この週末、『ゴジラ×コング新たなる帝国』を観賞した。本来ならば『シン・ゴジラ』の時のように封切の26日に観たかったのだが、あいにくその日は5年ぶりに復活した職場の歓送迎会だったので、それも叶わず。公開から二日経った28日に、ようやく観賞が叶ったよ。ちなみに鳴り物入りの作品だけに、ゴールデンウィーク期間ということもあり、混雑を心配したが、実際行ってみると、キャパ200人近いコヤで、観賞客は私を含め40名だった(;^_^A

 

 

 上が3年前の『ゴジ×コン』で、下が『新たなる帝国』のチケット。サブタイトルが入ってないから、どちらも同じ作品に見えちゃうな(;^_^A

 

 さて、これも『シン・ゴジラ』の時と同様(重ねて言うならば、『ゴジラ×コング』で観賞前にうっかり最大の“オチ”であるメカゴジラの登場をYoutube上で知ってしまった反省から)、予告編以外敢えて情報を入れずに観賞した。その観賞直後のストレートな感想は「これって膨大な予算と技術を投入した“東宝チャンピオンまつり”じゃん!」だった。

 

※以後ネタバレ的な表現が若干登場します。ご覧になる時はご注意を!

 

 前作で「地球空洞説」という大法螺っていうか大風呂敷を広げてしまったため、その続編は大いなるフィクションとして描かれなければならない。そうなると「大きな嘘をつくためには小さな嘘は御法度」という映画界の鉄則を守って本作が描かれていたのかっていうと、いろんな場面でいい意味でも悪い意味でも“予定調和”な展開が見受けられた。

 

 なんといっても強烈だったのは、冒頭で「ゴジラは人類の味方」っていう設定が主人公の台詞によって語られる場面だった。今回は珍しく「吹き替え版」で観賞したんだけど(こっちの方がコヤのサイズがデカかったからね(;^_^A)、この台詞を聞いた時には「字幕版にすりゃよかった」って思ったもの。字幕の方がインパクトは低かっただろうからね。まあ、今までもレジェンダリー版のゴジラは、そこはなとなく人類(っていうかアメリカ)に都合のいい行動をとってはいたけれど、飽く迄制御不能の地球の脅威として描かれていたはずだった。それを台詞でいきなり「人類の味方」とはねぇ………。これが実は本作を“東宝チャンピオンまつり”って思った一番の理由だった。もっとも、件のゴジラ君は、この後世界の名所旧跡を巡る怪獣版『兼高かおる世界の旅』を始めるんだけど、その過程で例の「人類の味方」って台詞とは裏腹に、結構都市や施設を破壊するんだけどね(;^_^A  そう言やあ、ゴジラは他の怪獣との戦闘において人口が密集した都市で暴れ回るんだけど、不思議とそこで逃げ回る人間が犠牲者になるような雰囲気は感じられなかった。これは逃げ惑う人間を文字通りリアルになぎ倒す『ゴジラ-1.0』とは対極を成す演出だったように思った。

 

 ゴジラが地上世界で“ゴジラ対クモンガ(エビラ?)”や“ゴジラ対マンダ”を繰り広げるなか、コングはっていうと、地下空洞で実に“バーバリアン”な「自分探しの旅」を続けており、CG技術のおかげだろうが、次々登場する夥しい数の怪獣たちと、まるでアスレチックを楽しんでいるかの如き戦闘に明け暮れている。コングは元のデザインにもなったゴリラらしからぬ肉食で、闘って散った相手はそのままコングの胃袋に流し込まれていく。まあ『食人族』の「劇中亀は殺したけど、その後みんなで美味しく食べました」みたいなものなのだろう(;^_^A

 

 そんな彼は「自分探しの旅」の果てに、ようやく同種と出会えるのだが、彼らからいきなり襲われるというスリリングな展開。そこでいい味を出しているのが、予告編にも登場した“ミニコング”ことスーコの存在。予告編での愛らしさとは裏腹に、一筋縄ではいかない性格が実に美味しいキャラだった。個人的には、本作に登場する数多の怪獣の中で一番のお気に入りだったな。その後コングはスーコを“道案内”に、巨大なる『猿の惑星:新世紀』の様相を呈してくる。

