台湾包種茶と「飲む感性」と
今月のXingfufan台湾茶マスター講座リピートクラスでは、文山包種茶を学びました。
飲んでもらった文山包種茶は、昨年の冬、製茶が終わったばかりの茶師を訪ね、茶師とともに茎抜きをし、わたしが再製をした茶葉でした。
Xingfufanリピートクラスのレッスンでは時々、飲む前に何も伝えず、感想などを確認することがあります。
それは、門下生であるXingfufanだからこそ、「淹れる」ときに一番大事な「飲む感性」を培ってもらいたいからです。
今回、Xingfufan台湾茶リピートクラスで出したこの台湾包種茶は、わたしがほんの少し時間を長くしてしまったため、一煎目だけ、軽く焙煎の香りがしていました。
二煎目以降は、茶師が目指した伝統的な青心烏龍種の包種茶の特徴が続きました。
こうした茶葉の特徴を、客観的に判断することが「飲む技術」。
人それぞれの嗜好や飲み手の主観で「おいしい」というのとは、全く異なります。
また、飲み手の「飲む技術」の差によっても感想もまた全く異なってきます。
たとえば、以前、台湾で台湾の友人と阿里山烏龍茶を飲んだ時、友人にとって「おいしい」阿里山烏龍茶は、自然の良質な茶葉を飲んでいるわたしにとっては、着香しか感じらずに飲むことができませんでした。
同じ阿里山烏龍茶を飲んで感想が異なるのは、飲み手の「飲む技術」の差ということ。
今、中国茶&台湾茶の本質を学ぶために一番大事なことは、飲み手の「飲む技術」だと思っています。
なぜなら、茶葉の特徴を飲んで判らない人が、茶葉が持つ特徴を「淹れる」ことはできないから。
けれど、この「飲む技術」を養うのは、とても難しい。
20年以上、延べ数百人の様々な人たちに教えたうえで、わかったことです。
なんとなく飲むだけでは、絶対にできません。
まずは、品種や産地など農作物としてわかる良質な茶葉を手に入れる。
そして、その茶葉を正しい特徴で淹れられた状態の「茶」を飲み、その回数を増やす。
できるだけ良質な茶葉を飲み、「飲む感性」を鍛えながら、茶器に慣れ、そして、はじめて「淹れる」ことができるようになります。
茶器を使って単に中国茶&台湾茶を「淹れる」ことだけなら、簡単。
けれど、正解のある農作物としての良質な茶葉であれば、淹れ手の「飲む技術」「飲む感性」が必要となります。
門下生であるXingfugfanのリピートクラスから、自分にとって好きな茶葉を、レッスンで飲んだ時と同じ正解の特徴で「淹れる」練習に入ります。
飲んだ時、客観的に茶葉の特性を語り合いたいから。
そして、自分が愛飲している茶葉が良質な茶葉であれば、努力した分、必ずその茶葉の世界は深く見えてくるから。
それが「飲む感性」「飲む技術」が向上したということであり、成長したということです。
Xingfuのレッスンは、みんなが日常で安心できる良質な茶葉でしあわせな中国茶&台湾茶時間を過ごすために、淹れる実技と飲む実技を行っています。
そもそも、お茶は淹れて飲むことを楽しむ「趣味」だから。
中でも、門下生であるXingfugfanは、茶葉の深さを探求する面白さ、難しさを共有できる仲間。
みんなが飲む感性を養い、淹れる技術を向上し、Xingfuの茶師が作る茶葉の良さを判り合い、語り合えることがわたしの楽しみです。
これからも、好きな茶葉の世界を探求し、そして、時に広げながら、学ぶ面白さを共有し、日常でしあわせな中国茶&台湾茶時間を過ごしてもらえるお手伝いができたら、うれしいです。
中国&台湾茶教室―Tea Salon Xingfu主宰
中国茶&台湾茶研究家 今野純子