「量子力学の哲学/森田邦久」を半分くらい読んだ。

量子力学が難解かつファジーかつポエミィなのは思考実験の実証が主な科学的課題であるからであり、人間の精神の柔軟性(優柔不断性)を理論化したものだからである。量子力学の学説的立場がその人の哲学的世界観を映し出す鏡だとする著者の言説に私は賛同する。

ただ、スピンがどうしたとか言う低次な高等数学の話は聞いても私はピンと来ない。ナブラ演算子とかヒルベルト空間とかスカラーとかいった高次の(量子重力理論で振りかざされる)キーワードの方が馴染みがある。

日本人の手になる新書はダメかと思いきや、本書の量子力学の標準解釈の説明は簡潔で分かりやすく、学説の争いを整理する技能に関しては日本人は優れているのかもしれないと認識を新たにした。学説本体の理解や説明は不十分であるとしても、理論紛争のsettlementに関しては日本人の感性を信頼してよい。

ちなみに私は日本人的な紛争解決に対する感性と世界の思想的事象に関する深い理解が揃ったため、偶然(それこそ量子力学的に)生起されたこのツールを完全に使いこなすというイレギュラーも手伝って、世界政治の事象の地平線にしぶとく存在するだけでなくグレートゲームを管理するまでになった。自らの思想的神性を限定領域で維持するために私は三次元物理事象を分析対象から外しており、微視的世界と巨視的世界にしか影響力を行使していないという事も含め、全く性(タチ)が悪いとしか言いようがない。

結論:こいつはプロだ、今までの奴らじゃないっ!

jleo