 

 地上でゴジラが『兼高かおる世界の旅』を、地下空洞でコングが『猿の惑星:新世紀』を繰り広げる中、実はもう一つのストーリーが展開していて、これが本作における人間ドラマで、ぶっちゃけ、実はもう一頭(一匹? 一羽?)のメインキャラクターであるモスラ誕生へと繋がっていく。地下世界に於ける“インファント島”的な古代文明や一族が、前作の重要な主人公でもあったジア(カーリー・ホットル 彼女自身も聴覚障碍者であるそうだ)と関連があり、彼女がコングとモスラに深くかかわってくるって設定は、上手く伏線が張ってあったな、って思ったね。ただし、この「誕生秘話」も「世界の旅」も「新世紀」もあまりにも冗長で、既に予告編で登場が紹介されているラスボス・スカーキングとその仲間の怪獣が一向に登場する気配がなく、尺を心配したほどだった。じっくりしっかり描きたい制作サイドの想いがわからないわけでもないが、肝心のクライマックスがややせわしかった印象を受けた。せめてスカーキングはもっと早く登場させないと。

 

 ところで、『新世紀』の果てに、ようやくスカーキングと彼が操る怪獣が登場するんだけど、その怪獣・シーモを見た時に、またもや頭がクラクラしてしまったね(;^_^A  この怪獣、デフォルメはされているが、背中に棘上の突起物が無数にあり、それで四つん這い。これを東宝怪獣に当てはめると、何といってもアンギラスしか思いつかない。しかもこの怪獣、武器は冷凍光線だ。となると……金子修介監督が演出した『ゴジラモスラキングギドラ大怪獣総攻撃』の元ネタ、『ゴジラ×バラン・バラゴン・アンギラス大怪獣総攻撃』において、アンギラスは冷凍怪獣と設定されていた。この設定がまさに今回のシーモそのものである。既に『ランペイジ 巨獣大乱闘』において、「バラノホーダ(バラン)」「アンキロザウルス(アンギラス)」はそれぞれ「ラルフ」「リジー」として復活したって、勝手に思ってきたが(;^_^A、今回は東宝の息のかかった作品だし、どこかそんな“確信犯”的な登場・演出だったのかな、て思っている。そういえば、コングがスーコにそそのかされて、湖でドラウンヴァイパーと戦うシーンは、『キングコングの逆襲』のコングと海ヘビの死闘(チャンピオンまつり版ではザックリカットされてたけど(;^_^A)を再現したように見えたね。

 

 

 

 結末は書けないけど、ラストはジブリアニメのラストのそれのような演出だったし、全体的に「お子様ランチ」のような危なげない展開だったね。ただグロい描写も多々ある辺り、一筋縄ではいかない、いうなれば“ジョイフルの「大人のお子様ランチ」”って言った感じかな。

 

 そして何といっても、『ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ』以上に『三大怪獣地球最大の決戦』だったし、世界観は『ゴジラ電撃大作戦』『オール怪獣大進撃』だったし、シーモが“覚醒”するシーンは『キングギドラ対ゴジラ』のクライマックスだったし、冒頭のローマのシーンは『南海の大決闘』or『ゴジラの息子』だったし(ついでに書くなら“落とし穴”という名の「埋没作戦(byオリジナルの『キングコング対ゴジラ』)」もあった(;^_^A)と、昭和の「東宝チャンピオンまつり」の要素をこれでもか、ってつぎ込んだ作品だったよ。人がバンバン死ぬ、都内で核爆発が起こる、そんな最近の日本のゴジラと良い対となってるんじゃないかな(ちなみに上記のタイトルは全て「東宝チャンピオンまつり」のそれに統一してます(;^_^A)。

 

 この『ゴジラ×コング新たなる帝国』は、これはこれで一応完結しているし、それでいてまた新たな敵が登場したら、このフォーマットのまま更なる続編も製作可能だ。今後のレジェンダリーの動向に注目だ。

 

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