スパイダーマン
原作 八手三郎 (マーベルコミックス版「スパイダーマン」より)
連載 テレビマガジン/たのしい幼稚園/テレビランド/おともだち/冒険王
脚本 高久 進
音楽 渡辺宙明
主題歌 「駆けろ!スパイダーマン」「誓いのバラード」
作詞 八手三郎
作曲 渡辺宙明
唄 ヒデ夕樹
コロムビアレコード/ファンファニー
出演
スパイダーマン/山城拓也 香山浩介(※藤堂新二)
佐久間ひとみ 三浦リカ
山城新子 大山いづみ
山城拓次 矢葺義晴
風戸佑介
野口貴史
ジャパンアクションクラブ
春田三三夫
古賀弘文
黒木三千一
甲斐道夫
竹下誠治
吉田昌雄
近村敏美
東村茂幸
岡本美登
岩城一男
村上 潤
沢田祥二
技斗 山岡淳二
ナレーター 大平 透
モンスター教授 安藤三男
アマゾネス/吉田冴子
賀川雪絵
プロデューサー 吉川 進
撮影 加藤弘章
照明 戸塚和夫
美術 大瀬賢一
録音 秋本 彰
編集 望月 徹
効果 原田千昭
選曲 村田好次
助監督 田尻丈人
記録 奈良井玲子
車輛操作 高橋政生
進行主任 隈部文康
キャラクターデザイン/
企画者104 久保宗雄
キャラクター制作 / エキスプロダクション
美粧 入江美粧
衣裳 東京衣裳
㈱特撮研究所
撮影 高梨 昇
美術 松原裕志
効果 吉岡健一
照明 日出明義
装置 協和美建
装飾 大晃商会
特殊効果 大平特殊効果
合成 チャンネル16
現像 東映化学
監督 田口勝彦
制作 東映 / ㈱東映エージェンシー
第3話「怪盗001vsくも男」
(脚本 高久 進 / 監督 田口勝彦)
あらすじ
・夜闇に紛れてビルの屋上からラぺリングで降下する黒ずくめの男。
・ビルの外壁にしがみつき、窓ガラスの施錠部分をを吸盤とガラスカッター使って破り、カギを開けた。
・男は室内へ侵入。ヘッド・ランプを点灯させ室内を物色する。
・金庫のダイヤル錠を回し開錠する。
・金庫の中の札束に手を伸ばす。
・室内に照明が点り、待ち伏せていた警察官たちが拳銃を手に、「怪盗001!逮捕する!」と隠れていた物陰から身を乗り出し、黒ずくめの男を包囲する。
・逃げ場を失い、観念した怪盗001は逮捕された。
・逮捕された怪盗001は、パトカーで警視庁へ連行されて行く。
・パトカーが陸橋に近付いた時、強烈な眼光で照らされた。光源は、陸橋の上にいたマシンベムである。
・強烈な光に幻惑され、パトカーは運転していた刑事がハンドル操作を誤り、陸橋の橋脚に激突して止まる。
・車内で気絶している刑事と怪盗001。
・大破したパトカーに走り寄る鉄十字団のニンダー部隊。
・ニンダーに連れ去られる怪盗001。気絶から覚めた刑事のひとりが、炎を上げるパトカーから仲間の刑事たちを救出する。
・郊外の造成地でバイクの走行練習をしている山城拓也。
・拓也の恋人、佐久間ひとみが拓也に怪獣が出たと知らせに来ていた。
・ひとみから事件の詳しい内容を聞き出す拓也。特ダネを狙うひとみだったが、拓也は興味ない素振りを装い、制止する。
・夕闇迫る中、バイクの練習を終えて帰途に就く拓也。その心中は、鉄十字団に対する憤りが溢れていた。
・鉄十字団のアジトでは、拉致してきた怪盗001に催眠術が行われていた。
・マシンベムの目から放たれる怪光線によって催眠状態に陥った怪盗001は、アマゾネスの暗示によって、自分がスパイダーマンであると吹き込まれ、盗みまくれと指令された。
・催眠操作を終えた001を下がらせたアマゾネスは、モンスター教授に作戦の成否を問う。
・モンスター教授は、スパイダーマン誘き出し作戦の成功に確信を抱く。
