私のさくらももこ先生に関する思い出は、小学5年の夏休み開けの事である。

学校で微妙にイジメられていた私は、夏休み中は塾に行く以外は近所の学外の幼馴染みと遊んでいた。私立なので同級生はごく一部を除いてみんな家が遠かったので当然である。

そこで流行っていたのが、「ちびまるこちゃん/さくらももこ」に頻出する汗の描写を指で表して「タラ~」という効果音を付けるというものであった。

私は学校では全く真面目キャラで通していた(勉強はずば抜けて出来たが、それを演じきれたかどうかは不明)のだが、夏休み開けの教室で思わず「タラ~」とやってしまったのである。

それによりさらにモテるようになって微妙なイジメがエスカレートしていったのだが、今思えばソコが受験戦争に係るイジメのターニングポイントだったように思う。それ以降スクールカースト(クラス内身分制)が定着していったからだ。

私は最下層と最上位を同時に体現する存在として虐げられつつ君臨していたのだが、下層に押し込められた学力の低い非モテ男子に加えられた構造的暴力も、学力の比較的高いモテ男子に加えられた構造的暴力も、結局全部私の責任であったと言わざるを得ない。

受験戦争においてはクラス男子の中では私の一人勝ちであり、勝者総取りの猟官制で受験終了後に凡そクラスの女子のハートを奪ったのは言うまでもない。

結局卒業したら疎遠にならざるを得ずその恋は形にならなかったが、「モテ過ぎてイジメられるならいっそ全女子をオとして繋がろう」という私の先の大戦での覚悟はその辺りから生まれたと言える。

つまり、さくらももこ先生は小学校時代に受験&恋愛戦争の始まりを告げた思い出の漫画家なのだ。