「民族と国家/松本健一」を読了した。

筆者は、生物学的遺伝子「DNA」と文化的遺伝子「meme」・ネイションとエスニシティ・パトリオティズムとナショナリズム等の違いに留意しながら、「歴史の終わり/フランシス・フクヤマ」や「想像の共同体/ベネディクト・アンダーソン」の核心的言説を批判する。

日本人特有のカタカナ語盲信と半ば意味不明なレッテル張り・それを元にしたミスリードが散見されたが、全体としては「日本論プラス世界史の常識」といった内容であった。

松本健一氏と言えば北一輝論や大川周明論が有名であり、個人の視点からの日本史の時代描写に定評がある。

本書は、文庫のために無理して世界史を論じた悪書と断じる事もできるが、ここはじっとこらえて氏の他の新書を読み進めてみたい。

次は「暴力論/ジョルジュ・ソレル」「精神の危機/ポール・ヴァレリー」である。

jleo