・怪盗001こと岡部は、催眠暗示の通り、犯行現場にスパイダーマンの名を残し、盗みを重ねる。
(いきなり呼び名が「怪盗001」から「岡部」にすり替わってるが、例によって何の前置きもない)
・事件は、ニュースになって瞬く間に世間に知れ渡った。
・新聞によってニュースを知った拓也は、ひとみを利用し、松本刑事から情報を手に入れようと画策する。
(日本経済新聞でニュースを知るとは、さすが12チャンネル(現・テレ東)。握り潰してるけどね)
・ひとみは、松本刑事とのコンタクトに成功する。そして、その二人を監視するスパイダーマン。
・ビルの前で怪盗001こと偽スパイダーマンを待ち伏せる松本刑事とひとみ、そして、スパイダーマン。
・ビルの屋上に怪盗001の姿が現れる。
・追跡に移る松本刑事とひとみ。そして、スパイダーマン。
・ビル内に侵入したスパイダーマン。一足遅く、金庫は破られ、壁に「スパイダーマン参上」の文字が。
・001を追うスパイダーマン。その行く手に現れたマシンベム。
・スパイダーマンは、マシンベムの目くらましよって001を見失ってしまう。
・翌朝、朝食の席で新聞に目を走らせる拓也。スパイダーマンは「くも男」と呼ばれ、単なる泥棒として認知されていた。
(キャプションと呼ばれる見出しだけ作って、本文記事は無関係なニュースを切り張りしたフェイク(偽物)新聞が数秒、映し出されるのだが、記事本文は、日中条約の交渉再開だの、火事で国鉄ダイヤが狂っただのと無造作な物。ビデオもワープロも一般に普及する以前のテレビ番組である。野暮は言いっこなしだぜ)
・食事時に絡む亡き父のエピソードを披露する新子と拓次。特ダネを逃して落ち込んでいるひとみがやってくる。ひとみを励ます拓也。
(山城家の母親の存在があったことを匂わす件が登場する貴重なシーン。山城家に入り浸って、平気で飯を食っていく、ひとみの神経が知れない)
・自室のベッドに横たわる拓也。スパイダーマンにかけられた汚名を雪(すす)がねばならないと決意し、地図を引っ張り出して張り込みの目途を思案する。
(食後にベッドで一休みとは優雅なものである。拓也はバイク・レースで賞金を稼ぐ以外は、たまにやるバイトくらいで、基本、無職である。スパイダー・プロテクターを着込んでスパイダーマンの姿にならなくても、スパイダー・パワーは使えるのだから、それを利用して手っ取り早く稼げばいいものを。スパイダー感覚には予知能力もあるのだから、株やギャンブルで一儲けとか・・・)
(Aパート、ここまで)
・拓也は、偽スパイダーマンを追い求め、夜の街を徘徊していた。
・路地で岡部とすれ違い、その身のこなしから偽スパイダーマンでは、と疑いを持つ拓也。
・盗みに入るターゲットを物色する岡部。拓也は確信を掴み、スパイダーマンの姿になって岡部を尾行する。
・これから盗みに入ろうとする岡部を取り押さえるスパイダーマン。
・飛んでくるニンダーの剣を躱すスパイダーマン。
・アマゾネスの指揮のもと、スパイダーマンを包囲するニンダー部隊。
・まんまとスパイダーマンを誘き出したアマゾネスは、ほくそ笑む。
・ニンダーとマシンベムの攻撃に劣勢を強いられるスパイダーマン。
・アマゾネスは用済みになった岡部を始末しようとする。
・催眠が解けた岡部は助けを乞う。そして、ビルの屋上から転落する。
・スパイダーマンが放ったスパイダー・ネットで転落死を免れた岡部。
・GP7を呼ぶスパイダーマン。
・秘密基地のガレージから発進するGP7。
(例によって何の説明もないので、勝手に秘密基地と表したが、郊外にあるコンクリート造りの建物)
・気を失った岡部をGP7に乗せ、離脱。
・早朝の街路を疾駆するGP7。
