人事評価のQ&A -397ページ目

63.病院での考課者訓練

 大学の付属病院ですが、今回初めて人事考課訓練を行う予定です。今までは訓練は行わず、人事考課の説明のみでおこなってきました。今回、人事考課者訓練を企画する上で病院として何か気をつけることがあるか、アドバイス願います。


 訓練そのものは、人事考課の考え方やルール・基準などを、事例研究等を使って理解を深めるものであり、訓練時間と受講生の人事考課に関する知識に応じて カリキュラムを組んで進めていきます。
  したがって、訓練そのものは、専門講師に任せればそんなに問題なく実施できると思います。
社内講師で実施するのであれば、一度専門講師で実施して、それをまねる形で行えばよいと思います。教材や事例も使えます。


 問題は訓練そのものよりは、人事考課制度の明確さにあります。
人事考課の説明だけで進めるのであれば、多少あやふやの点があっても、あまり問題になりませんが(よくわからないから、問題点に気づかない)、考課者訓練でしっかり勉強しますと、いろいろな問題点が出てきます。


 訓練を行う前に、自社の人事考課制度の考課ルールや考課基準を明確にしておく必要があります。病院の場合は、それぞれが専門家集団になりますので、 「誰が何を評価するのか」「基準は何か」という点を明確にすることが必要です。その点を明確にすればそんなに問題は出ません。難しいのは「医師の評価」をどうするかという点です。

 これらを考課者訓練の前に明確にしておく必要があります。

62.絶対評価はできない

 能力主義を導入して6年目になりますが、最近思うことがあります。 「絶対考課は、絶対できない。」考課者となる人物も、被考課者も、生まれてからずっと、相対評価の中で育ってきて、家庭では兄弟や近所の子供と比較され、学校ではクラスで1番になることを要求され、会社に入って「はい、それでは絶対考課で考課して」といわれても無理です。最近、従来からの相対考課を基礎とした何かよい人事制度はないものかと悩んでおります。(ある農協の人事課長さん)

 
 能力主義を導入していらっしゃるということですが、その目的は何でしょうか?

公正処遇を行うこともありますが、能力開発も大事な目的のはずです。


 能力主義における人事考課は 「職務遂行能力の健康診断」といえます。実際の健康診断も他人と比較して血圧が高いとか低いとか行っても まったく意味がありません。標準値、基準値を比較することで 健康管理ができるわけです。


 人事考課も同じように標準を定めて、それに対して上回っているかどうかをみていくわけです。 それによって、指導育成が図れるわけです。絶対評価というと、難しい気がしますが、標準・基準に対しての相対評価と考えると良いと思います。比較対象となる標準・基準を明確にすれば、絶対評価の方が簡単です。


 また、相対評価はどうしても人物評価になってしまいます。考課要素ごとに標準、基準と比較する絶対評価で行い、その結果を集計した後 相対的に総合評価(分布規制により)を決めるという方法がよいと思います。ただし、役職の任命など、定員が決まっているものは 人物評価も加味して、相対評価で行います。


 私は、評価の段階では相対評価はできない、仮に行っても意味がないと思っています。考課要素ごとに絶対評価した後、集計して総合評価を出す段階(処遇に活用する段階)では 相対的に考えることは必要だと思っています。
  したがって、相対評価に関しては、良い考えは持っておりませんので、適切なアドバイスができません。

61.まず最初に手がけること

 社長が一代でやってきたというだけあって、人事に関することがすべて、社長の気分しだいというところがあります。会社創立25年たとうとしていますが、すべて社長がしてきてしまって、なにも残っていない状況です。まずなにから整理していこうかと、悩んでおります。 人事、労務に関すること、まずはなにから整備していったらよいと思われますか?

