イタリア沖で豪華客船が座礁し死者が出ているらしい。

当法廷は、話題になっている「艦長の最後退艦義務」に関して、戦時の軍艦のように沈められる事が想定されている船舶に関してはラディカルに適用されるべきだが、平時の旅客船の場合に原則的に適用するのは間違いと考える。

平時の旅客船の沈没危険性を常に考慮している事は、船長の負い得る法的責任を越えている。

(参考までに日本国船員法第11条は「やむを得ない場合を除いて~自己の指揮する船舶を去ってはならない」と定めており、文言からして旅客船舶において沈没時にまで船長の最後退艦義務を課しているとは言い難いと解する。)

ただし旅客船の場合は事故による死者人数分の業務上過失致死が成立し、最後退艦しなかった軍艦の艦長よりも量刑が重くなる公算が高いと解する。

船長たるもの旅客船舶の事故の危険性については常に想定していなければならないのである。

当該事案においては、現時点で16人の死者が出ており、日本国刑法211条の規定とアメリカ刑法の量刑計算法を援用すれば、80年以下の懲役若しくは禁固又は1600万円以下の罰金が相当と考える(当法廷は量刑に関してはイタリア刑法の準用を支持する)。

jleo

また本判決はイラン沖で起きた沈没事故にも適用できる。

ただ、イラン沖の場合は準戦時の状況にあるホルムズ海峡での事故であり、船長に関しては状況認識不足も含め軍艦の艦長並みの責任が求められると解する。

従ってイラン軍艦法の規定に従うべきであると考える。