伝統文様にはなぜ意味謂れがあるのか?

 

日本の伝統文様に限らず、世界中の伝統文様には、それぞれに意味謂れがあります。その中でも特に日本の伝統文様の種類と意味の多さは、世界中を見渡しても突出しています。このことについては、日本人の宗教観が大きな影響を与えていると考えられています。
日本は古来より、八百万の神(やおよろずのかみ)を信仰する神道の国でした。基本となるのは、「万物に神が宿る」という考え方です。野山の一木一草から道端の石ころに至るまで、時所を選ばず、あらゆるものに神が宿り、あらゆる場所に神は在ると言う思想です。これはキリスト教やイスラム教の様な一神教の国々とは、思想的に対極をなす宗教観です。この思想は長い歴史の中で、日本人の生活の一部となり、日本人の中に深く根付いてきました。

日本の文様は、そんな人々が生活の中で思いを込めることに始まりました。
思いとは、「感謝」「願い」「祈り」『記念』です。
その多くは人々の行動や崇拝する自然の事物の形を象徴して描かれました。
例えば、水を乞うて雨を、豊作を願って雷を、そして豊漁を願って動物や鳥、魚を、さらにそれを願う人々の様子まで文様に表されています。この様に種々の祈願の形を記したのが文様の始まりであったと考えられます。特に農耕民族の日本人にとって、自然は神そのもので、自然の中で生かされている感謝と畏敬の念を様々に表現し、神を賛辞しました。
この感覚の高まりを声に出して歌に詠み、筆にして書物が綴られ、身体で表現して舞い踊り、鳴り物を奏で、絵が描かれ、様々な芸術や芸能が生まれました。
そして、これらのことを図柄にしたものが文様なのです。

以上のことを踏まえて、6月1日(土曜)午後2時から京都「神泉苑平八」にて、ハリウッド映画『SAYURI』に使用されたYUYAコレクションの数々をご覧いただきながら、解説させていただきます。

詳細、参加お申し込みは、以下のページから。

 

着物の柄には、なぜ意味があるのか? by「YUYAコレクション」

 

スチーブン・スピルバーグ プロデュース、ハリウッド映画『SAYURI』

映画に使用された衣装は全てYUYAコレクション