 

 やはり、賃金制度の整備が必要でしょう。


 特に、何によって賃金が決まるのかを明確にする必要があります。年齢なのか、勤続なのか、能力なのか、職務内容なのか、成果なのか、・・・ あるいはそれら複数の合計なのか?
 もし、年齢で決まるのであれば、何歳はいくら、
 もし勤続が必要であれば、勤続何年でいくら、
 もし、能力で決まるのであれば、どのような能力があればいくら という風に、
1対1の対応で金額が決まるように考えます。

 それらを勘案して、総合的にいくらというのはだめです。


 賃金決定要素が決まったら、その測定方法を考えます。 年齢や勤続は明確に測定できますが、能力や成果はすぐには測定できません。


 当社で求める能力はどのようなものであり、どう測定するのか 当社で言う成果とは何であり、どう測定するのかを考えます。
 測定方法がないのに、能力給だ成果給だといっても、意味ありません。
 そうなると、その賃金制度にあった評価制度が必要になります。誰が何を評価するのか、その基準は何かを決める必要が出てきます。また、評価者の訓練も必要になるでしょう。


 ここまでを一気に行うのがよいと思います。(1年間くらいで) 方法は、
 ・ 社内でプロジェクトを組んで進める
 ・ 他社の例を参考に、自社用にアレンジして進める。
 ・ コンサルタントを依頼して、自社用に構築する など、あります。 ここまで人事管理のベースを作っておけば、その後色々な方策も取れますし、 色々な事態にも対応できます。


 人事制度(特に賃金制度)を作る、変えるという事は相当のエネルギーを必要とします。それ相応の覚悟を持って取り組む必要があります。 がんばってください。
以上、よろしくお願いします。

60.家族手当の必要性

 「成果主義なのだから、家族手当を廃止した方が良いのではないか」と、経営者から言われています。成果主義では、家族手当は必要ないのでしょうか?


 家族手当とは、社員の生計費を補完するために支給される賃金であり、通常、扶養家族の人数によって金額を決めています。 これは、家族を抱えて生活費のかかる社員が安心して仕事に打ち込めるようにという意味があります。


 最近は「結婚するしない、子供を作る作らないは個人の問題だから、そんなものに会社が家族手当を支給する必要はない」ということで、家族手当の廃止や減額の方向にあります。また、今まで家族手当が支給されるのは、多くは男性であり、男女差別が発生するということで、廃止の方向で検討しているところもあります。確かに、労働対価という面で考えると、不公平な賃金のように感じがします。しかし、私は「生活保障」の面と「顧客の創造」の面から、もっと充実すべき手当だと思っています。


 賃金には「生活保障の原則」と「労働対価の原則」の2つの側面があります。
現に、いくら成果主義といっても、フルコミッションで成果が出ないと賃金が0ということではなく、仮に成果が出なくても、明日がんばってもらうためにある一定水準の賃金が保障されています。
その保障されている金額が、家族数によって、保障にならない金額であれば、その保障は意味がなくなってしまいます。
やはり、ある一定金額は成績や能力と関係なく保障することで、安心して働ける環境が作れると思います。
したがって、賃金には生活保障の部分も必要であると考えるのが妥当でしょう。


 以前は、年齢給などで年齢によって生計費を補うという考え方がありましたが、ライフスタイルが多様化している現在では年齢による生活費はほとんど予測できない状況であり、生活保障という観点から言えば、年齢より子供の人数のほうが大きく影響を及ぼしていると思います。


 そう考えると、生活保障を家族手当により行うということは合理的であるということになります。
 また、 「究極の顧客創造」は人を増やすことであり、子供を増やすことだと思います。少子化が進んでいる日本で、その防止策を打たないで、少なくなっているヒトの中(小さくなっているパイ)で、「顧客創造だ」といっても限界があると思います。
 企業がまず行う「顧客の創造」は、社員が子供を作りやすい環境を整えることであり、個々の企業が永続発展のために、子供を作りやすい環境を作ることが必要であると考えます。そう考えると、家族手当(子供への手当)は非常に有効で意味のある手当になります。


 顧客の創造という点で考えてみれば、その子供が自社の顧客に育ていくわけであり、子供がたくさんいた方が顧客はたくさん増えるわけです。家族手当を人件費という枠ではなく、販売促進費という枠でとらえ、より多く支給することで、子供を生みやすい環境を作ることができ、また、今いわれている「顧客の創造」とも整合性が出てくるわけです。


 上記のような理由から、家族手当(特に子供に対する手当)を充実することが、良いような気がするのですが、いかがでしょうか?

