お肌の常在菌 | 一般社団法人 日本医療・美容研究協会 (JMB)

    ◆◇◆◇◆◇◆◇常在菌のバランスは美肌作りに大切?◆◇◆◇◆◇◆◇

 【皮脂膜と常在菌】

 お肌は肌着のような皮脂膜を纏っています。その厚さわずか0.5ミクロン。この薄い膜はお肌から水分が蒸発

しないように膜を作るだけでなく、様々な働きをしています。

  肌に潤いと柔らかさと滑らかさを与えます

  肌の水分が蒸発しないよう肌の乾燥を防ぎます

  肌荒れ原因となる角質層の剥がれ過ぎを防ぎます

  外界からの刺激・異物・殺菌の侵入を防ぎます

 皮脂膜は、皮脂と汗によって作られますが細菌や外部刺激にも強く保湿力の高い「質の良い皮脂膜」になるには肌の常在菌の力が必要です。常在菌は、皮脂や汗を食べ弱酸性の物質と水分を代謝します。この常在菌の営みが質の良い皮脂膜には欠かせないのですyajirusi

 【季節と常在菌】

 日本には四季があるので、化粧品も季節ごとに衣替えをしなくてはいけません。それは肌の常在菌が健やかに育つためにも必要です。春から夏は紫外線対策をプラスする程度です。しかし「気温や湿度」が一気に下がる

冬は肌の血流量も下がり汗も皮脂も分泌量が低下するために、保湿クリームをプラスすれば大丈夫といった

簡単な話しではありませんかお

 中でも冬のお手入れで気になるのが洗顔です。一言で言うと「洗い過ぎ」必要以上の洗顔は肌を育てるターン

オーバーのリズムを狂わせ、肌にとっては嫌がらせであり美肌作りに欠かせない肌の常在菌が好まない環境

を作ることにも繋がります。良かれと思っている日々のお手入れが肌へのハラスメントになっている可能性も

あるのです。清潔であることを気にするあまり、肌を洗い過ぎると肌の表面の必要な皮脂や細胞間皮質まで

落とし過ぎてしまい、病原体やアレルギー物質を侵入しやすい環境を作ってしまうだけでなく常在菌の餌になる

皮脂膜が十分にできなくなるのです。ただでなくても常在菌が減少しやすい冬に肌を洗いまくる・タオルでゴシ

ゴシこする・洗い過ぎは善玉菌を少なくさせトラブルを引き起こしやすい状態にしますかお

 季節を問わず洗い過ぎは肌に大切な皮脂膜形成の妨げになります。皮脂膜がうまくできないと細菌やカビ

に弱くなり肌荒れや吹き出物ができやすくなります。これは質の良い皮脂膜ができず肌がアルカリに偏るため

日和見菌の一種「アクネ桿菌」が悪玉に変身!悪玉アクネ桿菌は遊離脂肪酸を作り出します。遊離脂肪酸は

毛穴の内側の角質を厚くさせ、毛穴の広がりやニキビの引き金になる毛穴詰まりを作ります。毛穴が詰まると

出口をなくした皮脂が毛穴の中でドンドン増えます。同時に空気が苦手なアクネ桿菌は毛穴に集まり、豊富な

皮脂を餌に増殖し炎症が起きて赤ニキビに。更にそれが化膿すると黄ニキビへと進んでしまうのです。これが

乾燥肌のニキビです。乾燥肌のニキビは洗い過ぎが悪化の引き金になるケースが多いのですが、そのことに

知らずニキビを気にし必要以上に洗顔を繰り返し症状が改善しない場合がありますかお

 

 【常在菌バランスを乱す原因は?】

 <乾燥>

 菌は乾燥肌が大変苦手です。皮脂や汗が少ない表皮では増殖することができません。特に善玉菌は皮膚表面にある皮脂を食べて肌を弱酸性にする脂肪酸を作るのですが、皮脂が少ないと脂肪酸も十分に出来ずに肌の表面を弱酸性に保つことができません。そうすると黄色ブドウ球菌等アルカリ性で活発に働く菌が優位になり、肌の炎症をまねき痒みや湿疹を起こしますびっくり

 <運動不足・低体温傾向の人>

 運動不足や低体温気味の方の多くは、汗をかきにくく汗腺の機能が落ちています。このような方が出す汗は

ミネラル分の多い「悪い汗=ねばねば汗」が多くアルカリ性で、悪玉黄色ブドウ球菌が増殖しやすく痒み湿疹を

起こしますびっくり

 <洗い過ぎ>

 クレンジングや洗浄剤を使って洗顔すると、肌はアルカリ性に傾きます。洗浄力を優先に刺激の強いクレンジングは菌だけでなく、若い角質細胞や細胞の隙間にある必要な脂質まで洗い流してしまいます。必要な角質や

脂質まで洗い流された皮膚は極度に乾燥します。乾燥してアルカリ性に傾いた皮膚では、表皮ブドウ球菌や

アクネ菌は増えることができません。皮脂が洗い流されてしまっている上に、菌の数が足りなくて新たに出てきた

皮脂を元に作り出される酸性物質が少ないため、肌はなかなか弱酸性に戻りません。バリア機能も保湿能力

も失われてしまいますびっくり

 【美肌菌を育てるためには】

 <洗い過ぎないこと>

 洗浄力が強いクレンジングは常在菌の棲みにくい環境になります。殺菌効果の高いクレンジングや防腐剤が

添加された化粧品も常在菌を殺してしまいます!

 <水分や油分の補給>

 環境や加齢によって乾燥を招きやすい場合は、皮脂や汗の代わりになる水分や油分を肌に優しい化粧品で

補います。紫外線を浴び過ぎて乾燥した肌もアルカリ性に負けてしまい表皮ブドウ球菌が積みにくくなってしまい

ます。紫外線の影響を受けた日にも水分や油分の補充は大切です!

 <食事と運動>

 偏食は皮脂の分泌を不安定にし、運動不足は質の良い汗をかくことが出来なくなります。皮脂と汗は常在菌の

餌になります。脂質・糖質を摂り過ぎると表皮ブドウ球菌が減少しています!

 <ストレス解消>

 ストレスにより交感神経が高くなると皮脂や汗の分泌状態が乱れます!

 <正しいスキンケア>

 洗い過ぎだけでなく、常在菌が棲みやすい環境が作れる成分の入った化粧品選択も大切です。皮膚呼吸が

できないような厚化粧も表皮ブドウ球菌を棲みづらくしてしまいます。また、パラペン等の強い防腐剤や・アルコール等の殺菌剤・保存料入りの化粧品によって滅菌されてしまうので注意が必要です!

                                            (エステティックジャーナル抜粋)