「ふろしきを胸に飾る」?
中原淳一さんのファッション雑誌「それいゆ」に掲載された記事(昭和28年)に風呂敷の活用法ページがあった。
タイトルは、「ふろしきを胸に飾る」だ。
私は、はじめてこの記事を見たとき「ふろしきを・・・」に、一瞬違和感を覚え、そして、その後とても感動したのを覚えている。
普通なら「スカーフを胸に飾る」と、するところだろうが、戦後の物のない時代、誰もが持っている風呂敷をスカーフに見立てて、少しでも当時の女性達に夢を与えようとしていることがうかがえたからだ。
●中原淳一
ファッションデザイナー・挿絵画家・スタイリスト・インテリアデザイナー・人形作家
第二次世界大戦敗戦後、「真の平和は、女性達が夢と希望に満ちて、美を追求できる世の中になることだ」と、理想に燃え、終戦翌年の昭和21年、ファッション雑誌「それいゆ」を自ら創刊している。
彼は、雑誌の中でお金をかけなくても、美しく、心豊かに暮らす工夫の数々を提案している。
物が有り余る現代、私達は心豊かになったのだろうか?