26.賃下げはできますか? | 人事評価のQ&A

26.賃下げはできますか?

 社員50人ほどの工場を経営していますが、業績の悪化が続き、賃金の引き下げを検討しております。合法的に賃下げはできるのでしょうか?


 雇用契約も「契約」ですから、契約の中身である賃金などの労働条件を変更するには、原則として、使用者・労働者双方の同意が必要です。したがって、労働者の同意のない一方的変更は無効となりま。逆にいえば、双方が合意すればよいということでもあります。賃下げや減給には次のようなものがあります。


1.減給処分
就業規則上の懲戒規定による減給処分
一回の減給額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならず、かつ、一賃金支払期における総額がその期における賃金総額の十分の一を超えてはならない。
雇用契約どおりであり、合法


2.返上
管理職従業員などが本人の意思により賃金の一部を返上する措置(本人の真意であればOK)
合意によると見なし合法

 

3.役職交代による手当減額
役職手当が支給されており、役職が変わった場合、当然それに見合った手当に変更される。手当が引き下がることもあれば、役職を外れた場合は0になる。
使用者の配属権限に帰することであり、合法


4.職務給の減額
職務給を採用している場合、職務が変わり職務給も変更になることは当然のことであり、職務給が引き下がることは当然ある。


5.年俸制
年俸制はもともと、労働者の業績等に応じ、交渉の結果として賃金の減額がありうることを予定している制度であり、年俸制の根拠規定がある以上は、賃金減額は当然ありうる。
合法


6.職能給の減給
基本的に職能給の減給はない。
合意による減給ルールがある場合はOK。
合理的ルールがあれば合法


7.制度見直しによる減給
仕事内容が変わらなく、制度が変わったという理由、あるいは新制度での格付けが変わったという理由で賃金を引き下げることは違法との判例あり。合意があればOK。
合意がなければ違法


8.年齢による賃金カット
一定年齢以上は00%カットというような賃金カットは労働者の合意があればOK。通常、定年延長等の代替にて合意している。使用者の一方的な賃金カットは違法との判例あり。
合意がなければ違法


9.業績不振による賃金カット
業績不振で整理解雇を防ぐための賃金カットについては、労働者の合意が得やすい。また、就業規則不利益変更の合理性に該当するケースが多い。
手続きを踏めば合法


 今回の場合は上記の9に該当しますが、会社の状況をよく説明し、雇用の確保のために、「いたしかたがない」ということを納得してもらうことが必要です。