★3/5話 再会と過ち★
>マントラ軍本営・地下牢へ。
カハク「あ」
コダマ「あー」
>フィフス・バベルたちがやってくると、勇が帽子をかぶりなおしながらこちらに気付いた。
勇「……よぉ、光介、久しぶりだな……」
光介「ああ」
勇「オマエの噂は聞いてたよ。……この牢屋でな」
カハク「わざわざ地下牢に入れられたみたいだから心配してたけど…ケガとか全然してないわね」
光介「マントラ軍としては、マガツヒが取れれば充分なんだよ。だから、傷つける必要はなかったんだろうね」
カハク「でも、元気そうってことはマガツヒも抜き取られてないみたいね。よかった」
勇「オマエもニヒロ襲撃に参加してたんだろ?」
光介「いや、襲撃っていうか…俺たちが行った時にはもう終わってたけど」
勇「……オマエも知ってたのか? 先生が、ニヒロの巫女だって……俺、伝えようとしたんだけどな」
コダマ「伝える直前に、トールにやられちゃったんだよねー。あんなハンマーで殴られて、よく元気になれたよね?」
ウィルオウィスプ「キット コイツ イシアタマ」
光介「勇が石頭…そういう発想はなかったなあ」
勇「……どっちにしろ、その様子じゃ連れて帰れてはいないみたいだな……」
カハク「連れ戻そうとしたけど、オセに追い出されちゃったのよね」
ウィルオウィスプ「アイツ ユズレナイコト マモッタ。 テキナガラ アッパレ」
勇「オマエでもダメか……その悪魔の力に、結構期待してたんだけどな……」
光介「…」
勇「マントラは崩壊して、これからはニヒロが力を伸ばして行く一方……先生はどこに居るかも分からないまま……」
カハク「あたしたちも、もうニヒロには入れないしね…」
勇「こんな世界でウロウロと……何やってるんだろうな、俺たち……」
>勇はやれやれと帽子に手をやり、うつむき加減になる。
光介「そうだな、ウロウロさせられてるな…」
>勇は顔を上げる。
勇「……こうなったら、アイツに賭けてみるしかねぇかな」
ウィルオウィスプ「アイツ?」
勇「噂で聞いたんだ。すげえマネカタがいるんだよ」
カハク「すげえマネカタ、っていうと…ゴズテンノウの前にいたマネカタを思い出すわね」
コダマ「でも、つぶされちゃったよー。きっとあのマネカタとは違うんだね」
勇「そいつは、先のことがなんでも分かるヤツで……マントラ軍の崩壊も予言してたらしい」
光介「…」
勇「そいつに聞けば……先生のコトとか、これからのコトとかつかめるかも……」
光介「そうかもしれないな」
勇「マントラはそいつを捕まえて、捕囚所にブチ込んだって話が最後だから…今もそこにいるんだと思う」
コダマ「ほしゅーじょ、ってなにー?」
光介「この地下牢みたいに、捕まえたマネカタとかを押し込んでおく場所だよ」
勇「俺、そいつを探しにカブキチョウへ行くよ」
光介「捕囚所はカブキチョウにあるんだ」
コダマ「なるほどねー」
勇「どこに居たって危険には違いないんだ……俺は可能性のあるほうへ行くぜ」
ウィルオウィスプ「プラス シコウ ダナ」
勇「じゃあな」
>勇は去っていった……
光介「さあ、俺たちも勇の後を追おう」
カハク「そうね、でも…」
光介「ん?」
カハク「マネカタって、すごいのになるとここから普通は見えないものとか、予知能力とか身につけちゃったりするのね」
光介「うん。それは俺たちにはない能力だよね」
カハク「マネカタたちのイメージがちょっと変わるわ…今までは、のほほんとしてて力が弱い連中だとしか思ってなかったもん」
光介「でも、大部分のマネカタにはそんな力はないんだ。言ってみれば、ここにいるカハクやコダマ、ウィルオウィスプが種族の中で最強なのと一緒なんだよ」
カハク「…ああ、なるほど…確かに、あたしと同じ姿をしたカハクはいっぱいいるけど…」
コダマ「しんくうはーとか使えるコダマなんて、普通はいないもんねー」
光介「そういうこと。んじゃ、大門から外に出よう…しばらく進むと魔人が出てくるから、気を引き締めといてくれな」
カハク「わかったわ!」
コダマ「ボクもりょーかーい♪」
ウィルオウィスプ「ウォレモ リョーカイダゾ」
ピシャーチャ「…(ざわざわとうなずいた)」
>フィフス・バベルたちはマントラ軍本営・大門を抜け、イケブクロの東側へ出た。
>すぐに高速道路の料金所が見えてくる。
コダマ「あー、ここから高速乗るんだねー」
光介「ああ。この先しばらく歩いていくと、カブキチョウ捕囚所に着ける。でもその前に…」
ウィルオウィスプ「マジン ダナ」
光介「うん。この辺りだと思うんだけど…?」
>とてつもなく恐ろしい悪魔の気配がする…
光介「来たか!」
>ここに、とどまりますか?