59.退職者の賞与

 当社は、賞与支給日に在籍していない者には賞与を支給していません。たとえ賞与算定となる対象期間すべてを在籍していても、支給日前に退職した者には賞与を支給しません。こうした取扱いは法的に問題でしょうか。また、支給日まで勤めて退職した場合、賞与は出ますが減額されます。これはどうでしょうか。


1.支給日在籍条項について
 賞与は、就業規則や労働協約で支給基準を定めていれば労働基準法上の賃金(労基法第11条) に当たるので、対象期間の全部または一部を勤務したにもかかわらず、支給日前に退職した者に賞与を支給しないという取扱いは、労基法第24条の賃金全額払い原則に反するのではないかとの疑問があると思います。


 このような取扱いは、就業規則や労働協約での「支給日に在籍している者にのみ賞与を支給する」という、いわゆる支給日在籍条項を根拠としているのが一般的ですが、このような条項または慣行の効力を法的にどう解釈するかがポイントになります。


 判例では、 「賞与は、 従業員にとり単なる会社の恩恵または任意に支給される金員ではなく、 労働の対価としてその支払いを義務付けられた賃金の一部であり、 支給対象時に在籍しない従業員に対しても使用者は支払義務をもつ」 (日本ルセル事件 昭49・8・27 東京高裁判決) としたものもありますが、 多くは支給日在籍を条件とする支給規定 (もしくは慣行) を正当としているようです。  (例えば、大和銀行事件 昭57.10.7 最1小判やニプロ医工事件昭57・9・8 前橋地裁) したがって、法的には問題ないものと思われます。 ただし、退職日を労働者本人が選択することができない定年退職や、整理解雇等の会社都合退職については、支給日在籍条項は適用できないと判断するのが妥当でしょう。


2.支給日退職者の減額について
 退職者の減額については、賞与の意味を考える必要があります。
 古い判例ですが、「会社は、 賞与を支給日に在籍する従業員にのみ支給する扱いをしており、 従業員らもこれに納得し特に反対の意思を示したことはなかった。 従って、 この取り扱いは慣行として確立しており、 またこの扱いは賞与に対し今後の勤務継続への期待も含ませているものと考えられるが、 この期待を賞与に込めることは不合理ではなく、 公序良俗に反せず正当である」 (昭57・9・8ニプロ医工事件 前橋地裁)というのがあります。


 すなわち、賞与には継続勤務への期待がこめられているという解釈です。そうであれば、支給日に退職する人にはその期待がないのであるから、その期待分が減額されるのは致し方ないということになります。


 しかし、この考え方は過去の年功制の時の考え方(賞与は恩恵とか将来への期待など)であり、最近の成果主義では「賞与=期間中(過去)の業績配分」ということになっており、減額する根拠はなくなっていると考えるのが妥当でしょう。

58.人件費圧迫

 特別養護老人施設ですが、介護職の人員が予算の70%を占めたため人員カットを迫られています。ユニットケアーの導入で、さらに人件費の増大が懸念されます。しかし、幹部の人達は賃金カットに反対しています。困っています。何かいい方法はないでしょうか?

 

 職員の方によく話をして、適正な賃金水準に修正することが必要です。 そうなると、賃金が大幅に減少する人が出てきて、モラールダウンにつながることがあります。 そこを管理者の人がよく話をして、やる気を出すように仕向けることが必要です。 (これが難しい)


 次善の策として
1.賃金体系を見直し、賃金が自動膨張しないようにする。
2.賃金水準は見直すが、すでに支給している分のカットはしない。
3.賞与を業績連動型にして、法人の業績に応じて賞与総額が決まるようにする。
 (例えば年間5ヶ月の賞与を年間2ヶ月(夏冬各1ヶ月)を最低保障とし、それ以上は業績に連動する形にする。残業や人員増加で人件費が増えると  業績が悪くなり自動的に賞与が少なくなる。) 


 この方法だと、モラールダウンを防げ、職員の意識が法人の業績に向きます。 ただし、この場合、法人の経理状況をある程度公開して、 どれだけ業績が出たら、これだけの賞与になるかわかるようにしておく必要があります。 

57.退職金割増の相場

 早期希望退職等の退職勧奨における 退職金割増の相場みたいなものはあるのでしょうか?

