2011年
40年以上前の作品で今もなお語り継がれる衝撃的なエンディングが有名な『猿の惑星』で
なぜ人間と猿の立場が逆転することになったのか?
そのきっかけを描いた前日譚
『猿の惑星 創世記』が公開されました
これがメチャクチャ面白かった!
過去作のオマージュを随所に散りばめた作りは何度見ても新たな発見があるし
類人猿シーザーの成長の描き方は本当に見事でした
唯一欠点を挙げるとすれば、
人類が縮小されるウィルスのきっかけの描き方が多少いい加減なところですが
そんなことを差し引いても映画としてよくできた秀作だと思います
そしてこの秋、その続編となる
『猿の惑星 新世紀』が公開されました
監督が前作から代わったり、脚本にマーク・ボンバックが加わったと聞いてだいぶと不安はありましたが
いやいや全然楽しめました
というか終始ズッシリ重たい内容に息がつまりました
前作のようなワクワク感はほぼ皆無
いつ爆発するかわからないギリギリの緊張感の連続に神経をすり減らしまくりの2時間でした
今回は前作に比べ過去作へのオマージュは少なく
代わりに時勢や世界情勢へのメタファーが色濃く描かれていました
そもそも最初の猿の惑星は原作者のピエール・ブールが第二次大戦中に捕虜となった経験を元にした立場逆転や、執筆当時の実社会を風刺化したもので
その後作られた続編も
ベトナム反戦運動や公民権運動など時勢に合わせた作風なのは有名なお話
それらを踏襲して作られた今作は
人種問題やなぜ戦争が起こるのか?
人間が何千年もの間繰り返してきた無益をメタファーとしています
これは誰もが言ってることだとは思いますが
日本人と朝鮮、中国人
黒人と白人
ユダヤ人と欧州人
パレスチナとイスラエル
アメリカとイスラム国
スコットランド独立投票
などの世界的な問題から
ママ友問題まで
争い、対立、差別、偏見、同調圧力、いじめ
そんな世界中だけでなく身近でも起こりえる問題の発端となる話を非常に分かりやすく描いています
初めこそ人類vs類人猿視点で物語は進んでいきますが、気づけば同種族のハト派とタカ派の争いが起こり
ラストは『最後の猿の惑星』でも描かれた,"猿は猿を殺さない"へと繋がっていきます...
それは観ているこちら側が初めは人間への嫌悪感だったのが
気づけば同種族への嫌悪感へと変わっていく視点の転換は本当に見応えがあります
しかし、今作を何より重厚で緊迫感あるお話にしているのは
シーザーを演じたアンディ・サーキスの芝居に尽きると思います
彼はロード・オブ,・ザ・リングでのゴラムやキングコングなどを演じたり、今年公開されたゴジラの動きのアドバイザーを勤めるなど、当代きってのモーションアクターなのです
人ではないが人の心を宿したモノの喜び、怒り、哀しみ、そんな微妙な感情を絶妙に表現できる役者は彼をおいて他にはいません
アンディ・サーキスの表現力と目力
それだけでもこの映画を観る価値はあります
実写映画でモーションアクターが7桁(何億円?)のギャラを貰い
クレジットの最初に名前がくるなんて
まさにハリウッドドリームですよね
(メイキング映像もオススメです)
2016年に続編が公開されることが決定しています
ここからどのように立場逆転へと繋げていくのか非常に楽しみです
過去作を踏襲するなら時空を飛んだりするのもアリだとは思うんですが、さてどうなるんでしょうかね?
余談
前作を創世記と題したから仕方ないとは思うんやけど、新世紀なんかより原題通り『夜明け』でよかったんじゃないかなぁと思いました
さらに余談
猿の惑星が代表格となる
【映画のネタバレ問題】
そんな題材できっちりと語り合える場所や仲間が欲しいなぁなんて思う今日頃です
このDVDパッケージは絶対に問題アリやんね(笑)