・人気のない遊園地で、岡部に鉄十字団の恐ろしさを説き、アジトの場所を聞き出そうとするスパイダーマン。
・アジトの場所を知らない岡部に、泥棒は悪だと諭すスパイダーマン。どんな理由であれ。
(サーカスに憧れ、サーカスを作る資金にと盗みを重ねていた岡部。全くもって、ちんけな野郎である)
・悔悟の涙を流す岡部。スパイダーマンは、岡部に罪の償いと改心を促す。
・迫りくる鉄十字団のニンダー部隊。
・遊園地のアトラクションを舞台にした戦いが始まる。
・警察の到着を待つ岡部。絶体絶命の寸前、鳴り響くパトカーのサイレン。岡部に迫っていたニンダーたちは姿を消す。
・命拾いした岡部はパトカーに駆け寄り、逮捕してくれと懇願する。呆れ顔の松本刑事。
・スパイダーマンの戦いは郊外へと移っていた。
・怪光線で向かってくるマシンベムに、スパイダーマンは嘲る。明るい陽光の下では怪光線は意味をなさないからだ。
・得意技が通用しないと知って、体当たりで攻めてくるマシンベムだが、やはり決め手に欠ける。
・マシンベム・幻妖虫は、巨大化してスパイダーマンを攻める。
(各話に登場するマシンベムの名称が判明するのは、大抵、巨大化して自ら名乗る時である。ネットどころか、ビデオも無い時代である。聞き取れなかった敵のネーミングは、永遠に謎である。)
・マーベラーを呼ぶスパイダーマン。地上に待機していたマーベラーが飛び立つ。
・GP7のミサイルで巨大マシンベム・幻妖虫を牽制しながらマーベラーの到着を待つ。
・マーベラーにドッキングし、レオパルドンに変形。
・巨大マシンベム・幻妖虫との戦い。
(レオパルドンに肉弾戦を挑む巨大マシンベム。しかし、というか、やっぱりレオパルドンは、格闘戦が出来ないのであった)
・レオパルドンの必殺技の連続攻撃に倒れるマシンベム。
・戦いを終えたスパイダーマンは、GP7で都会を疾走する。
(Bパート終了)
感想文
田口班による第3話。当たり前のことではあるが、監督が変わると絵ヅラが変わるし、脚本の解釈も変わる。今回は登場人物の表情の捉え方が変わっていて、キャラが立っている。
全体にユーモラスな雰囲気が漂ってるが、動きのない間延びした映像が短く少なく、常に画面の中は何かしらが動いている。メリハリの効いた編集と相まって躍動感に満ちている。又、役者の演技でも特に目元は、視線をハッキリさせてる分、画面に広がりと立体感が出るのだ。
どこを見てるのか、誰を相手にしているのかスッキリしないような表情では、どんな立派なセリフだろうと実感が湧かない。
例えば、Bパートの遊園地の件では、スパイダーマンが怪盗001に向かって説教するが、「ロクな稼ぎも無い野郎(拓也)が偉そうに」と観てる側を白けさてしまってはいかんのである。スパイダーマンのマスクは目が見えないのだが、その下にあるであろう主人公・拓也の目のイメージが虚ろではならない。物事を真っ直ぐに見つめる目が必要なのだ。
無い物を見せるのが芝居。見えない物を見せるのが演技の神髄である。
(拓也役の香山(藤堂)さん本人がスーツに入ってるか否かの見極めは、身長と鼻の高さ、鼻先から顎先までの長さで判別できる。バンクであるマーベラー(レオパルドン)のコックピット・シーンは、本人が演じてたそうな)
さて、第1話、第2話の竹本監督の演出は、凝ったカメラ・アングルや実験的な映像、特に疾走感を得意とする監督だけに、ドラマ部分では演技は役者任せになりがちであった。一方、第3話の田口監督はストーリーの整合性より、テンションの高い演技やカット・チェンジの小気味良いテンポの良さが持ち味である。
