかセクシーさを感じさせるのだが、顔全体を見ると陽気なラクダそのものの顔をしている。
「E」、恐らく「11のE」は山羊。
気性が荒そうな山羊で、足で地面をかいている。ただし角は伸びていない。
「O」、恐らく3番目の「11のO」は紫色のモヤ。
ほとんど人語はしゃべれないようだが、名乗ることだけはできるらしい。
最後、「S」恐らく「11のS」はヒョウ。
しなやかな流線型の体は、まさに自然界のスプリンターを思わせる。
この6体がそろって、「O.R.O.E.O.S.」=「オロエオス」であり、城戸の心臓付近にあった「何か」…それは肉の塊だったが…その中に息づいているのだという。
「11…?」
今回も、前回と同じく数字が気になった。
だがどういうことなのかはわからない。
「前は確か12で、今回が11…数が減っていってるのかな」
「恐らくは」
狼が答える。
他の5体はその場で好きなようにはしゃいでいるが、狼だけは征司の言葉にすぐ反応するようだ。
どうやらこの狼は、前回でいうロバのようなポジションらしい。
6体を代表して話を聞いてくれるようだ。
「…恐らくは、ってことは…君らもこの数字の意味はわからない…?」
「恥ずかしながら、そういうことになります。我らに残されたのは、あなたへの慕情と彼への憎悪。そして砕かれた名前とこの姿のみ」
「砕かれた…名前」
「はい。それもいずれ、我らの眷属と出会い、組み込んでいかれる中で明らかになるやもしれません。ですがそれは、確定ではない…」
「わかるかもしれないし、わからないかもしれない?」
「はい」
「そうか…結局オレたちは、Y.N.側のルールに従ってやっていくしかない…っていうことなのか」
「申し訳ありません。我らが不甲斐ないばかりに」
狼はさっと頭を下げた。
征司は慌てて、足りなかった言葉を付け加える。
「あ、いや! そういうことじゃなくて…そこは結局同じなんだから、まあがんばろう、みたいな…そういうことを言いたかったんだよ。だから頭上げて」
「はい」
狼は頭を上げた。
征司には、その瞬間だけ…狼の目から鋭さが消えていた気がした。
そのことが少しだけ、征司の心をほぐすことになる。
「頼りないなりに、オレもがんばるから…力を貸してくれたら嬉しい」
「もったいないお言葉、ありがとうございます。どうか我が眷属たちのことも、よろしくお願いいたします」
「うん。もとはオレの一部だったらしいし、だったら余計に連れ戻してあげなきゃね」
「その時を、お待ちしております。では…我らはそろそろ」
「うん、わかった」
征司はそう言って、狼から一歩離れる。
すると、6つの小さな光はその直径を徐々に大きくしていった。
光に包まれながら、6つの「何か」は征司にそれぞれ声をかけてくる。
「どうぞ、これからもお気をつけくださいませ」
「しっかりねー! 死んじゃダメだぞー!」
「たまにはゆっくり休むのよ? 休めるだけ休むってのも悪くないわー」
「てめーっ! 負けんじゃねーぞ! 負けたら承知しねー! ウオァァアアアッ!」
「ぽぽぽっ、ぽぽーぽぽっ」
「それではまた…いずれ会う日まで…」
一気に言われるので、征司は誰にどう答えればいいのかわからない。
ただ苦笑いしながらうなずいてみせ、手を振るのが精一杯だった。
やがて6つの光は大きくなり、中央にある大きな光へと集まっていく。
その上で横たわっているヴァージャは、少しだけ苦しそうな顔をした。
「ヴァージャ、大丈夫か?」
「ああ…心配すんな」
彼の声とともに、征司の視界は光に包まれて何も見えなくなる。
そして次の瞬間、気づいた時には…
「…あ」
自分の部屋へ戻ってきていた。
2枚の鏡は消えており、部屋は真っ暗になっている。
(そういえば、電気消せって言われてたけど…)
征司は真っ暗な中を歩き、電気をつける。
すると、見慣れた部屋が目に入ってきた。
(これも鏡と同じで…Y.N.側にできるだけ悟られないように、ってことだったのかもしれない)
周囲を見回すが、ヴァージャの姿はない。
恐らく、彼は彼の仕事をしているのだろう。
「…」
明るくしたばかりだったが、征司はまた電気を消した。
そしてベッドの中に入る。
掛け布団、そしてシーツの感触をじっくり味わってみる。
それは変わらない気持ちよさだった。
(でも、これ全部…『現実じゃない』んだよな…信じられないけど、ヴァージャはそれがわかったって言ってたし、何より…松井さん、生きてたし…)
まだ受け入れることはできない。
正直言って、混乱している部分も多い。
だが征司は、自分が誰も殺しておらず、そのせいで誰かが死んだということもなく、友人が誰かを殺してしまったということもない…そのことを喜んでいた。
その喜びだけは、混乱している部分から切り離されていた。
征司は、我ながら現金なものだとそこでも苦笑いをした。
それからしばらくして、征司は眠りについた。
ヴァージャや狼たちの話を聞いて疲れたのか、その眠りは深かった。
そして朝がやってくる。
現実ではない朝…しかし、征司にとっては限りなく現実に近い朝。
征司は、深い眠りながらその時間は短かった。
目覚ましが鳴る前に体を起こし、明るくなっていくカーテンの向こうを見つめる。
(とにかく…今はこれまで通り戦っていくしかないんだろう。戦って、Y.N.側の刺客に勝って…そうすることでしかオレには何もわからないし、この世界から出ていくこともできない…そういうことなんだろう)
戦うということに関しては、これまで通りであるため迷いはない。
ただ、この世界が現実ではないと知ったことで、何か変化があるのかもしれない…そういう予測というか、小さな恐れのようなものはあった。
征司は、それらを心に抱きしめたままベッドから降りる。
そんな彼を、朝の光はいつもと変わらないまぶしさで迎えるのだった。
>O.R.O.E.O.S. fin.
>【まとめ2】「act1+」~「O.R.O.E.O.S.」へ続く
>幽獄Lv0+1へ続く