 

 早期退職優遇制度は、大きく次の2つの類型に分けられます。


 一つは余剰人員の削減を目的とした「希望退職」であり、もう一つは、定年前転職・独立の支援 労務構成の適正化などを目的とした「セカンドライフ支援制度(色々な名称がある)」です。


 希望退職募集は、業績が悪化した企業が人件費削減のために行ういわば緊急避難策であり、この制度を導入する企業は、労働者の退職を誘導したいという強いニーズを持っています。そのため、募集の期限と退職数の目標を設定し、期限までに退職数の目標が達成できるよう、職場の上司を通じて個別に応募を働きかけることもあります。人員削減目標の早期達成を図るため、比較的転職しやすい若年・中堅層も対象とするケースが少なくありません。


 他方、セカンドライフ支援制度の目的は、長寿化により労働者の職業生涯が長期化しつつあることを受け、労働者が定年を待たずに次の就労ステージに円滑に移行できるよう、企業として支援するものです。もちろん、こうした労働者へのサービス提供だけが目的でなく、企業としても中高年労働者の比重をコントロールすることで将来の人件費負担増を回避し、また、ポストの若返りを促すというメリットをこの制度に期待する側面もありますが、その期待は中長期的なもので、少なくとも希望退職募集のような切羽詰まった人員削減ニーズはありません。したがってセカンドキャリア支援制度は期限を設けない常設の制度で、企業が労働者に制度の利用を強く働きかけることもないのが特徴です。


 割増加算金の世間相場は、一般に、企業としての雇用調整ニーズが強いほど高く設定される傾向にあります。
 しかし、その世間相場となると、適当な統計データはなかなか見当たりません。企業によって大きなばらつきがあるのが実態であり、平均値がほとんど意味を持たないからです。


 以前、著名な大企業が相次いで早期退職優遇制度を実施しました。例えば50歳で月例給与の30~40ヵ月分もの加算金を通常の退職金に上乗せする事例などが次々と報道され話題を呼びましたが、これらはいずれも上記の希望退職募集に分類されるものです。


 常設型のセカンドライフ支援制度では、年齢にもよりますが、おおむね月給の12~24ヵ月程度というところが多いようです。  要は、この制度を導入する企業がどれほど切迫した雇用調整ニーズを持っているか、そして条件を提示された労働者がその条件にどれだけ心を動かされるかということですから、労働者の耳に入りやすい他社の事例やマスコミ報道等の動きにも目を配りながら、その企業なりの判断で水準を決めるしかないということになります。


 実際の中小企業の事例では、希望退職の場合6ヶ月から12ヶ月くらいの加算額が多いようです。
上場企業では、24ヶ月前後の加算額になっているようです。

56.組織としての基盤作り

 社員数50名の建設業ですが、社長は部下の育成には関心がなく、 仕事の消化が最優先の状態です。 そのために幹部役員は湯舟につかっている状態であり、部下の評価・育成は全くといっていいほど出来ておりません。自分をチヤホヤしてくれる部下を可愛がる傾向にあり、仕事が出来る・出来ないは関係がないに等しい状況です。
 理想としては、いい職場を提供でき、いい評価・教育ができ、いい仕事ができる企業にして行きたいです。 とにかく基盤をしっかりさせ、この状況をどうにか、改善していきたいです。


 利益が上がっていて、将来の見通しも明るいのであれば現状のままでもいいのではないでしょうか。ただ現実には、世の中そんな甘いものではないと思います。何らかの改革が必要だと思います。
 しかし、改革には大きなエネルギーが必要です。 生半可な気持ちでは失敗に終わってしまい、もっと悪くなってしまう恐れがあります。何かをきっかけに、不退転の決意で取り組む必要があると思います。


 以下人事面から捉えると、次のようにすすめるとよいのではないでしょうか。


1.きっかけを捕らえる
 社長交代、赤字計上、同業者の倒産など、身近にこのままではいけないという現象をきっかけに、改革の必要性を訴えます。(将来像の提示)