まあ、製作サイドから言わせてもらえば、持ち味の違う監督を2個1に出来ればいいのだが、1話完結のストーリーで2本撮りを強いる体制にも問題がある。
監督の役割は、作品の全体像を確立して、キャストやスタッフにそれを伝えること。すなわち舵取り役である。これは製作サイドにおいての話。一方で経営サイドの場では、監督は製作サイドの代表として孤独な戦いを強いられるのである。
(そうは言っても、実際には、現場を仕切る監督より、プロデューサーの方が立場も権限も上なのであるが・・・)
例え話ではあるが、
営業側は「俺たちが苦労して売り込みなんかしなくても、客の方から欲しがるものを低予算で作れ」と言い、製作側は「もっと予算と時間をくれ」と言う。
両者から板挟みになってる俺は思うのだ。
「交渉だ、接待だ」と経費を会社持ちでタダ酒・タダ飯食う営業を止めればその分を製作に回せるし、「いい道具や機材があれば、もっといい仕事ができる」と抜かす前にテメエの腕を磨け、知恵を絞れ! と現場には言いたい。
今やってる仕事と関係のないヨタ話で、いつまでも事務所に居残りたがるスタッフを定時で追い出し、与えられた予算の中で足を出さないように電卓叩いて、取引先と値引き交渉を繰り返す。予算オーバーしたら自分の取り分を減らしてでも補填しつつ、自分だって飯食ってかなきゃならんので内職仕事で糊口をしのいでたら本業がちっとも捗らないので、睡眠時間を削って間に合わせる。
抱えてるスタッフの人数分の仕事の前段取りを体一つでこなしても、誰一人として感謝もしてくれない。
スタッフの前で下手に愚痴をこぼそうものなら、それをやるのがアンタの仕事でしょう、と冷たく返される。
営業だって、用もないのに進捗状況を一々報告しろというが、余程のトラブルでも起きなきゃあ報告することなんて何もないよ。そんなに納期が心配なら、現場へ来て、自分の目で確かめやがれ。
(但し、口は出すな。)
最近、独り言が増えたと思う。寝不足のせいか頭が冴えない。暑くもないのに体が火照って汗をかく。イライラして、じっとしてられない。洗面所に立って、歯を磨いていると歯茎から血が出る。鏡を見ると白髪が目につく。髪の生え際が薄い。今やってる仕事が片付いたら、しばらく休みを取ろう。さあ、今日も仕事に行かなくちゃ。玄関に向かう。下腹に鈍痛が走る。トイレに駆け込む。息んでみたが出ない。それでも多少、痛みは薄れた。ズボンのベルトは緩めにしとこう。
さて、玄関だ。靴を履く気になれない。サンダルで良いや。いつもの通勤の道、サンダルが擦れて足が痛い。普通に歩けない。駅が遠い、会社は果てしなく遠い。こりゃあ、今日は遅刻だな。電話しなきゃ。いけね、ケータイを家に忘れてきた。家に戻って電話しよう。取り敢えず、今日の分の段取りは出来てるから、助監督に指示して、場みりだけでも、やっといてもらおう。どうにか家に戻ると、とにかく足が痛い。今日は出社は無理かもな・・・
こうして大抵の(現場)監督は、製作の最前線を退いていく。10年、20年あるいはもっと、長年現役で監督を続けていられる人間は、正常な感覚の何かが絶対、確実に、激しく、著しく・・・何とも形容し難いが、とにかく何かが抜け落ちてるに決まってる。名ばかりの監督(製作会社の社員)は、死ぬまで仕事の邪魔しに事務所に詰めてるが・・・
残念ながら『天は二物を与えず』である。監督なんて仕事を生涯の生業にできる人間は、人間としての大事な何かが生まれつき備わっていないのだ。
そんな、こんなの視点でプログラム・ピクチャー(テレビ番組)を観るようになったら、御終いである。
次回は、いきなり最終回の紹介と解説である。理由は聞かないでくれ。