石油ストーブの火災事故を防ごう! | 一般社団法人 日本医療・美容研究協会 (JMB)

 2018~2022年度の5年間における石油ストーブなどの事故は269件あり、調査が終了した事故233件のうち原因別では誤使用・不注意による事故が115件と最も多くなっています。また70歳以上の高齢者が被害者となる事故が131件と、年代が上がると事故件数も増加する傾向があり死亡事故47件のうち当該年代が31件と多数を占めていますビックリマーク

 

 【事故発生状況】

 2018~2022年度に発生した石油ストーブなどの事故269件について発生状況を示します。

 <年度ごとの事故発生件数>

 石油ストーブなどの事故は過去5年間では全体の事故発生件数が横ばいとなっている一方で、人的被害が発生した事故の増加が続いています。

 <月別の事故発生件数>

 11月頃から事故が多く発生しており、利用機会の増加に伴って事故も多く発生しています。

 <事故原因別の事故発生件数>

 石油ストーブなどの事故269件のうち調査の終了した事故233件について、115件が誤使用や不注意により事故が発生しています。

 <年代別の事故発生件数>

 70歳以上の被害者の事故だけで計131件と過半数を超えており、死亡事故も計31件と高齢者の事故が多くなっています。加齢に伴う判断力・身体機能の低下・長期使用での慣れによる油断などが理由として考えられます。

 

 【事故事例】

 ●石油ストーブを使用中、石油ストーブから出火して周辺を焼損し1人が重傷を負った。石油ストーブの空気取入口の下に炭化物の堆積があったほか、置台の表面に焦げつきや変色が確認されたことから、置台に堆積したホコリなどによって空気の流入が阻害され吹き返し現象が発生し、ホコリなどに引火し燃え広がったと考えられる!(神奈川県/50歳代/男性/重傷)

 ●石油ストーブを使用中、建物1棟を全焼・2棟を類焼する火災が発生した。給油口蓋の閉め方が不十分であったため、給油後のカートリッジタンクを石油ストーブ本体へ戻す際に給油口蓋が外れて灯油がこぼれ、こぼれた灯油がストーブ天板から燃焼筒にかかって発火し周囲へ拡大したものと考えられる!(京都府/70歳代/女性/拡大被害)

 ●石油ファンヒーターを使用中、建物を全焼する火災が発生し1名が軽傷を負った。石油ファンヒーターの吹出口とこたつが近接した位置に設置されていたため、こたつ布団が過熱されて出火したものと考えられる。なお、使用者は視力が弱く石油ファンヒーターとこたつ布団の間隔がよく見えていなかった!(宮城県/80歳以上/男性/軽傷)

 

 【使い始めのチェックポイント】

 ①石油ストーブにホコリなどが堆積すると燃焼状態が悪くなったり、炎が逆流して石油ストーブの下からあふれる吹き返し現象が生じてホコリに引火したりするおそれがあります。また石油ファンヒーターの空気取込口にホコリが閉塞することで異常燃焼が生じる事故が発生しています。使用を始める前に掃除を行い、シーズン中も定期的に掃除をして下さい。特に石油ストーブの置台や、燃焼部位の近くなどにホコリが溜まらないようにして下さい。

 

 ②耐震自動消火装置が正しく動作することを確認して下さい。石油ストーブでは芯の動きが悪くなると、耐震自動消火装置が作動しても芯が下がり切らずに消火不良をなるおそれがあります。確認方法は機器本体を揺らしたときに石油ストーブの場合、芯を上げた状態から芯が下がり切ること、石油ファンヒーターでは使用状態から停止することを確認します。確認方法の詳細は取扱説明書を確認して下さい。

 燃焼筒をセットした時や点火操作後には、燃焼筒のつまみを2~3回ほど動かして燃焼筒が正しくセットされているか確認して下さい。燃焼筒が正しくセットされていないと異常燃焼によって炎があふれて火災が発生するおそれや、一酸化炭素が多く排出されてしまうおそれがあります。

 

 ③石油ストーブなどには新しい灯油を給油して下さい。灯油は劣化するため昨シーズンの燃料を持ち越して使用することは異常燃焼や一酸化炭素の排出を促進させるおそれがあります。もし昨シーズンの灯油が残っていた場合は、タンクや機器本体から灯油を抜いて下さい。灯油の処分については、灯油を購入した販売店に相談して下さい。また誤ってガソリンや混合燃料を給油すると、たとえ少量の混入であっても火災に至るおそれがあり大変危険です。灯油とガソリンを類似した容器で保管したために誤ってガソリンが混入していた灯油の給油や、同じ場所で保管していたガソリンを取り違えて給油したことなどによる事故が発生しています。灯油は灯油用ポリタンクなどの専用容器に、ガソリンは消防法に適合した金属製のガソリン携行缶に入れて保管し別の場所で保管する、ラベル表示で区別するなど誤給油を防ぐための対策を徹底して下さい。

 

 ④カートリッジタンクの給油口蓋の閉め方が不十分だったなどで、灯油がこぼれて引火した事例があります。給油後は、給油口蓋がしっかり閉まっていることを必ず確認してから本体にセットして下さい。また給油する際は、必ず先に消火して下さい。灯油が機器本体にこぼれた際は、機器内部に侵入しているおそれがありますので使用を中止し、販売事業者や製造事業者に相談して下さい。

 PSCマークの付いた製品は、閉止音や目視または感触などで給油口蓋が閉まっていることが確認できる機能を有しています。

 

 ⑤石油ストーブなどを使用するときは、壁・周囲の家具・衣類などから指定された距離をとりましょう。カーテン・毛布など燃えやすく動くものにも注意が必要です。石油ストーブなどに可燃物が近接していたり接触していると、放射熱による過熱や高温部への接触によって火災になるおそれがあります。

 

 【高齢者による事故】

 高齢者の事故が特に多く発生しています。カートリッジタンクの給油口蓋を十分に閉じられていなかったものやガソリンの誤給油などが多い背景には、例えば握力が弱く給油口蓋を閉める力が不十分になる・確実に蓋が閉まったことの確認ができない・ガソリンの臭いが分かりづらいなど、加齢に伴う身体機能や認知機能の低下などが関係していると思われます。今まで大丈夫だったからと油断せず、今一度、正しい使い方を確認して下さい。(消費者庁抜粋)