私見

日本国憲法第九条 戦争放棄

 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としてはこれを永久に放棄する。

 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 本条項を現在のような状況において活用するような場合、例えば以下のようになる。前述したように、現在の日本国には本条項をこの解釈で活用する資格・能力はないとするのが妥当であろう。経済活動に特化するにもしかるべき程度というものがあろう。それを判断するのは日本国ではなく国際社会だが。

 本解釈の当面の目的は、絶対的平和主義を相対化することで国際世界において平和主義を実現することである。

 同時に、第二次世界大戦のような総力戦を回避することで日本とそこに住む人の安全を確保するためのものでもある。

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日本国はアメリカ合衆国に対して宣戦を布告する。

その根拠及び理由は以下の通り。(関連する法規)

1 日本国及びアメリカ合衆国の国内外の認識を共有する、すなわち国

内紛争の解決(日本国憲法)

2 日米安全保障条約全般についての積極的な擁護(安全保障条約・周

辺事態法・日米ガイドライン)

3 国際連合御及び国連憲章特に前文についての積極的な擁護(国連憲

章・日本国憲法)

それと同時に、日本国自衛隊の指揮権を国際連合安全保障理事会に委譲する。

自衛隊の指揮権の国際連合安全保障理事会への委譲の完了を以って、日本国はアメリカ合衆国に降伏する。

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補足1:

 1に関して、本戦争は「国際紛争を解決する手段としての戦争」ではないが、「国際紛争」であることは疑いようもない。国内紛争解決という目的が達せられたと日米両首脳の認識が共有されたことを以って、本戦争は事実上終結したものとみなす。国民の半数以上がそう認識したことが明らかになったにも関わらずどちらか一方の政府あるいは両方の政府が戦争の継続を望んだ場合、その政府はその実質的正当性を失いその国民によって打倒されることも想定される。

補足2:

 日本国憲法第九条英文では「解決」にあたる言葉として「settle」が用いられている。「settle international disputes」で「国際紛争を解決する」となるのだが、「settle」という動詞は「解決」という意味よりも紛争を紛争として同定するという「定式化(ひいては安定化)」の意味で用いられることが多い。

 この点に留意すれば、本条項は形式的な戦争そのものの放棄をその目的としていたといえる。例えば「常に何らかの形で国際紛争は展開されている」とする世界観においては、それを安定化・定式化するための戦争をも本条項は放棄していることになるのである。

 言うまでもなく、本項で私が述べている解釈は結果的に国際紛争を安定化・定式化させることをも目的としている。だがそれはあくまで国際紛争解決のための情勢の安定化あるいは定式化をねらったものであり、国際紛争そのものの解決をねらったものではない。管見で恐縮だが、その意味で私の解釈は真に日本国憲法第九条を解釈するものとはいえないだろうか。「日本語の日本国憲法」を作ったのはGHQではなく、あくまで日本国民(当時は日本臣民だが)だからである。

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それ以後の日米間の戦闘行為は実質的にはゲリラ行為として扱われる(それでも、法的には国家同士の交戦行為であり、例えば捕虜の扱いは国際法に準拠する:実質的にはゲリラ行為であるから、九条の文言上形式的要件としては許容されないものの実質的要件としては許容していると解する)。

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補足3:

 2に関して、本解釈は安全保障条約前文「両国の間に伝統的に存在する平和及び有効の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護」「両国の間の一層緊密な経済的協力を推進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長」「国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再認識」「両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認」「両国が極東における国際の平和及び安全の維持に関心を有することを考慮」することを積極的に実現しようとする施策である。

 また、「周辺事態に際してわが国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」第一条にいう「そのまま放置すればわが国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等わが国周辺の地域におけるわが国の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対応してわが国が実施する措置、その実施の手続きその他の必要な事項を定め、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の効果的な運用に寄与し、わが国の平和及び安全の確保に資することを目的とする」ことに資する。

 また「日米防衛協力のための指針」前文にある「日米同盟関係は、この地域における米国の肯定的な関与を促進するものである。この同盟関係は、自由、民主主義及び人権の尊重等の共通の価値観を反映するとともに、より安定した国際的な安全保障環境の構築のための努力を初めとする広範の協力の政治的な基礎となっている」「冷戦の終結にも関わず、アジア太平洋地域には潜在的な不安定性と不確実性が依然として存在しており、この地域における平和と安定の維持は、日本の安全のために一層重要になっている」等を確認し、それらを現実のものとする施策であるといえる。

補足4:

 3は、国際連合前文にある「基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し」「正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することが出来る条件を確立し」「一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること並びに、このために、慣用を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し」「国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外には武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し」「すべての人民の経済的及び社会的発達を促進するために国際機構を用いること」「これらの目的を達成するために、われらの努力を結集すること」を確認し助長・促進するものである。

 他の国際連合憲章の文言について、それを積極的に実現する施策でもある。