つまり「聖戦の系譜」は、各聖戦士家系のお家騒動が結びついて世界的にリンクした戦乱だったと言えます。


貴族主義の最大の欠点は、お家騒動が国家規模の混乱を招くことですね。いわゆる「バトルロワイヤル」というのは元々はそういう意味です。

「代替わりの度に大規模な国家的改革がなされる」と考えれば、政治システムとして優秀だと言うこともできますけど。



貴族の人格というのは隔世遺伝(親の人格を孫や傍系が受け継ぐ)だと思ってます。親が貴族的人格者として成功していると、子供の性格は大抵ねじれるものです。


「聖戦の系譜」もまさにそういうストーリーで、平民の間で揉まれた傍系の方が能力が高いのもお約束です。さすがに神器には対抗できませんが、神器を使う貴族には神器を使う貴族をぶつけてやればいいわけで、戦争の要諦である戦術・戦略において活躍するのは神器を扱えない能力の高い貴族傍系です。神器は一つしかありませんし直系の直系にしか扱えないので多用できません。


ちなみに、「聖戦の系譜」前篇に出てくる人は基本的にみんなひねくれてますが(むしろグランベル次代皇帝になるアルヴィスが一番純粋です)、一番ひねくれているのは、ひねくれ者の集まりであるシグルド軍を率いていたシグルド(クドイようですが前篇の主人公です)本人だと思います。


また、みんながひねくれていたそもそもの原因は、アズムール王(グランベル皇帝・クルト王子の父)までのグランベルの治世が盤石過ぎたからだと思います。


その点、後篇の主人公・公子セリス(シグルドの子です)のセリス軍の面々がそれほどひねくれていないのは、シグルド軍の面々がひねくれていたおかげではないか、とすら思えます。