『江戸時代の一大金魚ブーム、金魚の改良は『上見』から始まりました。』

 

金魚は室町時代に、中国から伝来されました。
そして、江戸時代には大名から庶民まで人気になり、一大金魚ブームが巻き起こりました。

当時は、ガラスの金魚鉢が高価であったため、金魚は陶器の鉢やこの浮世絵のような漆器の「金魚船」に入れ、上から見ることが一般的でした。これを「上見」といい、金魚の改良は上から見ることから始まりました。

 

そして江戸中期になると、藩士が副業として金魚養殖を始めます。
この流れに火が付き、大量生産されるようになると、庶民でも買える価格になり、またたく間に庶民に広まり、江戸に一大金魚ブームが到来しました。

江戸時代中期以降、さらに品種改良が盛んになされ、希少価値の高い高価な金魚も次々に生み出され、金魚ブームに一層拍車をかけました。

そして、江戸時代後期以降にやっとガラス製の金魚鉢が広まり、金魚を横から鑑賞する楽しみ方が新たに始まりました。
これ以降の金魚の改良は横から見ることを前提に行われました。

『上見』から『横見』へ、面白い変遷ですね。

 

余談ですが、江戸時代末期のとある豪商は、金魚好きが高じて、とても大きなガラスの金魚鉢を特注で作らせて、そこに沢山の金魚を入れて、天井から吊り下げ『下見』を自慢していたそうです。もちろん、贅沢過ぎて、庶民に流行ることはありませんでした。大きな金魚鉢を下から見上げる様子を想像すると、夏場だったらいろんな意味で暑気払いになったことでしょう(笑)

 

金魚を文様として衣装などに表すことが一般的になったのは大正時代以降と言われています。

文字通り『金魚』は、金運上昇の意味と繋げて、商人たちには縁起の良い図柄として人気がありました。

 

上の金魚デザイン素材はこちらで購入できます(商用利用可)

 

 

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伝統文様研究家 成願義夫