去る1992年2月より原作漫画の連載が始まった『美少女戦士セーラームーン』。その連載時期を考えると、その後のメディアミックス展開を含め、とっぷり「平成」の作品なんだけれど、その基本コンセプトである「美少女がセーラー服風コスチュームに変身して闘う」というのが、「昭和」の影響下にある。そのように思って、今回のブログ記事を書いてみる(;^_^A

 

 

 先日、「昭和」におけるセーラ-服の在り方について記事をしたためた。その中で「『セーラー服戦士』は『男装の麗人』ともいえる。だから強い」なんて書いてしまったけど、要は「闘う女性がセーラー服を身に纏う」という「昭和」のカルチャーがどのように生まれ、どのような変遷を遂げながら、『セーラームーン』:に波及していったかについて、自分なりに考察してみた。

 

 

 「昭和40年代」を席巻した「東映プログラムピクチャー」のカテゴリーで制作された、『恐怖女子高校』シリーズに代表される、俗にいう“ズベ公映画”では、凶悪な不良女子高生が、気崩したり改造を施したセーラー服姿で、「タイマン勝負」や「集団リンチ」を繰り広げていた。もっとも、物語は大抵学園内で展開され、そもそもその女子校の制服がセーラー服なんだから、彼女らがセーラー服を着て暴れ回るのは‟必然”であった。もし舞台の女子校がブレザー制服ならば、きっと邪悪な‟ブレザー集団”が登場したことだろう。

 

 

 翻って、「昭和」の末期にヒロインアクションが百花繚乱の如く狂い咲いた「昭和60年代」には、セーラー服が‟必然”を超えた形で「戦闘服」と化した。「昭和60年代」のヒロインアクションドラマを牽引した『スケバン刑事』。その二代目“麻宮サキ”を襲名した早乙女詩織こと南野陽子を主演にした劇場版『スケバン刑事』で、セーラー服が戦闘服として使用(認知)されるワンシーンがある。それは、麻宮サキ(二代目)をはじめとする‟スケバン刑事”の面々が、敵のアジトである「地獄城」に向かう際のシーンで、ここでは麻宮サキ、ビー玉お京(相楽ハル子)、矢島雪乃(吉沢秋絵)、そして‟三代目麻宮サキ”の風間唯(浅香唯)が劇中の通りセーラー服姿で向かうのは良いとして、兄の安否を慮って彼女らに帯同する、映画版の登場人物・加藤めぐみ(小林亜也子)までもが、セーラー服を着用しているのである。それまではずっとブレザー姿だったのに……つまり、クライマックスの戦いのために、めぐみはセーラー服(どうやって手に入れた?)に着替えたのである。これは映画の製作スタッフが、セーラー服を“女性の戦闘服”(確かめぐみは中学生の設定だったと記憶しているので「女子高生の戦闘服」とは言い切れない)と認識しての演出に他ならない。しかも「地獄城」は当然学園の外だ。

 

 

 また「昭和60年代ヒロインアクションドラマ」の双璧である『セーラー服反逆同盟』では、反逆同盟の3人(中山美穂を入れたら4人)が、戦闘時にはシュールな白いセーラー服を着用して闘う。もともと黒鳥学園の制服は、「スケバン刑事」と同様の赤いスカーフのセーラー服だ。そして白いセーラー服を着用する理由が、ド派手なメイクと同様、自分たちの素性を隠すためであるが、それならば別に「セーラー服」に拘らず、もっと戦いやすい(スカートではない)コスチュームにする方が現実的だ。それを、下手をすれば通常のセーラー服よりも戦いにくそうなヒラヒラした白のセーラー服に固執するには何とも不思議な話だ。やはりそこにも、「スケバン刑事」への追従もしくは対抗心からかもしれないけど、「セーラー服=戦闘服」というスタッフのイメージがあったのだろう。

 

 

 この二つのヒロインアクションドラマで、セーラー服が“必然”を越えて、‟女性が闘う時の戦闘服”に昇華した。まさに海軍の軍服に端を発したセーラー服の‟先祖返り”だ。そんな「昭和60年代」の‟セーラー服ヒロインアクション”があったからこそ、セーラー服を更にSFチックなコスチュームとして美少女に着用(変身)させて、悪と戦う「セーラームーン」なる漫画・アニメ・実写ドラマが誕生したのではなかろうか。そうなると「昭和40年代」では‟必然”として闘う女性が身に纏ったはずのセーラー服が、「昭和60年代」に上記の如く‟必然”を飛び越して女性の戦闘服として確立し、それが「平成」の世に『美少女戦士セーラームーン』に結実していったのだろう。飽く迄憶測だけどね(;^_^A

 

 こんな記事を書いていた折も折、こんなネット記事が飛び起こんできた!

 

 

 この記事を見つけたときには、すでにこの番組の放映は終わっていたし、そもそも愛知のCBCテレビだったんで観賞する術もなかったんだけれど、何ともタイミングのよい企画でびっくりしてしまった(;^_^A  それにしても実写版『美少女戦士セーラームーン』放映からもう20年が経過してしまったのか、って考えると万感の思いである(;^_^A(;^_^A でもスチールを見る限りとっても仲がよさそうで、見ているこっちがホロっとさせられる(;^_^A

 

 「戦士会」の面々には、この関係性をいつまでもいつまでも……保ってほしいものである(^^) なんて言ったって、君たちは栄えある「セーラー戦士」なのだから(^^)