「世界史の中から考える/高坂正堯」を読了した。

世界標準ではそれほど広範とは言えないが日本標準では深淵と言える筆者の読書遍歴から「バブルの教訓」や「第二次大戦の教訓」を引き出し、90年代初頭の世界情勢や日本政情を論じたエッセイである。

アマゾンユーズドで1円で売っていたのが信じられないのだが、現代政治の分析としては弱いものの歴史的なエッセイとしては十分検討に値する。

「日本政局は大原則が見出しにくいが、世界政治ではその大原則こそがモノを言う」「ナショナリズムの欠点と美徳は表裏一体」「上手くいっている国には偉大な人物が生じにくい」といった言が印象的であった。

読後感としては「読書の幅は広げた方がいいが広げ過ぎも問題」という事で、父から借りた「沈黙するソスュール/前田某」に取りかかるのをためらっている次第。

jleo