JL7KHN/ミヤギKI529のブログ

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飛んでけ しょぼ波 どこまでも~

■キャッチーを意識し過ぎたタイトル

私の愛機の1つでもある西無線研究所のNTS115(A)には、送信時に表示される「送信パワーインジケータ機能」があります。


これ、あんまり良くない表現だと思うんです。


この機能の回路は、アンテナローディングコイル手前からコンデンサカップリングで出力を取り、検波後のレベルを表示しています。簡易的かつリアルタイムにモニタ出来るのでFBなのは間違ありません。


でもなんです。

送受信回路は50Ωで設計、調整されています。それに対し、アンテナインピーダンスが50Ωから外れれば、芳しくないのは容易に想像がつきます。

所が、この送信パワーインジケータは、アンテナインピーダンスが高くなった場合は、インジケータレベルが高くなるんです。

にも関わらずその状態が良いと理解している人が多いと思うんです。


そりゃそうです。メーターは振らないより振った方が良いに決まってますし、それが人間の感覚と言うものです。




■論より実験

この検出型回路を組んで、アンテナに相当する出力終端のインピーダンスを変化させる「原理実験装置」を作りました。


仕組みは、tinySAのSG出力をお手製リニアアンプに入力、出力を増幅した後に、アンテナに相当する部分に可変終端抵抗を付けて、あとはNTS115の送信パワーインジケータと同じ回路を接続、その出力レベルをメーターで確認出来るものです。


■Let's try!
(終端50Ω)
いわゆる理想値です。

メーターはちょうど真ん中です。

(終端100Ω)
理想値から2倍離れました。ぶっちゃけ死にません。普通にフィールドでは起こりうる値です。

メーターは1(右側へ行くほど電圧が高い)、電圧上がりましたね〜

(終端300Ω)
大分ズレました、1:6状態です

メーターは3、随分上がりました。
※ちなみにこれ以上インピーダンスを上げても、電圧は変わらず

(終端25Ω)
要は半分。短縮アンテナが理想状態環境に置かれるとこんな感じです


随分と元気が無くなりました。

これを見ていただくと、1つハッキリ分かると思います。
「レベルが高ければ良い訳では無い!」
と。


■重要な事
この原理実験の結果から
「共振状態=インジケータ最大、では無い!」
と言う事です。

もっと言います。
(インジケータの)ピーク探しは地雷です。


■なぜそうなるか?を考える
一般的にアンテナは
短い・・・容量性
丁度・・・共振
長い・・・誘導性
になります。

無理やり図で描くと
(※横軸はロッド長の変化で、それに伴うアンテナインピーダンス変化を表しています)

検波された電圧(インジケータ値)をイメージ
  ^
  |                        / ̄ ̄ ̄
  |                  /
  |             /
  |____/________________> ロッド長=アンテナインピーダンス


こんな感じになります。
要は共振点付近は変化しやすく、逆に低すぎたり高すぎたりするのは大きくズレている状態なのです。

一言でこのインジケータについて言えば
「飛びでは無く、(無線機の)負担を見ている」
となり、無理していない所が一番飛ぶ事になります。

例えて言うなら、車のエンジン特性で例えます。
「このメーターは回転数じゃなくて“負担”を見ている。エンジンはレブまで回しても一番パワーが出ずに下がっていくでしょ?それと同じです」

■少し技術的な表現で
市民ラジオで重要なのは
・アンテナ電流
・放射抵抗との整合
・地面・筐体・人体含めた 実効アンテナ系
です。

一方、このインジケータは
・電流も
・放射抵抗も
・実際のE-fieldも
直接的に見られないのです。

アマチュア無線家ですと良くご存知のSWRっぽさが、このインジケータに抱いてしまっているのです。


■第二の誤解
次はSWRの呪縛についてです。
こちらも非常に分かりやすい指標の1つではありますが、その一方で、よく誤解されます。

SWRで比較確認する前提は
同一アンテナ構造・同一損失前提 なら有効です。

で、CBの様な短縮アンテナではSWRが下がる理由が、
放射抵抗増加なのか
損失抵抗増加なのか
の判別ができません

つまり、SWRが1.2になっても、実は飛んでない は普通に起きるんです。

正しい使い方としては、「SWR最小点と電流最大点が一致しているか?」になります。


■まとめ
本質はこれです。
実際に電波が飛ぶかどうかは、アンテナにどれだけ電流が流れているか?です。

放射は
E∝I
となります。

短縮アンテナでは特に、放射抵抗は数Ω、損失抵抗(コイル・筐体・人体)は全然無視できないので、
「電圧が高い=電流が少ない」という「地雷」に簡単にハマってしまうのです。