■噂と研究
最近、大き目な地震が多いですよね。
昔から無線家の間では「地震とEsは関係性がある」なんて噂がありましたが、僕らもある意味例に漏れず、そんな感覚をお持ちの方がいらっしゃるのでは無いでしょうか?
以前、このブログの記事にもしましたが、地震との関連性について研究はされており、個人的に関心を持っているのが京都大学の研究です。
■京都大学の研究概要
京都大学(梅野健教授ら)の研究は、ここ数年で段階的に発展しています。
・2016~2017年:GNSS-TEC相関解析により、2011年東北地方太平洋沖地震や2016年熊本地震の発生前数十分~約1時間前に、震源付近でTEC異常が観測されることを報告しました。また、MSTIDとの識別指標も提案しています。
・2024年:これまで「異常は観測されるが、なぜ起こるか不明」とされていた問題に対し、地殻内の粘土層中の超臨界水による帯電が地表-電離圏間の電場を形成し、電離圏異常を生じさせるという物理モデルを提案しました。
・2025年:さらに、地震直前に電離層が降下するメカニズムについて、静電結合モデルを用いて説明する論文を発表しています。
つまり、この研究グループは単に「相関があった」と述べているのではなく、
- GNSSで異常を検出する手法
- MSTIDなど通常の電離圏変動との識別
- その異常が生じる物理メカニズム
まで研究を発展させている点が特徴です。
ここまで見ると、「面白いな」、と思いませんか?
■導入として、今回の岩手県沖地震との関係について
先日起きた岩手県沖を震源とする地震が気になり、ふと調べてみました。
確認したNICTのfoF2およびTEC(日平均監視)を見る限りでは、少なくともその監視レベルでは顕著な異常は、私(=素人)が見る限り確認できませんでした。
ただし、これは決して京都大学の解析を否定するものではありません。
理論的根拠としては、京都大学が主に見ているのは、
・GEONETの個々のGNSS受信点から得られるTEC
・相関解析による局所的・短時間の異常
・震源近傍に限定した空間分布
であり、私が入手出来るNICTの公開グラフは広域平均化されたTECやfoF2を監視するため、局所的な異常が埋もれる可能性があるためです。
なので、今回は単純にNICTの公開データを眺めて「感覚的」に分析するのでは無く、「真面目に(笑)」分析してみようと思います。
■検証フロー
大まかな進め方はこうです。
1)京都大学論文の解析条件を整理
基準局・周辺局の選び方
相関係数の算出方法
解析窓(通常30~60分程度、更に震源からの距離によって最適窓が変わる)
異常判定閾値
MSTIDとの識別方法
2)岩手県沖地震のデータ取得
GEONETのGNSSデータ
QZSS/GPS由来TEC
地震発生前2~3時間
宇宙天気(Kp、Dstなど)
3)論文と同一アルゴリズムで解析
相関値の時間変化
異常領域率
TEC空間分布
MSTIDとの識別
4)論文との比較
東北地震・熊本地震・能登地震と同程度の異常か
異常発生時刻
異常領域の広がり
相関値のピーク
こんな流れになります。
で、ホントにたまたまですが、先日開発したEs予測プログラムのアルゴリズムを一部流用し、この論文に基づく検証が出来ないか?と思ったわけです。
■今回の特徴
京都大学は主にTECを見ていますが、先日開発したEs予測プログラムでは、日頃からF層・Es層の挙動を見ています。両者を統合すると、
TEC相関異常
foF2変動
foEs・fxEs
Es伝搬状況
を同一時系列で比較できます。
これは公開されている研究でも行われていない切り口なのが特徴です。
■では、実装
プログラムの概要はちょっと面白くないので、省きますが、pythonで2000行超になりました。もっとスマートになるとは思います。
出先でも使える様に、OSはwindows、UNIX、Androidで動作するマルチOS対応にします。
