このブログは義父と義母を介護した過去の経験をもとに書いたものです。
思いつくままに書いており時系列順ではありません。
あらかじめご了承ください。
病院に勤務していた時に
患者の脱走事件がありました。
「患者さまが
部屋に戻っていない」
大騒ぎになり
院内総出で探しましたが
見つかりません。
玄関前に停まっていた
タクシーの運転手に頼んで
無線で調べてもらったところ
最寄りの駅まで
病衣姿の婦人が乗車したことが判明。
ほどなく自宅から連絡があり
身柄は確保されましたが
「主治医が嫌だ」とおっしゃるので
近くの総合病院に
転院してもらいました。
ただ
頻繁にある事件ではありません。
何らかの形で
危なそうな患者は
拘束されていることが
多いからです。
「安全重視」が
拘束の根拠になっています。
介護施設でも同じ。
「安全面を考慮して」
別のフロアーにも
移動できないようになっています。
入所者から見ると
自由を奪われていることに
なります。
これについて
介護者からクレームがあったなど
聴いたことがありません。
「そんなものだ」
そういうことでしょうか。
介護者であった時には
私も仕方がないと
諦めていました。
車椅子で外出するにしても
外出許可証を申請しなくては
なりません。
面倒です。
今思えば
やってあげればよかった。
ただ
「来月にでもまた・・・」
が重なり
結局実現しませんでした。
酷いことをしました。
考えてみて下さい。
貴方は朝起きてから
何人の人と
すれ違いましたか?
家を出たら
近所の奥さんが
犬を連れて散歩していた。
駅まで歩くうちに
小学生の集団を追い越した。
あるいは
電車で数えきれない人の
顔を見た。
そういったことが
一切ないのです。
自由を拘束されているとは
そういうことです。
しかも特養への
入所手続きを進めた人物
つまり
自分自身に
「すべて責任がある」
親族の意見です。
直接は言われません。
しかし
「ドライな人だ」
そういった声が
人づてに聞こえてきます。
「いつでも
替わってあげるよ」
返ってくるのは
気まずそうな笑顔だけ。
ただ
酷いことをしたのは
事実なのでしょう。