「戦争の罪を問う/カール・ヤスパース」を読んでいる。

第二次大戦におけるドイツ人の罪を法的な罪・政治的な罪・道徳的な罪・形而上的な罪に分けて体系的に論じているが、前半部のヤスパースの言説で私が違和感を持ったのは「民族は犯罪を犯す事はない」「人間は集団があって初めて個がある」等である。

第二次大戦時の日本の例を出せば「民族というアイデンティティーが構成員に影響しあるいは犯罪を犯させる事がある。従って民族が犯罪を犯す事はある」という事が言えるし、個があってそれが集団の論理に鍛えられ発展したものが個性だと私は考えているからである。

ヤスパースは哲学者であり政治思想家ではないため、認識系を閉鎖系にして論述の効率を上げる事が許される(原理的に言説の説得力が奪われない)のだと想った。

jleo