獅子王エルトシャンとシアルフィ公子シグルドの激突についての考察。


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「ファイヤーエムブレム・聖戦の系譜」において、獅子王・エルトシャンが親友である主人公と激突した原因を説明します。


エルトシャンは黒騎士へズルの血を引く「魔剣・ミストルティン」を操る騎士で、拉致された女性を救うために隣国に攻め込んだ親友(主人公)に対して、本国の命令に従い祖国の名誉を賭けて正面から激突して討ち死にする、悲劇の王です(ちなみに主人公とエルトの国は、それぞれ女性を拉致した国の隣国です)。


れは、聖騎士バルドの血を引くシアルフィ公子シグルド(主人公)がユングヴィ公女エーディンを拉致した隣国ヴェルダンを攻め落とした余勢を駆って、「ノディオン公女ラケシス(エルトの異母兄妹。エルトシャンはアグストリア諸国連合・ノディオン公です)をアグストリア諸侯から護る」という事を口実にしてアグストリア諸侯連合の領地に侵入し、アグストリア全土を蹂躙した挙句長期に渡って駐留したからなのです。



エルトシャンはアグストリア諸侯連合によるグランベル侵攻に諸侯でただ一人反対していたため(ノディオンは、アグストリアではグランベルに最も近いところにあります)、アグストリア諸侯がラケシスを狙っていたというのはあながち間違いではありませんが、諸侯の政治対象としてというより諸侯の息子の恋愛対象として狙われていたようです。

グランベルは、神剣バルムンクを駆る剣聖オードの血を引くイザーク王国で起きたいざこざに対して、聖剣ティルフィングを持つシアルフィ公バイロン(シグルドの父です)率いる討伐軍を派兵しており、アグストリア諸侯がそのすきを狙ってグランベルに侵攻するのをエルトシャンが魔剣ミストルティンで阻止していたわけです。



そのタイミングで、ヴェルダン王国王子・ガンドルフがシアルフィ(グランベル領内で最もノディオンに近い)に侵攻し、ユングヴィ(グランべル領内で最もヴェルダンに近い)公女エーディンを拉致したというわけです。



シグルドがエーディンを取り戻すまで、エルトシャンはアグストリアとグランベルの国境を守って、グランベルに侵攻しようとするアグストリア諸侯連合軍を食い止めています。



ちなみにシグルド軍は、聖戦士ファラの血を引くアルヴィス侯爵(のちのグランベル皇帝)の策略により、帝都グランベルで壊滅しています。

民から慕われていたアグストリアの治世は獅子王・エルトシャンの戦死によって一気に崩れてしまい、彼の息子は王族でありながら流浪の傭兵になります。

元々魔剣・ミストルティンの性能は一撃必殺・離脱の突撃戦術に向いており、その特性から王族の持つ剣というよりは傭兵隊長の持つ剣ですので、ある意味「為すところ得」なのかもしれません。


エルトシャンの息子・アレスはアグストリア崩壊のあと傭兵に拾われたため流浪の傭兵になり、のちにシグルドの息子・光子セリスの軍に合流しますが、これは後編の話です。


かなりよくできたストーリーですよ。全編(前編・後編があります)を通して貴族が戦場で入り乱れる、ノブレス・オブリージュの権化みたいなゲームです。


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追記:エルトシャンは、シグルド軍に合流していたラケシスに説得されてアグスティ家の当主に休戦を直談判した際に処刑された、という説もある。