2.人事関係の改革
 社員が一番関心があり、変化が実感できるのは人事に関することです。組織変更、人事異動などによりまず一つの変化を与えます。さらに、賃金制度、評価制度の変更を告げ、キーになる社員を選定して自社にあった賃金制度作成に入ります。(専門家を入れてあるべき方向を示す)


3.自社にあった人事制度作りの中で、世間の状況、当社の状況を理解させあるべき姿を考えさせます。


4.当然人事制度は、公正処遇に結びつくものにします。


5.評価の研修の中で、管理職としての立場役割を教えます。


6.反発する人も出てきますが、強いリーダーシップですすめます。


7.50人の社員であれば、2~3人退職することも考えられます。


 いずれにしても、改革を進める側の強い信念が人を動かすと思います。 そして、厳しい状況のときに行う方が共感を得られます。

55.小規模企業の人事制度

 社内の正社員に対して、今後の人事制度・賃金制度をしっかり構築したいと考えています。サイトの内容は非常に参考なるのですが、弊社の様な小規模の会社には少々見合わない様に感じました。サイトの内容を参考に自分なりに考えた案が、アタマの中にはほとんど出来ているのですが‥、早急に実行に移す為のアドバイスを頂ければと思い、ご相談させて頂きました。(経営者Tさん)

 

 人事制度の件ですが、頭ではかなりできているようですので それを具体化されると良いと思います。その際の注意点ですが


1 社員の方によく説明する。


2 一方的に押し付けるのではなく、社員の考えをよく聞いてあげる。


3 ゴールはある程度社長の考えてものであっても、そのゴールにいたるように社員と一緒に作り上げる。


4 押し付けられたという感じをなくし、自分たちで作ったというようにする。


5 たぶん成果に連動した賃金制度をお考えと思いますが、個人の成果の前に会社としての成果がわかるように会社の経理をある程度公開する。


6 そして、会社全体の業績がよければ、個人の賃金もよくなるようにする。


7 さらに、個人の評価も連動にするようにするためには、評価項目と基準を明確にする。
  特に、評価項目と基準は社員に考えさせる方がよいでしょう。


8 いずれにしても、会社と社員は運命共同体である、ということが実感できる人事制度にするのがよろしいと思います。


 以上、人事制度、賃金制度は会社をよくするための道具であり、目的ではないということを忘れずに どのような仕組にしたら、社員も頑張り甲斐があり、会社もよくなるかという観点で進められると良いと思います。

54.納得できない評価

 今年の賞与の評価で直属の上司(課長)は2ランクアップしてくれましたが、その上の上司が課長にも内緒で勝手に下げてしまい、未だに課長にも理由は言っていないそうです。評価を下げた上司に理由を聞こと話し合いの場を設けて頂くようお願いしていますが避けているようです。どうしても理由を説明してもらえないのであれば法的手段に訴えることが出来ますか?(N子さん)

 大変の状況ですね。会社や上司にもっとしっかりやってもらいたいですね。まず、法的な問題ですが、


1.人事考課は使用者の人事権に属するもので、人事考課の内容や評価の方法も、通常使用者の裁量に委ねられています。


2.人事考課の適否について法的な問題となるのは、合理性のない男女差別、不当労働行為に該当すると認められるような事例に限られています。


3.人事考課は今まで使用者の主導のもとに行われてきましたが、人事制度の新しい動きの中で、評価基準や査定結果の公開が求められるようになってきています。


 ということで、男女差別や不当労働行為(組合員であることを理由に差別するなど)や信条による差別の場合は 法的手段により、対応できますが、仕事上の評価については、社内の問題であり、法的には対応できないようです。


 したがって、そのような評価になった理由を聞くほかありません。教えてくれないようですので、「女性だからですか」と確認してください。そうだと言えば、法的に訴えることができます。


違うと言えば、その合理的理由を聞いてください。明確な理由がない場合は「やっぱり女性だからですね」と念を押してください。
その上で、男女差別により不利益な評価をされたと、経営者に通告してみたらどうでしょうか?


会社の中に、苦情処理窓口があるとそこに相談するのが良いと思います。労働組合があれば相談することもよいでしょう。
頑張ってください。