光介「もちろんだ! 3体目の魔人との戦い…逃げるわけにはいかない!」
>本当にとどまりますか?
光介「留まって戦い、何としても勝つ! そこそこ俺たちもレベルが高いから、苦戦とまではいかないだろうけど…」
カハク「わかってるわ。油断するなっていうんでしょ?」
光介「ああ」
カハク「魔人相手となれば、あたしたちだってマジになるわよ。前の魔人は大したことなかったけどね」
コダマ「すぐ終わっちゃったもんねー」
光介「だからって次の魔人も大したことないとは限らないぞ。よろしく頼…」
>フィフス・バベルたちはいつの間にか結界の中にいる。
光介「!」
>そして遥か彼方から、何かの音が聞こえてきた。
ウィルオウィスプ「ナンノ オトダ?」
>それは、鋼鉄の咆哮。
光介「来るぞ!」
>魔人・ヘルズエンジェルのバイクが、うなりを上げながらこちらに向かってくる!
ヘルズエンジェル「…感じる、感じるぜ。俺が求める力を……メノラーを持つヤツが近くにいる!」
>バイクの両輪には炎の輪。
それは荒々しく、砂塵を巻き上げる。
ヘルズエンジェル「…オマエか!? オマエが持ってるんだなっ!」
>戦闘への高揚感を表すかのように、バイクはさらにうなる!
ヘルズエンジェル「メノラーをよこしな! そうすりゃ連れてってやるぜ…スピードの向こう側へ!!」
>ヘルズエンジェルは一直線にフィフス・バベル目掛け、ウィリーをしながら襲い掛かってきた!
>魔人・ヘルズエンジェルと戦闘開始!
コダマ「まさか、バイクに乗ってるなんてねー」
カハク「ハイテンションなヤツね…でも、確かに前のヤツより強そうだわ!」
ウィルオウィスプ「コースケ サクセン…」
ヘルズエンジェル「さあ、行くぜ! 俺とコイツの怒りを止められるかな!!」
光介「待て! その前にヤツが仕掛けてくるっ!!」
>ヘルズエンジェルのヘルエギゾースト!
全体衝撃大ダメージ+デカジャ(魔法によるステータス上昇効果を消去)効果!
光介「ぐっ!」
カハク「きゃあっ!?」
ウィルオウィスプ「ウグッ!!」
>ウィルオウィスプは衝撃弱点!
大ダメージを食らうが、コダマが無効化したのでヘルズエンジェルの行動は終わる。
ウィルオウィスプ「グ クソ…」
光介「大丈夫か、ウィル!」
ウィルオウィスプ「ウォレ マダ ダイジョウブ… デモ レンパツハ チョット ヤバイ」
光介「そうだな…ヘルエギゾーストはコダマが無効化してくれるからまだよかったけど。とにかく、カハクに回復してもらおう」
ウィルオウィスプ「ウォレ ワカッタ。 サクセン ドースル?」
光介「コイツには衝撃は効かないから、コダマは順番回しを頼む」
コダマ「わかったー」
光介「カハクはとりあえずプロミネンスで攻撃して、次にウィルの回復だ。俺たちの行動回数は5回だけど、うまくやってお前まで回す」
カハク「わかったわ」
ウィルオウィスプ「ウォレ キアイ?」
光介「ああ。俺も今回は気合いを込めることを優先する。ヤツはデクンダを使うから、フォッグブレス(命中&回避力2段階ダウン)もすぐに効果を消されてしまうからな」
ウィルオウィスプ「コースケト イッショカ」
光介「ああ、行くぞ!」
>フィフス・バベルたちは戦う!
コダマが順番回しをしたので、カハクの行動となった。
カハク「行くわよっ!」
>カハクのプロミネンス!
火炎大ダメージをヘルズエンジェルに叩きつける!
ヘルズエンジェル「ぬるい! ぬるすぎるぜっ!」
>ヘルズエンジェルは、プロミネンスを無効化した!
フィフス・バベルたちの行動回数が2つ減る!
カハク「うそっ!?」
光介「しまった! コイツ、衝撃だけじゃなくて火炎も無効化できるのか!」
ウィルオウィスプ「ウォレ キアイ コメタゾ!」
>残り行動回数は1。
順番はフィフス・バベル。
光介「くそ…ヤツの耐性を完全に読み誤った! 本当ならここで、俺が気合いを込めてコダマが順番を回して…カハクにウィルを回復してもらうはずだったのに…!」
カハク「どうすんのよ、コースケ!」
光介「仕方ない…ウィルの回復は次のターンだ! 耐えてくれよ!」
ウィルオウィスプ「ウォレ マタ タエキッテヤルゾ!」
光介「よぉし!」
>フィフス・バベルは気合いを込めた。
次回の物理攻撃が2.5倍となり、行動が終了する。
ヘルズエンジェル「俺たちの番だな…さあ、食らいやがれ!」
>魔人の猛攻が開始された!
>4/5話へ続く…
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