「ファイヤーエムブレム 聖戦の系譜」のスピンオフ作品に、「ファイヤーエムブレム トラキア776」というゲームがある。


「聖戦の系譜」後篇、セリス軍の主要メンバーであるレンスター公子・リーフ(レンスター公子・キュアンとシグルドの妹・エスリンの子)を主人公にしてセリス軍との合流・トラキア解放までを描いた作品であり、シリーズ中で最も自由度が高く従って難易度も最高と言われる作品である(現在入手困難)。


「聖戦の系譜」のスピンオフ作品なので、ストーリーが明らかに勧善懲悪ではない事に加えスキルシステムも充実しており、従来のシリーズ同様(シリーズ中「聖戦の系譜」だけはそれができない)戦闘中アイテムの受け渡しができたり、敵を捕えたり敵から盗んだりする事で敵のアイテムが使い放題だったり、「かつぐ」システムの採用によって戦略の幅が広がったりと、要するにファイヤーエムブレム史上最も現実に機能し得る作品である(ストーリー的に、神器は天槍グングニル・地槍ゲイボルグ・雷神トールハンマー・神風フォルセティしか出てこない)。


ちなみに、チートによってリーフに全部のスキルをつけてレベルを1で固定し再行動・指揮・移動力を最大にしたりすると、戦場を縦横に駆け抜ける最強の戦士にして最高の指揮官であるリーフ王子の出来上がりである(通常移動で壁も突き抜けるほどである)。


さらに、特殊武器(スキル付加)や聖戦士の書(成長率アップ)をチートによってリーフのアイテムとして大量生産(?)して全軍に行き渡らせれば、落ち着いて戦略を練ったりキャラを心行くまで育成したりできる。


とはいえ、そもそもチートはチートなしでクリアしてこそ楽しむことができるのであり、「トラキア776」をチートなしでクリアするためにはかなりの実力(FE力)が要求される。


参考までにチートなしの場合、専用の斧(必殺率高・間接攻撃可能)を持ち優秀な成長率を示すオーシン(初期スキルは反撃が必殺攻撃になる「怒り」)に、突撃(戦闘継続)・連続(連続攻撃)・待ち伏せ(必ず先手を取る)を付けた状態がどうやっても戦略的には最強である。


ちなみに戦術的には、「聖戦の系譜」の発端となった反乱を起こしたイザーク辺境リボー族長の息子・ガルザスの娘であるマリータに、専用武器(二回攻撃)を持たせ太陽剣スキルを覚えさせた状態が最強にならざるを得ない。流星剣(五回攻撃)+月光剣(相手守備力無視)+太陽剣(与えたダメージ分自分のHPを回復)+必殺(攻撃力2倍)で、HPを回復させつつどんな敵ユニットも粉砕である。


とはいえ、最後のボスが使う「ロプトの剣」には、「聖戦の系譜」の暗黒竜ロプトゥスと同じく相手の攻撃力を半減させる効果があるため、どの道最後のボスにはリーフに「ブラギの剣(ロプト無効)」を持たせて当たる必要が出てくる(上記のオーシン・マリータをぶつけると、あっけなく倒してしまったりするが)。


ゲームシステム・ストーリー共に完成された、スーパーファミコン最後のソフトに相応しい作品である。