昨年度、人生において初めて“年度内毎月劇場映画観賞”を達成して、年間14本(名画座含む)の映画を劇場で観てきた。まあ、これでも普通の映画ファンからすれば全然足りない観賞数なんだろうけど、それまでは子供のお供以外は数年に一回程度(昨年度より前の劇場観賞は『シン・ゴジラ』まで遡る)だったんで、少なくとも近年の自分にとってはかなりの観賞数だったわけだ(;^_^A

 

 

 さて、今年度も同様に劇場映画をしっかり観賞しようと、最初の4月にチョイスしたのが『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』なる作品。もうタイトルから察しがつくように、『狼よさらば(デスウィッシュ)』というか「マンダムCM」でおなじみの、故チャールズ・ブロンソンの活躍を再現した痛快な劇映画である。この手の、ドラマの主人公ではなく物故した俳優そのものをモチーフにした映画といえば、筆頭に上がるのがブルース・リーの亜流映画。それもジェイソン・スコット・リーが演じた『ドラゴン/ブルース・リー物語』のような正統派の伝記ものもあれば、『クローン人間ブルース・リー 怒りのスリードラゴン』のようないかがわしい“そっくりさん”映画も数多撮られている。で、今回の『野獣処刑人 ザ・ブロンソン』は、上記のジャンルでいえば典型的な“そっくりさん”映画なんだけれど、そのクオリティー(似具合)の高さでいえば、ブルース・ライもブルース・リもドラゴン・リーも裸足で逃げ出すような超激似である。確かに、濃い口髭と人生の悲哀と渋さを表現したかのような深い皺を幾重も湛えた容姿は、比較的真似しやすいのかもしれないが、今回主人公を演じるロバート・ブロンジーの“ブロンソン度”は半端ない。オリジナルと比べてやや目元に違和感を覚えるものの、それ以外はまさにブロンソンそのもの。とりわけ劇中にも登場するが、若干顎を突き出した表情を斜め左から捉えたショットなど、どう見てもチャールズ・ブロンソンにしか見えない。もう見事としか言いようのない激似ぶりだった。

 

 

 

 パンフの表紙(上)の表情は今一似てないが、チラシ裏(下)のブロンジーは、ブロンソン以外の何者でもない!!(゚Д゚;)                      

 

 物語も、ブロンジー演じるKが、治安が乱れ、警察も当てにできなくなってしまった街に巣食う悪党(ダニ)どもを、問答無用に情け容赦なくぶち殺すという、単純明快かつ勧善懲悪な内容で、これまたブロンソンの当たり役『デス・ウィッシュ』シリーズそのもの! チラシにある「悪人どもは全員処刑!」の惹句に恥じないスカッとする物語である。

 

 一応、Kが何故か半身不随の娘と過ごすシングルマザーに毎月大金を送るという、ミステリアスな展開があるものの、全編ストーリーらしいストーリーもなく、ただただKが街のダニを”駆除”していく過程が淡々と描かれている。その中で激しいガンアクションや目を覆うばかりの残酷シーンが挿入されるのだけれど、このKがとにかく予定調和なくらい強く、葛藤もなければ危機らしい危機もなく、彼なりの“任務”を遂行していくのは、ノンストレスなアクションを望む私の好みに合致していてラストまで大変楽しく拝見させてもらった(;^_^A 往年のプログラムピクチャーや東映Vシネマを連想させるようなB級映画に仕上がっていたけど、“スカッと”感は東映プログラムピクチャー以上だったかもしれない(例外として『暴走パニック大激突』『資金源強奪』が挙げられるが……)。

 

 あまりにも物語が主人公にとって予定調和に終わったので、続編の可能性を匂わせるが、下手に続編で主人公Kが追い詰められる展開になるくらいだったら、もう本作で終わった方がいいような気もした。続編が今回と同じく主人公の予定調和な勝利で終わるのならば是非観てみたいけど……(;^_^A

 

 ちなみに、本作を横川シネマ!!で観賞したのは、全国に非常事態宣言・外出自粛要請が出て、多くの施設が休業した18日。こんな日に映画館へ足を運ぶのは、状況的に不謹慎のそしりを受けそうな行為かもしれない。実際広島市近辺の大手シネコンは全て休業になったし。反面、そんな厳しい状況下で独立採算の道を歩んでいる横川シネマ!!のようなミニシアターもある。自己責任において、マスク着用や他の観客と間隔を置いての席確保、出来る限り口呼吸を避け、原則館内で飲食をせず、入場前や退場後に必ず手洗いアルコール消毒を心掛けた上で、少しでもこれらミニシアターに通うのも、「映画を守る」一つの手段ではないかって思った。今回観賞に際し、5枚つづりの回数券の方を購入したので、また万全の備えをした上で、横川シネマ!!に通いたいと思っている。

 

 

※youtubeにロバート・ブロンジーの来日記者会見の模様がUPされていたんだけど、その際司会者がブロンジーに、かの大林宣彦監督演出でブロンソン出演の「マンダム」CMにおける、ブロンソンが顎をさする名シーンを再現してほしいという無茶ぶりをするのだが、ブロンジーは実に素直かつノリノリで「ウ~ン、マンダム」とつぶやいてくれたよ。とってもいい人だ(;^_^A

 

 

こちらの方がブロンソンオリジナルの「ウ~ン、マンダム」(;^_^A